猫と結婚した悪役令嬢

尾形モモ

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結婚式

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「売り言葉に買い言葉」という表現がある。

 互いに言い争いをしているうちにカッとなって、とんでもないことを口走ってしまう。相手の手前、そのまま引き下がることもできずお互いに意地を張ったまま思いもよらない展開を引き起こしてしまう。

「——か、変わらぬ愛を、誓いますか?」
「にゃあ」



 その結果が、これである。



 純白のウエディングドレスを着る私の横で、黒いタキシード——わざわざこの日のために特注された——を着た猫が、退屈そうにあくびをする。



 そう。猫である。



 ぴん、と尖った耳に黄金色の毛。くりくりした丸い瞳に、頬からは長い髭。



 猫である。



 三百六十度、どこからどう見ても猫である。
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