元社畜が異世界でスローライフを行うことになったが、意外とそれが難しすぎて頭を抱えている

尾形モモ

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助けてもらった側の美少女だけど質問に答えるよ

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 お礼の言葉を口にした彼女は、痛々しい傷を背負っている。

 本当ならここで「大丈夫?」と相手を気遣う素振りを見せるべきだろう。だが、今の俺にとってはそんなイケメンムーヴより「なんで?」という気持ちの方が強かった。



 君、強いじゃん。ゴブリン一人、いや一匹? を余裕で屠れるじゃん。なのになんでさっきまでやられてたの? 実は陽動作戦か何かの最中で、そこに俺が割って入ってきただけだったとかか。じゃあ俺、蹴られ損? 邪魔? 無様? 誰か説明して?



 そんな俺の疑問の数々に答えるべく、その少女は口を開く。

「その、私はサモナーなのですが……まだ新米で、強力な妖精を召喚するには時間がかかってしまうんです。だからあのオークに襲われた時も、召喚する時間を稼ぐことができず一方的にやられるばかりで……だから、あなたがあのオークの気を逸らしてくれて助かりました。本当にありがとうございます」

 もじもじ、おずおずしながら答える彼女は一応俺の抱える疑問に答えてくれているつもりらしい。



 だが、そんな専門用語たっぷりの回答を突きつけられたところで理解できるはずもなく……俺は改めて、自分が「?」と思ったことを一つ一つ尋ねていく。



「えっと、その……まず、君は『サモナー』という職業? に就いているんだよね。それで……その……『サモナー』って、何?」

 できるだけへりくだって、気恥ずかしさを全開にしながらそう尋ねる。すると目の前の自称サモナー少女は驚きに目を見開いたが、それはあっという間に可哀想な人を見る目へと変貌する。



 ……その反応、ちょっとショックだ。そう考える俺に対し、少女はまるで幼子に一つ一つ常識を教えるような口調で説明を始める。



「えっと、まず、サモナーは古くは『召喚術士』と言われていた職業で……この世に存在する様々な妖精を召喚し、使役することができます。と言っても、四大元素である火、水、風、土の妖精はかなり高位なのでそう簡単に呼び出したり命令を聞かせたりすることはできないのですが……私みたいな初級サモナーは召喚するのに時間がかかるんです」
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