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褒美として与えられた自由
褒美として与えられた自由⑦
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「在る物全部!? ここに在るうちの半分、明日売る予定になってるだよ」
「あら、まぁ……。どうしましょう」
ジルはキョロキョロと室内の麻袋を見て回る。すると、パンパンに膨らんだ袋にインクで何か記号の様な物が描かれていた。全部の袋にその様な物が描かれているのだが、ジルには心当たりがないため、首を傾げる。
「ラーレ、この記号は何かしら?」
「それはどこの畑で作られた物かってのを示すもんだべ」
「この記号を見たら誰が作ったライ麦なのか分かるという事ね?」
「ああ、一度村で買い取って、行商人に売りつける事になってんだけど、村人の中には適当に干し草なんかを入れて誤魔化すアホがいるもんだからさ、おかしなモンが混ざってたら、誰が作ったか分かる様にこうやって描いておくのさ」
ジルはラーレの説明に感心して頷いた。
「なるほど、良い方法だわ! じゃあ、このライ麦を生産者ごとに1袋ずつ売ってもらえるかしら?」
「いいよ。ほんじゃあ明日売る予定分の麻袋も調べて、なるべく多くの村人が作ったライ麦をアンタに売る事にするか。ちょっと待ってな」
ラーレの物わかりの良さに、ジルは嬉しくなり微笑む。村長はたぶんラーレの様な出来る娘を持ったから、この村をまとめていけているのだろう。
「有難う。私に手伝える事はあるかしら?」
「高貴なお育ちのお嬢様に出来る事なんかなんもねーべ。外で待ってな!」
「あら……」
「自分は力に自信があるので手伝いますよ」
「一人で充分だ。邪魔だからアンタも外へ出てくれ」
オイゲンと2人外に出されてしまい、ジルはしょんぼりした。ハイネにも村長の家から追い出されたから、本日2度目だ。
(私、もっと鍛えた方がいいのかしら……?)
太っていた時と比べ、弱々しく見えるのかもしれないと、ジルはオイゲンに気付かれないように二の腕に力を入れてみたりして、肩を落とした。
小屋の中は、ラーレのテキパキとした働きにより、あっと言う間に3つの麻袋の山が出来た。作業を終えた彼女は粉塵防御用に巻いていたらしいスカーフを口から引き下げ、ジル達を手招きする。
2人で入ると、彼女は真ん中の麻袋の山を指さす。全部で8袋有った。
「これらがアンタに売るライ麦だ」
「有難う。助かるわ!」
「それと製粉だったか」
「ええ!」
「となりの部屋に行くべ」
麻袋を1つ担いだラーレに付いて行くと、隣の部屋には随分大きな軸木が水車から伸びており、クルクルと回っていた。
ラーレは麻袋を床にドサリと投げ、エプロンのポケットに入れていたナイフで切り裂く。彼女はもう一度袋を持ち上げると、碾臼ひきうすの上部にライ麦を入れていった。
その作業の様子がとても興味深く、ジルは臼に近寄ってマジマジと観察する。
臼の下から粉がどんどん出てくる様子が楽しい。
ジルが腰を低くして、臼に張り付いている様子がおかしかったのか、ラーレに少し笑われる。
「後は待つだけだべ!」
「どのくらい待てばいいのかしら?」
「10キロで4時間かかるね」
「まぁ、そんなに!?」
確かに臼から出てくる粉の量から考えると、かなり時間がかかりそうであり、ジルは顎を指に当てて悩む。買い取る分全部製粉するのは厳しいかもしれない。
「1袋50キロと考えると、6日~7日間程かかりますかね……」
オイゲンがジルの方を困った顔を向ける。
「ちょっと時間がかかりすぎるかもしれませんわね」
「はぁ……、お貴族様ってなんでこぅ……いいんだけどさ。全種類3キロずつ製粉して、全部区別した状態でアンタに届けてあげるべ。それなら今日中に作業が終わる。全部使いたいわけじゃないならそれでいいだろ?」
「それはいいわね!」
「製粉しない分の料金も払ってくれるんだろね?」
「勿論ですわ!」
ジルは、ラーレの柔軟な対応に感謝した。
明日の朝にジル達が宿泊する修道院まで製粉済のライ麦粉を運んでもらう事にし、受取完了で現物代と製粉代、運搬代を支払うと約束してから、ジルはオイゲンと共に小屋を出た。
