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顔も忘れてきた頃合いだというのに、今更夫ヅラされても……
顔も忘れてきた頃合いだというのに、今更夫ヅラされても……⑧
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「フェーベル教授がとちって、ジル様を公爵に連れて行かせてしまったので、私も後を追ってハーターシュタインに入国したんです。そしたら、公爵が野ばらの会のハーターシュタイン支部から優秀な術師を雇ってて、捕まっちゃいました……。まさか金に釣られて、同じ会員である私に危害を加える者がいるとは思わなかったです……」
マルゴットは術師との戦闘を思い出したのか、悔しそうに頬を膨らませた。
「まぁ、お父様が……? 先程分かり合えたけれど、数日前までは頑固親父だったものね……」
「ジルの実家に行ったらさ、アンタの母親が、侍女のマルゴットが捕まってると言ってたんだよ。だから出国前に開放しなきゃと思ったんだ。結構な金むしりとられた……」
「2人ともすいません……。私のせいで手を煩わせてしまったわ」
どうやら、野ばらの会は、金で動く様な組織らしい。同じ会員であっても一枚岩ではないのだろうか?
「金の事なら気にするな」
「それよりも私、捕まってしまう間際に、大公がジル様に触れられられなくなるように、呪いを重ね掛けしたんですが、お役に立てましたか?」
「ええ! 助かったわ!」
やはり大公がジルに触れられなくなっていたのは、マルゴットのお陰だった様だ。彼女の有能ぶりには頭が下がる。
再会を喜ぶ2人に対して、大公が声を荒げた。
「そうだったのか!? 侍女の分際で余計な事を! というか、その怪物からさっさと近衛兵たちを解放したまえ!」
「お断りします……。貴方にはきついお仕置きをしませんと……」
いきり立つ大公の前に、マルゴットが立ち塞がる。
彼女は分厚い本を広げ、呪文の様な言葉をブツブツと唱える。すると彼女に召喚された黒い手はポイっと近衛達を海へと放り投げた。
「「ギャー!!」」
男達は叫び声を上げ、沖の方まで飛ばされていく。黒い手は空になった両手で大公を掴む。
「ヒィ……!! 放してくれ! ジル! 侍女を止めてくれ!!」
巨大な手に握りしめられる大公の姿を見ると、少し気の毒に思え、ジルはマルゴットに声をかけようとした。しかし……。
「ジル!! 少し美しくなったからと調子に乗りやがって! すっからかんのクソ女のくせに!」
大公が放った許せない言葉に、ジルは彼を睨み付けた。
「頭すっからかんのオッサンには言われたくないのですわ!」
「何だと!!」
大公と醜い言い争いをするジルの隣で、ハイネが溜息を尽いた。呆れたのかもしれない。でも大公を憎む気持ちは収まらない。唇を噛み、俯く。
すると急にハイネが屈み、ジルの背と膝に手を回した。エッと思う間もなく、ジルの身体は持ち上げられる。
「きゃあ!!」
ハイネに横抱きにされていた。
ジルはやたら近い位置にあるハイネの顔に慌てる。
「俺にとって、ジルは価値がある人財だ。アンタが言うような、ただの外見だけの女じゃない! きっとブラウベルク帝国になくてはならない人間に育つ! 残念だったな。アンタに人を見る目があったら、ジルはきっと公国を強国にしただろうに」
ハイネは勝ち誇った表情で大公を笑い、ジルを抱えたまま波止場へ向かって歩みを進める。
彼が大公に対して言った言葉で、ジルは温かい気持ちになっていた。
「ハイネ様、有難うございます……」
「アイツに俺のお気に入りが貶されるのを黙って見てられなかったんだ」
近い位置にある彼の横顔は、今更ながらに赤く染まる。
首を捻り、大公の様子を確認すると、黒い手によって地面に引きずり込まれていた。
その哀れな姿を見ても、もう助けてやろうとは思わない。
ジルは大公にお別れの言葉をかける事にした。
「テオドール様! 私をブラウベルク帝国に送ってくれた事、感謝しますわ! 私、過去を捨て、新しい人生を歩みます!」
ジルが言葉を吐ききると同時に、大公の姿は完全に埋まった。
マルゴットの事だから、命を奪う事まではしてないだろうが、無事な姿では戻れなそうだ。
波止場に泊まった大型の帆船にジル達が乗り込むと、港に馬に乗った男が2人現れる。バシリーとオイゲンだった。2人の姿を目にし、ジルは心から安堵した。
「無事でしたのね! 良かったわ!」
「港に急いでいたら、先輩が1人で多数のハーターシュタインの近衛達と戦ってて、ヒヤヒヤしました」
「あのくらい、別に僕1人で片づけられたんですけどねぇ」
バシリーはヤレヤレと肩を竦めているが、その顔は傷を負っているし、腕は止血の為なのか、布がきつく巻き付けられている。けして楽な戦いではなかったはずだ。
「戦闘の隙を付かれて、大公の馬車を通してしまいましたが、大丈夫でしたか?」
「ああ。もう大丈夫だ。2人ともさっさと船に乗れ。出航するぞ」
「「了解しました!!」」
ハイネは2人を促し、ジルを抱えたまま船内へと入って行く。
「あの……、もう1人で歩けますわ」
「足を捻ってただろ? 揺れる船の上を歩くのは危険だし」
「うぅ……」
さっきから擦れ違う船員たちの生温かい視線が気になる。どう思われているのだろうか?
