学野さんは学校にいたくない

まなびと夜

　髪を乾かし、歯も磨くとまなびはごろりとベッドに転がり込む。



　お母さんはもう寝てしまった。これは今日に限ったことではない。まなびのお母さんは朝が早いし、仕事で疲れていることもあってか比較的早く寝るタイプだ。

　だが、まなびはそうでもない。



「ふぇ～」と気の抜けた声を出すまなびは、そのまま近くの本棚を漁って雑誌や漫画を読む。

　ふかふかのベッドに着心地のいいシーツ、その上でだらだらゴロゴロする最高の時間。まったりと過ごすこの時も、まなびにとってはやはり幸せを感じる時間だ。

　気持ちいい場所で、リラックスして楽しいことをする。そうしていればおのずと眠気がやってくるものだが――まなびはなかなか眠りにつかない。

（ダメだ……どうしても、このまま寝るのは惜しい）

　そう考えてしまうまなびは、なかなか寝ようとしない。



　早く寝た方がいいのはわかっている。勉強だってとっくに終わった、明日のためにも夜更かしはしない方がいい。

　でも眠って、朝を迎えれば学校に行かなければいけないので――まなびは何となく、寝るのを先延ばしにしてしまう。

「あーあ、明日も学校かぁ……」

　揺るがしようのない事実を、まなびは改めて再確認する。



　学校なんて行きたくない。面倒くさい、大キライ。そんな本音を娯楽で潰し、ウトウトしてきたところでようやくまなびは部屋の明かりを消すのだった。