元社畜が異世界でスローライフを行うことになったが、意外とそれが難しすぎて頭を抱えている

尾形モモ

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ギルドへGo!

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 ギルドって何だっけ。なんか世界史の授業で聞いたような……と考えているとマリーが説明してくれる。



 曰く、マリーのように魔物と戦う職業の人々が他の職種や団体から不当な扱いを受けることを防ぐために結成された組織であるとのこと。名前や職業、資格や能力などを登録しておけば仕事の斡旋と報酬の支払い・受け取りもしてくれるとのこと。複数人の登録者が集まり、パーティーを組んだらそれもまた団体登録として認められるとのこと。

 この世界におけるハローワークや協同組合みたいなものだろう、と俺は勝手に解釈する。



 考えてみれば、そのような集団が生まれることは必然のことだ。
 さっきのゴブリンみたいな化け物がいるのに、マリーのように戦える人材が集まらなければいつまでもモンスターの被害が広がることになる。逆に、せっかく能力なり時間なりがあるのにそれを振るう機会がなく困っている人間が生まれることだってあるだろう。ギルドはそれを解消する場所、「需要あるところに供給あり」を叶えるためにあるのだ。



 ……でも、俺たちは今マリーと食事をしようという話だったのになぜそのギルドに向かうことになるのか?



 そんな疑問が頭に浮かべば、マリーはそれにも答えてくれる。

「魔物退治の後は皆さん、祝勝会や労いのためにちょっとした宴会をすることが多いんです。だから、ギルドの周りには飲食店があることが多いんですよ」

「ギルドとは別物だけど、ギルドとセットになってるようなものってことか?」

「そんなところです」

 飲食業界はどこも、移り変わりが激しい。その中で立地を加味すれば、人が集まるところに店を出すのはこれもまた必然だろう。肉体労働をすればそれだけ腹も減るだろうし、うまい商売ではある。

 そんなことを考えて、マリーと共に歩いていれば少しずつ建築物が周りに増えていく。どうやらギルドが近づいているようだ、と思ったところでマリーがまた俺の方を向いた。
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