元社畜が異世界でスローライフを行うことになったが、意外とそれが難しすぎて頭を抱えている

尾形モモ

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異世界もなかなか世知辛い模様

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「ちょっと女神様、これどういうことですか!? 正直ちょっと期待してたのに……こんなボロ家じゃ、生活できないですよ!」

『おー、期待はしてたんだー。へぇーふーん?』

 俺の訴えと裏腹に女神はニヤニヤ、どこか楽しそうな声音で話しかけてくる。



 異世界で生まれ変わるチャンスをくれた相手とはいえ、能天気なその態度にイラっとして「出てきてくださいよ女神様!」と少し声を荒げる。すると女神は、慌てて会話を続けた。

『そうは言ってもねぇ、いくら全知全能のスーパーチート女神である私でも今ある世界に新しい土地と家をどーん! は難しいんだよ。そりゃ、世界のルールとか理は「その世界がどういう道を進んできたか」によって変わるけど、人間がいれば基本その土地の権利とか法律があるし……』

「だからって、こんなボロボロの家じゃおちおち寝ることもできないじゃないですか!」

『そんなのわかってるけどさぁ、いきなり異世界から来た第三者……つまりあなたが手にしても原住民、元からこの世界にいた人間たちが文句を言わないような家はここしか存在しなかったんだよ。例え空き家でも誰かがその家を所有してるなら、勝手にそれを奪うことはできないでしょ? それと同じ、ってことで……』

 なかなか世知辛い事情を説かれながらも、俺は納得できず食って掛かる。



「それにしたって、こんな汚い場所じゃ……まず掃除して、せめて人が住めるぐらいにはしないと生活していけませんよ」



 言いながら俺は、ホコリまみれの家具を見て溜め息をついた。
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