船内の最奥のドアをハイネが開く。室内は、意外と豪華な調度品でまとめられていた。
「ハイネ様の部屋ですか?」
「そうだ。今の時間からだったら、今日の夜までにはブラウベルクに着くから、それまでちょっと休もう」
ハイネはそう言うと、布が張られたカウチにジルを下ろしてくれた。
「有難うございます」
「桶に水を汲んで来る。今更かもしれないけど、捻挫した足を冷やした方がいいだろ」
「え!? 放っておいても!」
ジルの訴えは無視され、ハイネは部屋を出て行ってしまった。
1人になり、ジルは漸くハーターシュタインとの離別を意識する。
小さな窓から港が少しずつ離れていくのが見えたからだ。
ブラウベルクで生きていく事を決意したのに、少しだけ寂しい光景だった。
カウチから立ち上がり、窓に近寄る。
夜の闇に、港はすぐに見えなくなる。
嫌いではなかった母国。これでもう見納めなのかもしれない。
ボンヤリと波の動きを見るジルの背後でガチャリとドアが開いた。
「ジル……?」
「あ、お帰りなさい」
ハイネは手に持つ桶をカウチの下に置いた。
「もしかして、後悔してるのか? 俺に連れ去られる事」
「いえ。ブラウベルクにまた戻れるのは嬉しいです。ただ、もう実家に帰る事も、好きだった景色を見に行く事も出来なくなるのだと思って……。私は欲張りなのかもしれないですわ!」
「ブラウベルクで気に入る物を増やせばいい。俺が色んな所に連れて行って、ハーターシュタインの事はすぐ忘れさせてやる」
ランプに照らされたハイネはニヤリと悪人面で笑う。彼の自信溢れる態度が、ジルの憂鬱さを吹き飛ばした。
「まず私と一緒にトマトを食べてくださいませ。ブラウベルクに帰ったら、もうトマトが実っているかもしれませんわ」
「あぁ、そういえば食べさせてもらう約束をしてたよな? アンタが料理してくれるのか?」
「ええと……。料理は嗜み程度なので、あまり期待しないで下さいね!」
「おいおい、大丈夫かよ……」
「何とかなるものですわ! それに生でもいただけますしね」
さっそくブラウベルクに帰ってからの楽しみが出来て、心が弾む。
あの国で過ごした半年は、やはりそれなりに濃く、ハイネの他にもちゃんと関わり続けたい人々がいる。
庭師のモリッツは、ジルが居ない間にトマトやラナンキュラスの世話をしてくれていただろうし、ちゃんとお礼の品を贈りたい。
フェーベル教授には、グレート・ウーズでの騒動の件を謝らなければならない。
バシリーやオイゲンを一度食事に呼んでちゃんと話してみたいという思いもある。
そしてマルゴットとは引っ越す家を探さなければ!
(寂しさなんて、感じる暇もないかもしれないわ。だってちょっと考えただけで、やりたい事がたくさん思い浮かぶんだもの!)
「ちゃんと足冷やせよ。俺は少し……寝る。流石に疲れた」
ハイネはそう言うと、桶を置いたカウチと逆の一人掛けのソファに沈み込む様に座り、目を閉じた。
(ええ!? 同室で休むの!?)
