学野さんは学校にいたくない

まなびとショッピング

（……嫌なもの見ちゃったな。これは、直帰する前にちょっと目の保養をしなければ）

　そう考えたまなびは、学校を出たその足でまずは100均に向かう。



　100均は「百円均一」というその名に違わない金額で、実に色々なものが売られている。可愛いシール、面白い文房具、手芸用品に推し活グッズ。見ているだけで自分の趣味が、世界が広がり果てしないワクワクを提供してくれる場所だ。

　さらに店のブランドや立地にもよるが、最近はキャラクターとのコラボ商品を積極的に取り扱っている。今を時めく作品から十年以上前の懐かしい漫画アニメ、海外の有名アニメ映画や老若男女を問わず幅広い人気を誇るキャラクターなどその対応範囲は幅広い。しかもそのほとんどが「100均限定商品」となると、もうまなびはその魅力に憑りつかれて離れられなくなる。

（やっぱり長寿コンテンツのグッズが多いなぁ……あ、でも『戦国チートウォーズ』のランダムステッカーが一個だけ残ってる！　これは買わなきゃ！」

（あぁ、もう夏か。色々な水鉄砲が売ってるなぁ……背中にタンク積んで消防士みたいにバンバン水を飛ばせる奴とか、ちょっと高いけどバズーカみたいに大きな水鉄砲もあるし……ちょっと買ってみたいけど、ぶっちゃけ使う場面がないよなぁ……）

（あっそうだ！　ジャケ買いしたお菓子の箱をリメイクして、マルチケースにするつもりだった。両面テープと保護シートは前に別のものをDIYしたときの残りがまだあるけど、スナップボタンは買わなきゃ……）

（うわぁ、このシールすっごく可愛い！　これはシートシールファイルに入れて、じっくり愛でなければ……！）

　そうして、あらかた買うものに目星をつけたまなびはルンルンでレジに向かう。



　セルフレジを慣れた様子でさっさと買い物を終え、エコバッグに入れたまなびは今度こそ家に向かって真っすぐに変える。

　その頃にはもう、学校で気まずい思いをしたことなんてすっかり忘れてしまっていた。