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最低の告白~友人が悪役令嬢にされそうになった~
ハナ・ムラサキ②
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「ヴィクトリア・フォン・デューク! 貴様との婚約は解消だ!」
華やかな卒業パーティーが水を打ったように静まり返る。
声を出したのはこの国の王太子。そんでもって、ヴィクトリア様の婚約者である、エドワード王子だった。
この人、私の前にいる時はへにゃへにゃした顔で笑っていたからあんまり好きじゃないんだよね。ヴィクトリア様という存在がありながらやたらお茶や買い物に誘われるのも嫌だし、何か褒める時に頭をぽんぽんと犬みたいに撫でられるのも嫌だ。ライジェルの言葉に公爵などの称号や「~様」という尊称以外の呼び方が存在しないとはいえ、やたら親しげに「ハナ」って呼び捨てにされるのも嫌いだった。つまり自分に対する態度が全部嫌なんだけど、そこはヴィクトリア様の婚約者でありこの国の王太子。無下にするわけにもいかないので、適当に笑いながら切り上げて済ませていた。ヴィクトリア様が「あんなことをする人じゃなかったのに……」と嘆きながらも窘めてくださったから、私もあまり気にしないことにしてたんだけどね。
「・・・・・・仰っている意味が、よくわかりませんわ」
「ハナ・ムラサキへの嫌がらせの数々、俺が知らないとでも思っていたのか! 我が国の外交相手としても重要な相手であるジェドの留学生である彼女にそのような行い、言語道断! 今すぐその罪の全てを告白し、甘んじて処分を受け入れよ!」
私は思わず「ほへっ?」と間抜けな声を上げた。
ジェドの人間の特徴である黒髪黒目はただでさえこの国、ライジェルの人々の目をひく。その上、いきなり名前を呼ばれたものだから会場中の視線が私に集まった。その状況を打破しようと、私は慌てて口を開く。
「あの、恐れ多くも申し上げます、エドワード王子。私はヴィクトリア様に嫌がらせなどされてはおりません」
「おお可哀想なハナ! ヴィクトリアからの報復を恐れているのだな!」
「いいえ、ヴィクトリア様を始めとするライジェルの方々はジェドからの留学生である私に大変良くしてくださっています」
「安心しろ! 何があっても俺はハナのことを守り抜く!」
もしもーし? 私の話は聞こえていますでしょうかー?
華やかな卒業パーティーが水を打ったように静まり返る。
声を出したのはこの国の王太子。そんでもって、ヴィクトリア様の婚約者である、エドワード王子だった。
この人、私の前にいる時はへにゃへにゃした顔で笑っていたからあんまり好きじゃないんだよね。ヴィクトリア様という存在がありながらやたらお茶や買い物に誘われるのも嫌だし、何か褒める時に頭をぽんぽんと犬みたいに撫でられるのも嫌だ。ライジェルの言葉に公爵などの称号や「~様」という尊称以外の呼び方が存在しないとはいえ、やたら親しげに「ハナ」って呼び捨てにされるのも嫌いだった。つまり自分に対する態度が全部嫌なんだけど、そこはヴィクトリア様の婚約者でありこの国の王太子。無下にするわけにもいかないので、適当に笑いながら切り上げて済ませていた。ヴィクトリア様が「あんなことをする人じゃなかったのに……」と嘆きながらも窘めてくださったから、私もあまり気にしないことにしてたんだけどね。
「・・・・・・仰っている意味が、よくわかりませんわ」
「ハナ・ムラサキへの嫌がらせの数々、俺が知らないとでも思っていたのか! 我が国の外交相手としても重要な相手であるジェドの留学生である彼女にそのような行い、言語道断! 今すぐその罪の全てを告白し、甘んじて処分を受け入れよ!」
私は思わず「ほへっ?」と間抜けな声を上げた。
ジェドの人間の特徴である黒髪黒目はただでさえこの国、ライジェルの人々の目をひく。その上、いきなり名前を呼ばれたものだから会場中の視線が私に集まった。その状況を打破しようと、私は慌てて口を開く。
「あの、恐れ多くも申し上げます、エドワード王子。私はヴィクトリア様に嫌がらせなどされてはおりません」
「おお可哀想なハナ! ヴィクトリアからの報復を恐れているのだな!」
「いいえ、ヴィクトリア様を始めとするライジェルの方々はジェドからの留学生である私に大変良くしてくださっています」
「安心しろ! 何があっても俺はハナのことを守り抜く!」
もしもーし? 私の話は聞こえていますでしょうかー?
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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