3 / 7
惑星メトシェラ
しおりを挟む
惑星メトシェラ
1
首都ラマへ向かう道は、多民族で溢れていた。露天商も店を開き、見たことのない食べ物を売っていた。石原瑠奈は、物珍しそうに見ていた。しかし、行きかう人は、石原を見ると指を指して、何か呟いていた。そこに、
「動くな!殺すぞ」
石原は、刃物を突き付けられ、藪に連れ込まれた。
そこで、振り向くと、耳が少し尖っていて、透き通るような長い金髪、色白、碧眼、緑色の着物に似たローブを着た美しい少女がいた。
「エルフ?」
「日本人って、あたし見るとエルフ、エルフって言うんだよね。あたしは、エロフ族のシルフィーヌ大地の精霊使い」
「私を殺すの?」
石原は、恐る恐る聞いた。
「ふふ~ん。名乗ったのに殺さないよ。あんな大通りで、歩いていたら、捕まえてくれと言っているようなものだよ。名前なんていうんだい」
「私は、石原瑠奈」
「とりま。とりまって日本で流行っているんだろ」
「そこそこ流行っていますね」
シルフィーヌは、鞄から、薄いフード付きマントを出した。
「これを着な。特に黒い髪の毛は、目立つ」
「ありがとう、どうして助けてくれるの?」
「あたしのボスは、日本人が好きなのさ、そう言えばさーあのラノベっての面白いよな。何か日本の物もっていないのか?何も手に取る暇もなく、突然神隠しにあったのか?」
石原は、ポケットを探ったが何も入っていなかった。何故かスマートフォンも無くしたようである。
「ごめんなさい。何もなくて…」
「いいよ、いいよ。気にしなくて」
シルフィーヌは、大通りに二人で出た。首都ラマに入る前に検問所があった。石原は、緊張したが、シルフィーヌが通行書を見せるとすんなり通ることができた。
首都は、人で溢れかえっていた。シルフィーヌは、石原を気遣い、手を繫いだ。直ぐに路地に入り、小さな料理屋に入る。
「ただいま」
「おかえりシルフィーヌ。今日も、日本人助けたのかい?」
「あたし日本人好きだもん」
そう言うと、カウンターから、裏口に出て、外の階段を二階に上った。扉を開けると、中の人は、一斉に二人を見た。
「シルフィーヌ日本人がいたのか?」
「もういないと思ったが、運がいい」
シルフィーヌは、石原にマントを脱ぐように指示した。そして、
「この子は、石原瑠奈だ。みんな仲良くしてくれよ」
石原は、軽くお辞儀をした。すると長い黒髪の少女が近づいて来た。
「シルフィーヌに見つけてもらってよかったな。私は、天王寺ロシア。日本国籍だが、ベルニケ人だ」
「天王寺は、ベルニケから、日本に跳躍して、更に、神隠しに合い、メトシェラに来たんだ。まあ、あたしが言うのもなんだけど、凄く強いよ」
シルフィーヌは、小柄な天王寺の肩を叩いた。
「ベルニケってなんですか?」
「ベルニケは、この世界一の王国だった。しかし王は、民をしいたげ悪名高かった。全知の主は、怒られ、時乃澄香に聖絶を命じた。しかし時乃澄香は、王女リカルとその付き人ラーニャ他を別の世界に飛ばしたのだ、そしてたまたまいた私も飛んだ」
天王寺は、腕を組みしみじみ語った。石原は、時乃澄香の名前を聞くと、切なくなった。シルフィーヌは、どうしたのか分からなかったが、石原の両肩に手を置いてあげた。石原は、ものすごく安心した。そして語った。
「私は、時乃澄香を助けるために来たの!その条件は、メトシェラの日本人を助けること」
部屋の中にいた人々は、一斉に笑った。
「冗談はよしてよ。時乃澄香は、とっくに死んでいる、伝説の御使いなんだよ」
石原瑠奈は、どういうことか理解できなかった。
そこに、容姿端麗な青年が入ってきた。一同立ち上がり礼をした。
「日本人か?」
「はい。ジェスト様、あたしが見つけました」
「よくやったシルフィーヌ」
「てへへ」
