学野さんは学校にいたくない

まなびは器用

「できた―！！！」

　一人でそう歓声を上げたまなびの手には、自らのリメイクでマルチケースへと生まれ変わったお菓子の箱が握られている。

　保護シートを貼ってパッケージが痛まないようにし、それを接着や穴あけ・スナップボタンの取り付けによって変貌を遂げたそれ。ここにまなびの新たな宝物が誕生した、その出来栄えを見ながらまなびはひとりホクホク顔でにやけている。

「我ながら可愛いなぁーこれはもう私のDIY作品ベスト３に入る出来の傑作だよ。絵の入った部分もほとんど捨てずに済んだし……もう完璧！　動画見ながらとはいえ、こんなに綺麗にできるなんてさすが私！　手先が器用なだけあるよ！」



　――まなびがそこまで言い切るのには、理由がある。



　まなびはもともとDIYや小物などを自分で作ることが好きで、裁縫・ハンドメイド等の手先の器用さが求められる教科はかなり得意なのだ。美術はもちろん家庭科の成績だって学年でもトップレベルだし、運動部に所属している生徒へマスコットをプレゼントした時は他のクラスメートに羨ましがられるほどの傑作を作り出したこともある。



（……まぁ、あの時は色々あって着けてもらえなかったんだけどね……）



　苦い記憶を思い返してしまったまなびだが、それを振り切るようにまなびは目の前のリメイクマルチケースに目を向ける。我ながらいい出来のそれは、まなびにこれ以上ないほどの満足感をもたらした。

「よし、決めた！　せっかくリメイクして作ったケースだし、この中にはお菓子のパッケージをリメイクして作ったシールとかステッカーを入れるようにしよう！」

　一人でそう宣言するまなびだが、一度心の中に沸いたモヤモヤはなかなか降り切れず……結局、Youtubeで楽しい動画を見ながらしばらく気分転換をするのだった。