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番外①
捕獲されたマルゴット・イーゲルは闇を飼いならす②
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マルゴットとしては住み着いても良いと主張したのだが、医師という肩書を持つ父が毎晩マルゴットを連れ帰る。その為、領地に居る期間はジルを夜は守れず、悔しい思いをした。
というのも、公爵家はとんでもない危険人物を飼っているからだ。
公爵家のフットマンから公爵の従者に昇進したイグナーツはジルに対して危険な恋愛感情を抱いている。常日頃から警戒しておかないと、いつ間違いを起こすとも分からない恐ろしい存在なのだ。
ジルへの関心を薄れさせるために、マルゴットはジルに無断で太ってもらった。手元が狂って、公爵家全員が太ってしまった。
知られれば怒られるかもしれないが、身を守る為なら仕方が無しと割り切った。
しかしこの肥満作戦は余計な危険をジルに運んでしまったらしい。大公との結婚だ。
何故急にジルとの結婚しようと思ったのかは分からないが、公爵から聞いた話だと、太った女性が魅力的に思える様になったんじゃないかという事だった。
どうも胡散臭い。
憂鬱な表情で窓の外を見るジルに声をかける。
「大公と結婚なんて、災難ですね。あまりいい噂を聞かないです……」
「きっと何とかなるわ。それより一緒に宮殿について来てくれて有難うマルゴット」
「どこにでもついて行きます。嫌な事が有ったら私に言ってください。私ジル様の為には大公を呪いますから」
この10年間、光の様なジルと過ごす事で、マルゴットの闇は順調に育ち、飼いならせる様になっていた。今なら強力な術を使えるかもしれない。
(大魔術を試す良い機会……)
マルゴットはまだ見ぬ大公を思い、ククッと嗤った。
というのも、公爵家はとんでもない危険人物を飼っているからだ。
公爵家のフットマンから公爵の従者に昇進したイグナーツはジルに対して危険な恋愛感情を抱いている。常日頃から警戒しておかないと、いつ間違いを起こすとも分からない恐ろしい存在なのだ。
ジルへの関心を薄れさせるために、マルゴットはジルに無断で太ってもらった。手元が狂って、公爵家全員が太ってしまった。
知られれば怒られるかもしれないが、身を守る為なら仕方が無しと割り切った。
しかしこの肥満作戦は余計な危険をジルに運んでしまったらしい。大公との結婚だ。
何故急にジルとの結婚しようと思ったのかは分からないが、公爵から聞いた話だと、太った女性が魅力的に思える様になったんじゃないかという事だった。
どうも胡散臭い。
憂鬱な表情で窓の外を見るジルに声をかける。
「大公と結婚なんて、災難ですね。あまりいい噂を聞かないです……」
「きっと何とかなるわ。それより一緒に宮殿について来てくれて有難うマルゴット」
「どこにでもついて行きます。嫌な事が有ったら私に言ってください。私ジル様の為には大公を呪いますから」
この10年間、光の様なジルと過ごす事で、マルゴットの闇は順調に育ち、飼いならせる様になっていた。今なら強力な術を使えるかもしれない。
(大魔術を試す良い機会……)
マルゴットはまだ見ぬ大公を思い、ククッと嗤った。
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