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現れた黒髪美少女
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一人寂しく、やさぐれていたテツヤはそこではっと振り返る。するとそこにいたのは――酒場中の目を釘付けにするような、凛とした美少女だった。
白い肌に、すらりとした手足。少ないが武具を身に着けているところを見ると、彼女もまた冒険者稼業を続ける者の一員なのだろう。その証拠に腰には地味だが、しっかりした作りの剣が差されている。
だが――それ以上に人々の目を引くのは、腰まで伸ばされた長い長い黒髪だった。
テツヤもまた「不吉だ」と言われる黒い髪の持ち主だが、目の前の少女はテツヤのそれを遥かに上回る。カラスの濡れ羽色、この世の闇を閉じ込めたような桎梏。それを絹糸のようにサラサラの状態で腰まで伸ばし、まるで周囲に見せつけているようですらある――その異様な姿がまた、彼女の美しさに妖しい魅力を付け足しているようだった。
「――隣の席、いいかしら?」
黒髪の美少女に声をかけられ、テツヤは戸惑いつつもこくこくと頷く。真横から彼女を見据えることになったテツヤは、しばらくその美貌に見惚れていた。
――テツヤ自身も、不吉と言われる黒髪だ。それが理由でパーティーを追放されたのだ、間違いない。だがここにいる彼女に比べれば、自分はせいぜい濃い目の灰色ぐらいとしか言えないだろう。それぐらい、テツヤの隣に座った美少女の髪は黒く一点の曇りもなかった。
テツヤの視線に気づいたのか、黒髪に美少女はテツヤの方に顔を向けてにっこり微笑む。それから、こう口を開いた。
「――ねぇ、良かったら私とパーティーを組まない?」
白い肌に、すらりとした手足。少ないが武具を身に着けているところを見ると、彼女もまた冒険者稼業を続ける者の一員なのだろう。その証拠に腰には地味だが、しっかりした作りの剣が差されている。
だが――それ以上に人々の目を引くのは、腰まで伸ばされた長い長い黒髪だった。
テツヤもまた「不吉だ」と言われる黒い髪の持ち主だが、目の前の少女はテツヤのそれを遥かに上回る。カラスの濡れ羽色、この世の闇を閉じ込めたような桎梏。それを絹糸のようにサラサラの状態で腰まで伸ばし、まるで周囲に見せつけているようですらある――その異様な姿がまた、彼女の美しさに妖しい魅力を付け足しているようだった。
「――隣の席、いいかしら?」
黒髪の美少女に声をかけられ、テツヤは戸惑いつつもこくこくと頷く。真横から彼女を見据えることになったテツヤは、しばらくその美貌に見惚れていた。
――テツヤ自身も、不吉と言われる黒髪だ。それが理由でパーティーを追放されたのだ、間違いない。だがここにいる彼女に比べれば、自分はせいぜい濃い目の灰色ぐらいとしか言えないだろう。それぐらい、テツヤの隣に座った美少女の髪は黒く一点の曇りもなかった。
テツヤの視線に気づいたのか、黒髪に美少女はテツヤの方に顔を向けてにっこり微笑む。それから、こう口を開いた。
「――ねぇ、良かったら私とパーティーを組まない?」
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