「メトシェラの王ソドムは、日本人を捕らえ、劣悪な環境で虐げ、ここへきて更に不穏な動きがある。我々は、現政権を倒し、日本人を助け、日本の萌え文化を広めるのだ!」
ジェストの言葉に石原は、何か、腑に落ちないものを感じていた。正しいけど、何かが違うと。しかし、この人たちの計画に乗るのが良いと判断し、
「私も、戦いに参加させて下さい」
「日本人に何ができるのだ。ラノベでは、戦えないぞ」
「これを見て下さい」
石原は、雷を操る作業に入った。
「マイナーボルト」
しかし、現れた雷は、屋根を吹き飛ばし、多くの者が感電してしまった。
シルフィーヌは、自分の周りに、マジックシールドを張り、多くの者を助けた。
「まじか?」
天王寺は、石原の頬を平手で打った。シルフィーヌは、天王寺を止めた。
「叩かなくてもいいでしょ」
石原は、その場にしゃがみ泣いてしまった。
ジェストは、石原に、ハンカチを渡した。
そして、
「雷使いか、素晴らしい。我らに同行するのなら、血判し裏切らないことだ。天王寺かまわんな」
「はい。ジェスト様」
「我々の集まりは『ジャパン』と言う。忘れるな」
石原瑠奈は、泣き止んでから、血判し、仲間になることを誓った。
2
夜になり、石原瑠奈には、行き場がなくどうすればいいか困っていた。そこにシルフィーヌが来て。
「瑠奈!うちくる?」
「いいの」
「町の外だけど、いい所だよ」
石原は、フードを深く被り、シルフィーヌに付いて行った。首都の門を過ぎ、森まで一時間程歩き、家に着いた。
「これが、我が家だぞ」
「ツリーハウス?」
「よく知っているな。ささ、上って」
石原瑠奈は、はしごを登って行った。すると手を叩く音がしたので、下を見た。すると、シルフィーヌが手を一回叩き、指で2を作り、また、指で丸を作り、手を眉毛の辺りにかざしている。石原瑠奈は、怒り、
「もう見ないで、何処でそんなこと覚えたの?」
「助けた日本人が、お礼にって教えてくれたの」
石原は、扉を開けようとしたが、何かしらの術が架けてあり、開かなかった。シルフィーヌは、その扉を軽く開け、中へ入るように促した。
部屋の中は、薬学的な物も多いが、可愛いフィギュアが、多く飾ってあった。
「可愛い、よく手に入ったね」
「でしょ。日本人がくれたの、うしし」
石原は、感心しながら、部屋の中を見て回った。ベッドルームがあり、また可愛くデコレーションされていた。すると、シルフィーヌが抱き着いてきて、
「今日は、一緒に寝ようね」
石原は、また何か企んでいるのではないかと、疑っていた。
夜も深まり、シルフィーヌは、できる限りのもてなしをした。石原は、疑いながら食べたが、美味しかったので、絶賛した。
食後にシルフィーヌは、手製の歯ブラシと緑の液体の入ったフラスコを石原に渡した。
「これ何の液体?」
「それは、緑柳の樹液。ほら、貸して」
そう言うとシルフィーヌは、液を歯ブラシに付けて磨き始めた。その様子を見て安心したので、石原も磨いた。
「見てみて!芸能人は、歯がいのき!」
シルフィーヌは、真っ白な歯を見せて喜んでいる。
「また。誰から教えてもらったのそんな言葉」
「助けた日本人、お礼にってね」
石原は、変な子とシルフィーヌのこと思っていたけど、とても正義に熱く、純粋に、日本人のことが好きだと感じた。
「シルフィーヌ、お風呂はあるの?」
「あー日本人から聞いたことある。大きな桶に入るんだよね。残念ながら、我が家には、ないんだよ」
「シルフィーヌ体洗わないの?」
「精霊が清めてくれるからいらないの。瑠奈も雷使いだから、清めてくれると思うよ」
「あ。高遠さんもそんなこと言っていたな。やってみる」と石原。
「まった!」
「何?」
「屋根をふっとばす気かい。外で試してね」
シルフィーヌは、眉毛をぴくぴくさせながら、優しく言った。
