学野さんは学校にいたくない

まなびと料理

　家族が帰って来る前に、まなびは台所に立って夕食の準備を始める。



「家事ならお母さんがやるからまなびは学生のうちに、部活でも委員会でも学校生活を楽しんでおきなさい」

　そう言われたもののまなびは学校にいたくないので、自分の趣味で寄り道・外出する以外は率先的に家事をやるようにしている。特に料理は、自分の好きな味を自分の好きなだけ作ることができるから実質まなびの楽しみの一つみたいなものだ。冷蔵庫の中身を見ながら、まなびは考える。

「今日使うのはひき肉で決まりだな……」

　賞味期限の早いひき肉を手に、まなびの頭の中で次々とメニューが組み上がっていく。

「オムレツ」
「ハンバーグ」
「キーマカレー」
「ミートスパゲッティ」……

　簡単に済ませることはできるが、ひき肉とはいえ「肉」のボリュームを落とすわけにはいかない。作る手間や洗い物の数、何より食べた時の満足感。これらを全て満たし、かつ「美味しい！」と満足のいくディナーを作る最適解は何か。

　腕を組み、考えるまなびは炊飯器の蓋を開けた。

「お米がいっぱいあるな……よし、今日はアレにしよう！」

　そうと決めたまなびはすぐ、キャベツを切り始める。とんとんと小気味よく、まな板と包丁で刻むそのリズムにまなびは鼻歌を乗せるのだった。