「ラーレさんが出来る女性で助かりましたね」
「ええ、本当に! この村にとって彼女は宝物ですわね!」
オイゲンと話しながら村長の家まで戻ると、何故か人だかりが出来ていた。修道院からは騎士達も来ていて、かなりの人数がこの場に居る。
そしてどこからか叫び声が聞こえてくる。
村人達からやや離れて立つハイネの元に駆けよると、彼は半笑いで、屋根の上を指さす。
「え……? 何を……って、キャー!!!?」
何と屋根には、足を縄で縛られた村長が煙突に吊るされていた。頭に血が集まっているのか、怒りからなのか、顔を真っ赤にした彼は「助けてくれー!」と叫んでいた。
彼の傍にはバシリーが長い足を組んで座っている。
その様子を見て、ジルはゾッとした。
「ハイネ様が命じたんですの!?」
「アイツはちょっと懲らしめる必要があるからな」
ハイネの灰色の瞳がいつもに増して酷薄に見えて、怯みそうになるのを堪えながら、何とか訴える。
「それでも、こんな体罰を加えなくても!」
「アンタ、自分が危害を加えられそうになった事忘れたの?」
「忘れてないですけど……、ハイネ様にこんな事してほしくないんです。貴方の事、嫌いになりそうです!」
幼稚な事しか言えない自分に嫌気が差す。でもどうにか止めたくて、ジルはハイネを見上げながらポロポロと涙を流してしまう。
(ハイネ様はこの国の皇帝になる方だから、彼のやる事を咎めるなんて、するべきじゃないのに……)
ジルを見下ろす灰色の瞳が動揺したように揺らめき、眇められた。
「チッ……。オイゲン! あと5分経ったらバシリーと協力して村長を下ろしてやれ」
「は! 了解いたしました!」
ハイネはオイゲンに命じた後、ジルの手首を掴み、村人の集団から離れる様に引っ張る。
「ハイネ様?」
「アンタは人前で泣き顔を見せるな」
「だって、ハイネ様が……」
「ライ麦の事は調査に協力する責任があるのにしなかった。あれでも充分寛大な措置だ!」
「寛大じゃないですわ! ハイネ様はもしかしたら優しい人かもって思ったから、私結婚すると言われてもそこまで嫌じゃなかったのに……。また心無い人と結婚するなんて……ふぁ!?」
強引に引き寄せられ、思いっきり硬い物に顔をぶつける。目を開くと、ハイネが着ていた黒い上着の色が広がる。
「優しさだけで、舐められた状態で、どうやって国を治めるんだよ! 俺がやる事を受け入れられないなら、アンタはこうして見なければいいだろ!」
背中に腕を回され、ジルはパニックになる。
(だからって……別に抱きしめる必要は無いのでは!?)
「あら、まぁ……。どうしましょう」
ジルはキョロキョロと室内の麻袋を見て回る。すると、パンパンに膨らんだ袋にインクで何か記号の様な物が描かれていた。全部の袋にその様な物が描かれているのだが、ジルには心当たりがないため、首を傾げる。
「ラーレ、この記号は何かしら?」
「それはどこの畑で作られた物かってのを示すもんだべ」
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「ああ、一度村で買い取って、行商人に売りつける事になってんだけど、村人の中には適当に干し草なんかを入れて誤魔化すアホがいるもんだからさ、おかしなモンが混ざってたら、誰が作ったか分かる様にこうやって描いておくのさ」
ジルはラーレの説明に感心して頷いた。
「なるほど、良い方法だわ! じゃあ、このライ麦を生産者ごとに1袋ずつ売ってもらえるかしら?」
「いいよ。ほんじゃあ明日売る予定分の麻袋も調べて、なるべく多くの村人が作ったライ麦をアンタに売る事にするか。ちょっと待ってな」
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「有難う。私に手伝える事はあるかしら?」
「高貴なお育ちのお嬢様に出来る事なんかなんもねーべ。外で待ってな!」
「あら……」
「自分は力に自信があるので手伝いますよ」
「一人で充分だ。邪魔だからアンタも外へ出てくれ」
オイゲンと2人外に出されてしまい、ジルはしょんぼりした。ハイネにも村長の家から追い出されたから、本日2度目だ。
(私、もっと鍛えた方がいいのかしら……?)