石原瑠奈は、ツリーハウスから下りると、少し離れて、聖方陣を展開した。シルフィーヌはそれを見て興奮して、
「何それ、金色の魔方陣?」
石原瑠奈は、その場に正座すると、
「これは、聖方陣です」
「ふーん。なるほどね」
そう言うと、シルフィーヌは、石原の額を覗いた。
「ト・キ・ノ・ス・ミ・カ」
続けて、
「ラ・イ・ジ・ン・グ」
読み終えると、シルフィーヌは、納得した顔で、
「どうやら、伝説の御使い、時乃澄香は、石原瑠奈と契約し、今も存在している」
「信じてくれるの?」
「これを見たからには、信じないわけにはいかない」
石原は、涙を流し初め、
「澄香は、私を歩けるようにしてくれたの、だから今度は、私が助けないと…」
シルフィーヌは優しく石原の肩に手を置き、
「一人で背負うことはないよ。あたしもジェスト様も天王寺もいる。みんなで、伝説の御使い時乃澄香を助けよう。でも、どうやって?」
石原瑠奈は、アポリュオンに言われたことを、シルフィーヌに語った。その後、シルフィーヌは、複雑な思いで家に入り、精霊に清めてもらった。
石原も雷で清めようとしたが、自分に雷が落ちて、制服の一部が焦げてしまった。
石原は、ベッドルームで、シルフィーヌと一緒に寝ながら、霊脈とこっそり語りあっていた。シルフィーヌも、こっそり半目を開けて見ていたが、知らないふりをしていた。
3
石原瑠奈は、また、あの巨人の夢を見て、凍るような思いが起こり目を覚ました。横を見ると、シルフィーヌが手枕に横を向いて、微笑んでいた。
「どんな夢を見たか当てようか?」
「え!分かるの」
「分かるよ。こんな夢。大きな巨人に関節部分に、人がいて、首に玉座があり、王様と思しき人の姿があり。その巨人は、多くの人々を踏み潰し、やがて、別の世界に体を覗かせた」
「凄い!」
石原は、体を起こした。シルフィーヌは、続けて、
「解きあかしはこう。大きな巨人は、惑星メトシェラ。関節部分の人は、日本人。王様は、現国王ソドム。王は、民を踏み潰し、異世界に貴族たちの新しい体を与えるため攻め上る。こういう感じ」
石原は、驚きとともに、寒気を覚えた。そんな恐ろしいことが現実にあるのかと。
「新しい体は、どこで、手に入るか分かるの?」
シルフィーヌは、石原の黒い大きな瞳を覗き込んだ。
「間違いない、日本人だね。だから、今、首都で日本人狩りをしている。メトシェラにいる日本人だけだと貴族全体にいきわたらないし年寄じゃ意味がないから、ゲートを開き、日本の若者を狩り、魔術で、体を入れ替えようとしているんだね」
石原は、また寒気を覚えた。
「どうすれば、日本人を助けることが、できるの?」
シルフィーヌは体を起こし、
「今の戦力では、戦闘は不利、逃げることを考えた方がいい」
「逃げる?」
「そう。日本人がメトシェラからいなくなれば、この魔術は成功しない」
「どうして分かるの?」
「瑠奈の見た夢から分かったことだけど、日本人を触媒にする気だと思う」
「そんな恐ろしいこと…」
石原は、顔に両手を当て、泣きそうになった。
「一人でがんばらなくていいんだよ。昨日も言ったけど、あたしたちもいるから、安心してね。この一連のことが終われば、時乃澄香を助けることができると、あたしは、判断した」
石原は、顔から手を外し、シルフィーヌをまじまじと見た。
「凄いよ!シルフィーヌ。私の親友になって」
「親友という表現は良く分からないけど、戦友ならいいよ」
「ありがとう」
石原は、シルフィーヌに抱き付いた。
「瑠奈分かったよ。もう離して、あと、そろそろ清めないと、臭い出ているよ」
「ほんとに?」
石原は、臭いを嗅いでみる。確かに臭いが出てきている。
石原は、臭うと言われ恥ずかしく思った。なんとか雷で清めようと考え、
「がんばらないと」
「がんばるからいけないんだよ。委ねるの!
