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女神降臨(不審者確定)

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 マリーを待っている間、俺は所在なさげに突っ立っていることしかできない。



 何をするわけでもなく、スーパーの駐車場で繋がれた犬みたいに待っている俺をチラチラ見てくる人間がいる。
 老若男女は様々だが、どいつもこいつも少年漫画の主人公みたいな武器を持っていたり、魔女っ娘みたいなステッキを持っていたりするところを見るとたぶんマリーと同じくこのギルドに登録し何かしらの職業に就いた人間なのだろう。



 彼らから見た、俺は……無職(仮)で助けてもらった少女に奢ってもらう予定の異世界人。ちなみに自分は何もできないので、今後の予定は未定。



 ――ってヒモ同然じゃねぇかっ!



『いやー、なんだかんだあのサモナーちゃんを励ましてくれたっぽいね。いや、十分いいことだよ。少なくともそれで彼女は救われたし』

 突如、頭に響いてきたその声には聞き覚えがある。どこにでもいる普通の社畜だった俺を、こんなファンタジー世界にぶっ飛ばした張本人のポンコツ女神。

 思わずがばっと顔を上げるが、女神の姿はどこにもない。訝し気な目を向けられる中、女神の声だけが俺に語り掛けてくる。

『一人の人間の心を救ったって、立派な善行だよー。これは女神ポイント高い。とりあえず今日のディナーは彼女からいただくとして、今後は彼女と仲良くした方がいいね。あ、ちなみにこの世界の人間に見えないようしてあるからあんまりキョロキョロしない方がいいよ。ほら、みんな不審者を見る目で君を見てるじゃん』

 気づけばファンタジー世界の住人が、遠巻きに俺を見てヒソヒソと何か話し合っている。女子供をできるだけ近づけまいとするその視線は、完全に通学路に出た変質者を見る目だ。俺がぐるりと辺りを見回せば、みんな慌てて目を逸らしてくる。



 いや! 俺は何も害をもたらさないただの一般人ですから!

 何ならマリーに助けてもらうまでゴブリンにボコられていたぐらいですから! そんな危ない人間じゃないです! 警戒しないでください! お願いします!



 ……そんな心の叫びが届くはずもなく、俺はひたすらマリーが出てくるのを待つまで白い目に耐えることしかできないのだった。
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