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ルーシーと地下室
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「ルーシー、悪いけれど地下倉庫に行ってくれないかい? 今度、お城で夜会を開くことになっているんだがお姫様が自分の魔法で燭台に火を点けるところをみんなに見せたいとおっしゃっていてね……地下には古い燭台が、収納されているはずなんだ。探してきてくれないかな?」
お城で働く騎士の一人にそう言われ、ルーシーは「はい、喜んで!」と元気よく返事をする。
地下倉庫は暗く、どこか不気味な様子が漂っているのでほとんどの人は近寄りたがらない。だけどルーシーは「これもお姫様と、お城の人たちのため」と思えばどんな所だってへっちゃらだった。
加えて、ルーシーはもともと好奇心旺盛なところもあり……お城の地下室。人気の少ない謎めいた空間。どんなものが出てくるかわからない、ワクワクする気持ち。どれもルーシーにとっては楽し気で、身近ではあるものの小さな「冒険」と呼ぶにふさわしい行為だった。
「ありがとうルーシー。これは、地下へ向かうための鍵だから。お姫様には『あんな暗い所に長居してはいけませんよ』って言われてるから、なるべく早めに行って早めに帰って来るんだぞ。それじゃあ、頼んだからな」
そう言い残し、騎士はすぐ自分の仕事に戻っていったが――ルーシーの心の中は、もう「王城の地下に隠された謎へ迫る!」という冒険へのときめきで胸がいっぱいだった。
(一体、何があるのかしら? お姫様の魔法で作られた宝物? それとも今までお姫様が着てきたたくさんのドレス? いや、きっと他にももっと珍しいものがあるかもしれない。まずは頼まれた燭台探しの方からだけど、とにかく今は早く行かなくちゃ!)
仕事への使命感。未知なる場所へ踏み込む期待。そこに何があるかわからない不安。それでも、そこに飛び込んでみたいという冒険心。色々な感情がごちゃ混ぜになったルーシーだったが、とにかく騎士からもらった鍵をぎゅっと持つとすぐにその場から駆け出し――地下へ続く扉の前で立ち止まった。
お城で働く騎士の一人にそう言われ、ルーシーは「はい、喜んで!」と元気よく返事をする。
地下倉庫は暗く、どこか不気味な様子が漂っているのでほとんどの人は近寄りたがらない。だけどルーシーは「これもお姫様と、お城の人たちのため」と思えばどんな所だってへっちゃらだった。
加えて、ルーシーはもともと好奇心旺盛なところもあり……お城の地下室。人気の少ない謎めいた空間。どんなものが出てくるかわからない、ワクワクする気持ち。どれもルーシーにとっては楽し気で、身近ではあるものの小さな「冒険」と呼ぶにふさわしい行為だった。
「ありがとうルーシー。これは、地下へ向かうための鍵だから。お姫様には『あんな暗い所に長居してはいけませんよ』って言われてるから、なるべく早めに行って早めに帰って来るんだぞ。それじゃあ、頼んだからな」
そう言い残し、騎士はすぐ自分の仕事に戻っていったが――ルーシーの心の中は、もう「王城の地下に隠された謎へ迫る!」という冒険へのときめきで胸がいっぱいだった。
(一体、何があるのかしら? お姫様の魔法で作られた宝物? それとも今までお姫様が着てきたたくさんのドレス? いや、きっと他にももっと珍しいものがあるかもしれない。まずは頼まれた燭台探しの方からだけど、とにかく今は早く行かなくちゃ!)
仕事への使命感。未知なる場所へ踏み込む期待。そこに何があるかわからない不安。それでも、そこに飛び込んでみたいという冒険心。色々な感情がごちゃ混ぜになったルーシーだったが、とにかく騎士からもらった鍵をぎゅっと持つとすぐにその場から駆け出し――地下へ続く扉の前で立ち止まった。
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