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追放されました

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「テツヤ。お前さ、悪いけど今日限りでこの『黄金の夜明け団』からは追放させてもらうから」

「――はぁっ!?」

 何の脈絡もなく、突然投げかけられたその言葉に俺は素っ頓狂な声を上げる。

「いや、さ。正直、前から黒髪のお前を雇ってるのってかなりマイナス面が強かったんだよね。パーティーの中で黒髪の奴がいる、ってだけで気味悪がられたりするし、そのせいで依頼を受けられながったりしたしさ……前はパーティーリーダーのマクレガーさんがいたらか置いておいてやったけど、マクレガーさんはこないだ殉職しちまったし……だから、悪いけどお前はこのパーティーを追放するってことでいいかな?」

「いや! 待てよ!そんなの、いいわけないだろう!」

 テツヤの職業は剣士。実力としては、まぁそこそこのものだっただろう。

 だが自身の黒髪――完全に真っ黒ではないが、錆色に近いこの髪が世界的には珍しく、「不吉だ」と気味悪がられていることはなんとなく実感していた。

 だが、こうも唐突にクビを宣告させるほど嫌われていたとは……理不尽に対する怒りと屈辱。それは今まで、曲がりも何も剣士としてパーティーの戦闘に貢献してきたつもりのテツヤには大きな精神的ダメージとなった。

「まぁ、そう落ち込むなよ。餞別の代わりに、マクレガーさんが最後に『これをテツヤへ渡してくれ』って言って俺に託してきたボロッちい剣があるし……それがあるからまぁ、これからもなんとか『剣士』として戦っていけることができるだろう」

 嘲笑と共に投げ渡されたのは、ずいぶん古びた様子の剣だった。

「まぁ、これから別のパーティーの仲間に入れてもらうってのは大変だと思うけど……黒髪のお前を雇ってくれて、フォローもしてくれたマクレガーさんの剣もあるんだし? これからせいぜい、就職活動頑張れよ」

 嘲笑を隠そうともせず、ケラケラと笑いながらその場を去っていく新しい黄金の夜明け団のリーダー――ユウは踵を返しテツヤの元を去っていく。



 取り残されたテツヤは、剣を片手に呆然とすることしかできなかった。
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