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まなびの食卓
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キャベツを千切りにしたまなびは、換気扇を回す。
ひき肉のパックからラップを剥がすと、その中身をフライパンへダイブさせた。
テフロン加工のフライパンは、油を引かなくても肉から出てくる油で十分火を通すことができるので心なしかヘルシーな気がする。ときどき、菜箸でかき混ぜていれば四角に固まっていたひき肉は徐々にそぼろへと姿を変えていった。同時に、合いびき肉の醸し出すジューシーな匂いがまなびの鼻を突きつける。
(あぁ、もう、この時点で既に美味しそう……! 早く焼けないかな……!)
そんな思いを抱えながら、まなびはひき肉を炒め続ける。
やがて肉から赤みが消えて、完全に火が通ったところで味を付ける。醤油、日本酒、塩コショウ。順当にいけば肉そぼろだが、まなびの料理はこれで終わらない。湧いて出てくる涎を抑えたまなびは一度、ジューシーな肉に背を向けた。
「どん!」
効果音をそのまま口に出したまなびの台詞だが、手に持たれているのは丼ぶりだ。つまりまなびは一人でダジャレを言っていることになるのだが、そんなことは百も承知。今のまなびは誰にも縛られない、フリーダムな存在なのだ。そうして気の向くまま、丼ぶりにご飯をよそうとその上に先ほど千切りにしたキャベツを乗せる。
ご飯を覆い隠す形となった、キャベツの草原。その上に炒めたひき肉を乗せ、チーズやケチャップをかければ――
「っタコライスの完成だ~!」
まなびは踊るようにそう言って、ルンルンで食卓につく。
丼ぶりものは洗い物が少ないし、ボリュームがあってお腹いっぱい食べられた気分になる。特にこのタコライスはまなびのお気に入りだ。きちんとテーブルにそれを置き、まなびは拝むように手を合わせた。
ひき肉のパックからラップを剥がすと、その中身をフライパンへダイブさせた。
テフロン加工のフライパンは、油を引かなくても肉から出てくる油で十分火を通すことができるので心なしかヘルシーな気がする。ときどき、菜箸でかき混ぜていれば四角に固まっていたひき肉は徐々にそぼろへと姿を変えていった。同時に、合いびき肉の醸し出すジューシーな匂いがまなびの鼻を突きつける。
(あぁ、もう、この時点で既に美味しそう……! 早く焼けないかな……!)
そんな思いを抱えながら、まなびはひき肉を炒め続ける。
やがて肉から赤みが消えて、完全に火が通ったところで味を付ける。醤油、日本酒、塩コショウ。順当にいけば肉そぼろだが、まなびの料理はこれで終わらない。湧いて出てくる涎を抑えたまなびは一度、ジューシーな肉に背を向けた。
「どん!」
効果音をそのまま口に出したまなびの台詞だが、手に持たれているのは丼ぶりだ。つまりまなびは一人でダジャレを言っていることになるのだが、そんなことは百も承知。今のまなびは誰にも縛られない、フリーダムな存在なのだ。そうして気の向くまま、丼ぶりにご飯をよそうとその上に先ほど千切りにしたキャベツを乗せる。
ご飯を覆い隠す形となった、キャベツの草原。その上に炒めたひき肉を乗せ、チーズやケチャップをかければ――
「っタコライスの完成だ~!」
まなびは踊るようにそう言って、ルンルンで食卓につく。
丼ぶりものは洗い物が少ないし、ボリュームがあってお腹いっぱい食べられた気分になる。特にこのタコライスはまなびのお気に入りだ。きちんとテーブルにそれを置き、まなびは拝むように手を合わせた。
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