動揺するが、ハイネが寝るのなら、特に問題ないのかもしれない。
カウチに座り、靴と絹の靴下を脱いで足を浸す。冷たい水は、ジルの眠気を覚ましていく。
向かい側に座るハイネはひじ掛けにもたれ、既に夢の世界に旅立っていそうだ。
その穏やかな寝顔を眺め、ジルはまた彼と関われる事を改めて嬉しく思えた。
マルゴットは術師との戦闘を思い出したのか、悔しそうに頬を膨らませた。
「まぁ、お父様が……? 先程分かり合えたけれど、数日前までは頑固親父だったものね……」
「ジルの実家に行ったらさ、アンタの母親が、侍女のマルゴットが捕まってると言ってたんだよ。だから出国前に開放しなきゃと思ったんだ。結構な金むしりとられた……」
「2人ともすいません……。私のせいで手を煩わせてしまったわ」
どうやら、野ばらの会は、金で動く様な組織らしい。同じ会員であっても一枚岩ではないのだろうか?
「金の事なら気にするな」
「それよりも私、捕まってしまう間際に、大公がジル様に触れられられなくなるように、呪いを重ね掛けしたんですが、お役に立てましたか?」
「ええ! 助かったわ!」
やはり大公がジルに触れられなくなっていたのは、マルゴットのお陰だった様だ。彼女の有能ぶりには頭が下がる。
再会を喜ぶ2人に対して、大公が声を荒げた。
「そうだったのか!? 侍女の分際で余計な事を! というか、その怪物からさっさと近衛兵たちを解放したまえ!」
「お断りします……。貴方にはきついお仕置きをしませんと……」
いきり立つ大公の前に、マルゴットが立ち塞がる。
彼女は分厚い本を広げ、呪文の様な言葉をブツブツと唱える。すると彼女に召喚された黒い手はポイっと近衛達を海へと放り投げた。
「「ギャー!!」」
男達は叫び声を上げ、沖の方まで飛ばされていく。黒い手は空になった両手で大公を掴む。
「ヒィ……!! 放してくれ! ジル! 侍女を止めてくれ!!」
巨大な手に握りしめられる大公の姿を見ると、少し気の毒に思え、ジルはマルゴットに声をかけようとした。しかし……。
「ジル!! 少し美しくなったからと調子に乗りやがって! すっからかんのクソ女のくせに!」
大公が放った許せない言葉に、ジルは彼を睨み付けた。
「頭すっからかんのオッサンには言われたくないのですわ!」
「何だと!!」
大公と醜い言い争いをするジルの隣で、ハイネが溜息を尽いた。呆れたのかもしれない。でも大公を憎む気持ちは収まらない。唇を噛み、俯く。
すると急にハイネが屈み、ジルの背と膝に手を回した。エッと思う間もなく、ジルの身体は持ち上げられる。
「きゃあ!!」
ハイネに横抱きにされていた。
ジルはやたら近い位置にあるハイネの顔に慌てる。
「俺にとって、ジルは価値がある人財だ。アンタが言うような、ただの外見だけの女じゃない! きっとブラウベルク帝国になくてはならない人間に育つ! 残念だったな。アンタに人を見る目があったら、ジルはきっと公国を強国にしただろうに」
ハイネは勝ち誇った表情で大公を笑い、ジルを抱えたまま波止場へ向かって歩みを進める。
彼が大公に対して言った言葉で、ジルは温かい気持ちになっていた。
「ハイネ様、有難うございます……」
「アイツに俺のお気に入りが貶されるのを黙って見てられなかったんだ」
近い位置にある彼の横顔は、今更ながらに赤く染まる。
首を捻り、大公の様子を確認すると、黒い手によって地面に引きずり込まれていた。
その哀れな姿を見ても、もう助けてやろうとは思わない。
ジルは大公にお別れの言葉をかける事にした。
「テオドール様! 私をブラウベルク帝国に送ってくれた事、感謝しますわ! 私、過去を捨て、新しい人生を歩みます!」
ジルが言葉を吐ききると同時に、大公の姿は完全に埋まった。
マルゴットの事だから、命を奪う事まではしてないだろうが、無事な姿では戻れなそうだ。
波止場に泊まった大型の帆船にジル達が乗り込むと、港に馬に乗った男が2人現れる。バシリーとオイゲンだった。2人の姿を目にし、ジルは心から安堵した。
「無事でしたのね! 良かったわ!」
「港に急いでいたら、先輩が1人で多数のハーターシュタインの近衛達と戦ってて、ヒヤヒヤしました」
「あのくらい、別に僕1人で片づけられたんですけどねぇ」
バシリーはヤレヤレと肩を竦めているが、その顔は傷を負っているし、腕は止血の為なのか、布がきつく巻き付けられている。けして楽な戦いではなかったはずだ。
「戦闘の隙を付かれて、大公の馬車を通してしまいましたが、大丈夫でしたか?」
「ああ。もう大丈夫だ。2人ともさっさと船に乗れ。出航するぞ」
「「了解しました!!」」
ハイネは2人を促し、ジルを抱えたまま船内へと入って行く。
「あの……、もう1人で歩けますわ」
「足を捻ってただろ? 揺れる船の上を歩くのは危険だし」
「うぅ……」
さっきから擦れ違う船員たちの生温かい視線が気になる。どう思われているのだろうか?