とりあえず。今日は、服を買おう。それだけでもかなり違うはずだよ」
石原は、またシルフィーヌに抱き付き、
「ありがとうシルフィーヌ」
と心を込めて言った。
4
二人は、町に入った。人の多さにぐったりであった。途中何度も占い師に呼び止められる。シルフィーヌは、関わりにならないことを勧めた。それは、占い師たちは、黒魔術に深く踏み込んでおり、隙あらば、触媒に人間を使おうとするからである。
凱旋門のある大通りを過ぎ、ひときわお洒落な通りに出る。シルフィーヌは『マウント・ルー』と言うお店に入り、石原に似合いそうな服を探した。
「瑠奈、これ着てみて」
「それ、巫女服でしょ?」
「雷使いだからかっこいいよ」
「しかも袴ではなくてミニスカートだし」
石原は、嫌がったが、シルフィーヌの勧めなので、試着することにする。
「やっぱり似合っている。カメラとか言うのあれば、写したいよ」
そう言うと、今度は、浅沓を持ってきた。
「履いて」
「シルフィーヌ、日本のコスプレの影響じゃないの?」
「コスプレ?何それ」
「知らないんだ」
シルフィーヌは、言いよってきたが、また知識増やすと、何を着せられるかわからないので、コスプレに関して触れないことにした。
石原は、シルフィーヌのショルダーバックを買って欲しいと願った。シルフィーヌは、快く、買ってくれた。そして、石原は、脱いだ制服を丁寧に、バックに入れた。
店を出ると、お昼を食べることになり、RPG好きなら喜びそうな、酒場へ入った。昼間から、いろんな人種の面々が酒を飲んでいた。
角のテーブルに席をとり、シルフィーヌは、食べ物を注文に行く。石原は、フードを深くかぶり、臭いのチェックをしていた。幸い、いい香りがしていたので、安心した。
鳥の丸焼きやライス、煮物野菜に、フルーツジュース。安心できる食べ物を食べた。ただ、シルフィーヌは、見慣れない物を一つ食べていた。よく見ると、蛙の丸焼きに見えた。石原は聞いてみた。
「シルフィーヌそれ何?蛙?」
「これは、メトシェラ蛙、食用蛙の仲間だよ。これを食べると、マナの回復速度があがるんだ」
「マナって何?」
「え!雷使いなのに、そんなことも知らないの?マナっていうのは、精霊を使う時のエネルギーだよ。なくなるともう回復するまで、精霊は使えない」
石原は、ゲームでよくあるあれか、と考えていた。
しばらくすると、マスターらしい人が来て、シルフィーヌに紙を渡した。石原は、これおもお決まりの、裏情報屋か何かと思い、微笑んだ。
「さて仕事が入った」
(やっぱり)と石原。
「日本人が一名、ロンという町で拘束されたらしい。ジェスト様からの伝言によると、他の活動で人数が少ない状況なので、あたしと瑠奈で助けるようにとのことだよ」
石原は、この展開にうんうんと頷いていた。
「で、問題が一つ、それは、石原も見た目で日本人とわかりすぎる。なので、頭に、猫の耳を付けるというのを提案したいな」
「巫女で猫耳ですか?まったくそれをコスプレと言うのですよ。あ!口がすべった」
「ふふ~ん。そうなのね。日本の文化ありがとう」
シルフィーヌは、喜びで軽く踊っている。
その後、石原は、闇医者の所に連れて行かれ、猫耳を付けることになる。幸い、痛くもなく、一か月もしたら、とれると言うことなので安心した。