太っていた時と比べ、弱々しく見えるのかもしれないと、ジルはオイゲンに気付かれないように二の腕に力を入れてみたりして、肩を落とした。
小屋の中は、ラーレのテキパキとした働きにより、あっと言う間に3つの麻袋の山が出来た。作業を終えた彼女は粉塵防御用に巻いていたらしいスカーフを口から引き下げ、ジル達を手招きする。
2人で入ると、彼女は真ん中の麻袋の山を指さす。全部で8袋有った。
「これらがアンタに売るライ麦だ」
「有難う。助かるわ!」
「それと製粉だったか」
「ええ!」
「となりの部屋に行くべ」
麻袋を1つ担いだラーレに付いて行くと、隣の部屋には随分大きな軸木が水車から伸びており、クルクルと回っていた。
ラーレは麻袋を床にドサリと投げ、エプロンのポケットに入れていたナイフで切り裂く。彼女はもう一度袋を持ち上げると、碾臼ひきうすの上部にライ麦を入れていった。
その作業の様子がとても興味深く、ジルは臼に近寄ってマジマジと観察する。
臼の下から粉がどんどん出てくる様子が楽しい。
ジルが腰を低くして、臼に張り付いている様子がおかしかったのか、ラーレに少し笑われる。
「後は待つだけだべ!」
「どのくらい待てばいいのかしら?」
「10キロで4時間かかるね」
「まぁ、そんなに!?」
確かに臼から出てくる粉の量から考えると、かなり時間がかかりそうであり、ジルは顎を指に当てて悩む。買い取る分全部製粉するのは厳しいかもしれない。
「1袋50キロと考えると、6日~7日間程かかりますかね……」
オイゲンがジルの方を困った顔を向ける。
「ちょっと時間がかかりすぎるかもしれませんわね」
「はぁ……、お貴族様ってなんでこぅ……いいんだけどさ。全種類3キロずつ製粉して、全部区別した状態でアンタに届けてあげるべ。それなら今日中に作業が終わる。全部使いたいわけじゃないならそれでいいだろ?」
「それはいいわね!」
「製粉しない分の料金も払ってくれるんだろね?」
「勿論ですわ!」
ジルは、ラーレの柔軟な対応に感謝した。
明日の朝にジル達が宿泊する修道院まで製粉済のライ麦粉を運んでもらう事にし、受取完了で現物代と製粉代、運搬代を支払うと約束してから、ジルはオイゲンと共に小屋を出た。
「ラーレさんが出来る女性で助かりましたね」
「ええ、本当に! この村にとって彼女は宝物ですわね!」
オイゲンと話しながら村長の家まで戻ると、何故か人だかりが出来ていた。修道院からは騎士達も来ていて、かなりの人数がこの場に居る。
そしてどこからか叫び声が聞こえてくる。
村人達からやや離れて立つハイネの元に駆けよると、彼は半笑いで、屋根の上を指さす。
「え……? 何を……って、キャー!!!?」
何と屋根には、足を縄で縛られた村長が煙突に吊るされていた。頭に血が集まっているのか、怒りからなのか、顔を真っ赤にした彼は「助けてくれー!」と叫んでいた。
彼の傍にはバシリーが長い足を組んで座っている。
その様子を見て、ジルはゾッとした。
「ハイネ様が命じたんですの!?」
「アイツはちょっと懲らしめる必要があるからな」
ハイネの灰色の瞳がいつもに増して酷薄に見えて、怯みそうになるのを堪えながら、何とか訴える。
「それでも、こんな体罰を加えなくても!」
「アンタ、自分が危害を加えられそうになった事忘れたの?」
「忘れてないですけど……、ハイネ様にこんな事してほしくないんです。貴方の事、嫌いになりそうです!」
幼稚な事しか言えない自分に嫌気が差す。でもどうにか止めたくて、ジルはハイネを見上げながらポロポロと涙を流してしまう。
(ハイネ様はこの国の皇帝になる方だから、彼のやる事を咎めるなんて、するべきじゃないのに……)
ジルを見下ろす灰色の瞳が動揺したように揺らめき、眇められた。
「チッ……。オイゲン! あと5分経ったらバシリーと協力して村長を下ろしてやれ」
「は! 了解いたしました!」
ハイネはオイゲンに命じた後、ジルの手首を掴み、村人の集団から離れる様に引っ張る。
「ハイネ様?」
「アンタは人前で泣き顔を見せるな」
「だって、ハイネ様が……」
「ライ麦の事は調査に協力する責任があるのにしなかった。あれでも充分寛大な措置だ!」
「寛大じゃないですわ! ハイネ様はもしかしたら優しい人かもって思ったから、私結婚すると言われてもそこまで嫌じゃなかったのに……。また心無い人と結婚するなんて……ふぁ!?」
強引に引き寄せられ、思いっきり硬い物に顔をぶつける。目を開くと、ハイネが着ていた黒い上着の色が広がる。
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