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やべぇ、どうしよう(人間、互いに助け合って生きるべき!)

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 全身全霊をかけて耳を澄ます。

 ようやく聞こえた、自分以外の誰かの声。それも女神が言うところの「一日一善」を為そうとした矢先に聞こえた声だ。何か助けを求めているか、とりあえず「俺」という存在が必要で声を上げているに違いない。ここはダッシュだ、何がなんでもここで善行を積み少しでもあのボロ家ライフを快適なものにしなければならない。

 ……けど野性動物に襲われている最中とか、ヤバいモンスターがいるところだったらどうしよう……

 そんな不安がちらりと頭をよぎるが、俺はそれを振り切って声のする方へ駆けつける。どんな危険が待ち構えているかはわからない、ここでスルーしたらここまでの徒労が無駄になる。



 それに――誰かが助けを求めているなら、何か自分にできる行動をすべきだ。それは人として当然の行動。人間、困っている時は互いに助け合って生きていくべきだ。

 社畜時代の俺だって、小さな親切に救われてきた……結局死んじゃったけど。何にせよ、俺は気が付けば走り出していて――そんな俺の前に、その「助けを求める」人の姿が飛び込んでくる。

「助けて……! お願いです、助けてください……!」



 ――か細い悲鳴を上げる少女の姿。しかし、それより先に目を引いたのは醜悪な顔の大男だった。



 ブサイクとかそういう問題ではない。厳つい顔立ちに凶悪な目つき、口元から除く犬歯は明らかに人外のそれだ。それに加えて、プロレスラーかボディビルダーのような大柄な体躯……



 やべぇ、どうしよう。



 本音は冷や汗と共に、俺の背中から溢れ出た。
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