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追放された冒険者の今後

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 別のパーティーに加入できないのなら、ソロの冒険者になってはどうか。

 そう考える者は少ないし、実際どこのパーティーにも加入せず単独で全ての依頼をこなす冒険者も数多くいる。

 ただし、その場合はどこか他のパーティーに短期で飛び入り参加したり薬草集めなど簡単なクエストをを続けたりしながら食つなぐことになり……実際、テツヤがまだ「黄金の夜明け団」に所属していた時に組むこととなったソロの冒険者は愚痴をこぼしていた。

「一人でできる仕事なんて限られてくるから他のパーティーに協力を頼まなきゃいけない、それでも『ソロの冒険者』ってだけで見下されたりするからなかなか仕事にありつけない」

「未練たらしく冒険者を続けているが、ある程度お金が溜まったらもう冒険者を引退してどこか田舎に引っ越しそのまま『元冒険者』の肩書を使いながら細々と生きるつもりだ」

 そう語る彼は、強がるように無理に唇を上げ笑顔を作り出していて……テツヤはそれを不憫に思っていたものだ。



 ――だが今、テツヤがまさにそういう状況に追い込まれている。



 冒険者ご用達の酒場。他の客たちがそれぞれ、各々のパーティーメンバーと一緒に楽しく飲んでいるのにテツヤはたった一人で酒を煽っていた。



 これから俺は、どうすればいいんだろう?



 いつか自分たちのパーティーと組んだソロの冒険者のように、地道にソロの冒険者を続けながら貯金をするべきだろうか。だが自分がパーティーを追放された理由は「黒髪」というあやふやな、しかし一目見ただけでわかるその特徴を「気持ち悪い」と両断されたからだ。ソロの冒険者として働くにしてもそれはきっと、足枷になる。



 では冒険者を引退してしまうか? 

 ――テツヤはそれだけは、絶対に嫌だと考えていた。



 黄金の夜明け団の中で、たった一人自分を庇ってくれたパーティーリーダーのマクレガー。彼は黒髪である自分に偏見を持たず、時間があれば剣術の稽古だってしてくれた。そんな剣の道を、こんなところで手放したくない……
 葛藤と不安。理不尽への怒りと、自分を追放したパーティーメンバーへの怒り。

 その感情が全て混ざり合い、もはや自分の行く末はお先真っ暗とまで考えていた頃――



「――ねぇ、あなた。ひょっとして、ソロの冒険者?」
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