船内の最奥のドアをハイネが開く。室内は、意外と豪華な調度品でまとめられていた。
「ハイネ様の部屋ですか?」
「そうだ。今の時間からだったら、今日の夜までにはブラウベルクに着くから、それまでちょっと休もう」
ハイネはそう言うと、布が張られたカウチにジルを下ろしてくれた。
「有難うございます」
「桶に水を汲んで来る。今更かもしれないけど、捻挫した足を冷やした方がいいだろ」
「え!? 放っておいても!」
ジルの訴えは無視され、ハイネは部屋を出て行ってしまった。
1人になり、ジルは漸くハーターシュタインとの離別を意識する。
小さな窓から港が少しずつ離れていくのが見えたからだ。
ブラウベルクで生きていく事を決意したのに、少しだけ寂しい光景だった。
カウチから立ち上がり、窓に近寄る。
夜の闇に、港はすぐに見えなくなる。
嫌いではなかった母国。これでもう見納めなのかもしれない。
ボンヤリと波の動きを見るジルの背後でガチャリとドアが開いた。
「ジル……?」
「あ、お帰りなさい」
ハイネは手に持つ桶をカウチの下に置いた。
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「いえ。ブラウベルクにまた戻れるのは嬉しいです。ただ、もう実家に帰る事も、好きだった景色を見に行く事も出来なくなるのだと思って……。私は欲張りなのかもしれないですわ!」
「ブラウベルクで気に入る物を増やせばいい。俺が色んな所に連れて行って、ハーターシュタインの事はすぐ忘れさせてやる」
ランプに照らされたハイネはニヤリと悪人面で笑う。彼の自信溢れる態度が、ジルの憂鬱さを吹き飛ばした。
「まず私と一緒にトマトを食べてくださいませ。ブラウベルクに帰ったら、もうトマトが実っているかもしれませんわ」
「あぁ、そういえば食べさせてもらう約束をしてたよな? アンタが料理してくれるのか?」
「ええと……。料理は嗜み程度なので、あまり期待しないで下さいね!」
「おいおい、大丈夫かよ……」
「何とかなるものですわ! それに生でもいただけますしね」
さっそくブラウベルクに帰ってからの楽しみが出来て、心が弾む。
あの国で過ごした半年は、やはりそれなりに濃く、ハイネの他にもちゃんと関わり続けたい人々がいる。
庭師のモリッツは、ジルが居ない間にトマトやラナンキュラスの世話をしてくれていただろうし、ちゃんとお礼の品を贈りたい。
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バシリーやオイゲンを一度食事に呼んでちゃんと話してみたいという思いもある。
そしてマルゴットとは引っ越す家を探さなければ!
(寂しさなんて、感じる暇もないかもしれないわ。だってちょっと考えただけで、やりたい事がたくさん思い浮かぶんだもの!)
「ちゃんと足冷やせよ。俺は少し……寝る。流石に疲れた」
ハイネはそう言うと、桶を置いたカウチと逆の一人掛けのソファに沈み込む様に座り、目を閉じた。
(ええ!? 同室で休むの!?)
動揺するが、ハイネが寝るのなら、特に問題ないのかもしれない。
カウチに座り、靴と絹の靴下を脱いで足を浸す。冷たい水は、ジルの眠気を覚ましていく。
向かい側に座るハイネはひじ掛けにもたれ、既に夢の世界に旅立っていそうだ。
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