やっと重苦しいフードをとり、町を歩ける。解放感から、一回転した。その時、黒ずくめの如何にも怪しい男と目があった。もう一度確認しようとしたが、男の姿はなかった。
気がかりであったが、心に閉まっておいた。
一通りの荷物を揃え、ロンへの旅路に出ることになった。シルフィーヌが言うには、やはり妖獣の類は出るらしいので、気を引き締めた。
定期運航のバスもあるが、貴族が管理しているので、庶民が乗るといろんな意味で怪しまれるらしい。シルフィーヌは、ここはいいところ見せたいと言い。ストーンゴーレムを召喚した。そして、二人は、ゴーレムの肩に乗り移動した。
「シルフィーヌ凄いよ。召喚できるんだね」
「いあーそれほどでもないよ。でもね戦いになったら、もっと強いの見せてあげるよ」
石原は、思った。高遠美鈴は、ジンという巨人を召喚していた。と言うことは、自分も何か召喚できるのではと考え霊脈と語った。雷を使うよりは、安全と考え試してみる。
「我!召喚する、ライトニングナイト」
言ってから、石原は、恥ずかしいと思った。そして、現れたのは、中学生くらいの女性戦士であった。頭には、ウィングヘルム、軽量な肌の露出の多い鎧、足にも羽の付いたブーツ、両手に持った剣は、雷を放ち、一撃で、妖獣を倒せると感じていた。
「何それ!召喚もできるの、しかも可愛い、あたしのゴーレムと変えようよ、と言うかゴーレムムキムキすぎるでしょ」
「でも強いか分からないよ?」
「じゃ、模擬戦する」
「やりましょう」と石原。
二人は、街道から外れた所で、模擬戦を始めた。最初は、互角であったが、ゴーレムのパンチを真面にくらい、ライトニングナイトは、消えた。
「以外に、あっさり負けたね。もしかして、そのライトニングナイトって、大群兵器じゃない?」
「大群兵器?」
「そう、単体で戦うのではなくて、複数で戦うの。たぶん召喚は、ライトニングナイト1レギオン」
石原は、恥ずかしかったが、
「ライトニングナイト、1レギオン」
現れたのは、四千のライトニングナイトであった。あまりの出来事に、二人は、硬直した。
「凄いよ!瑠奈」
「消すときは、どうするの?」
「大地の精霊なら、大地に帰れね。雷だから、あるべき所に帰れ!でいけるかも」
石原は、恥ずかしいなと思いながら、
「あるべき所へ帰れ」
するとライトニングナイトは、消えた。
「凄い!凄い!」
シルフィーヌは、飛び跳ねて喜んでいる。時間を大幅にとったので、再びゴーレムの肩に乗りロンへの道のりを急いだ。
5
一晩ゴーレムに揺られ、ロンに着いた。疲労は隠せなかったので、宿屋を探す。しかし、時間帯が悪いのか、泊めてもらえない、やむをえず、酒場に入り、テーブルでふせ寝する。
シルフィーヌは、精霊の力で、早くに回復し、日本人の行方を捜した。あまり、頼りたくはなかったが、黒魔術の占い師に、お金を払い、聞いてみる。占いによると、ニジットという貴族に捕らわれていると言うことであった。その足で、ニジットの家を確認し、酒場に戻る。石原瑠奈は、猫耳、巫女装束で、爆睡していた。シルフィーヌは、石原の肩を揺らし起こしてみる。しかし起きないので、鞄から小瓶を取り出し、石原に嗅がせる。すると、石原は、飛び起きて、くしゃみをした。
「もう!何するのよ」
「てへへ。ごめん」
「もう、いいけど日本人の居所わかったの?」
「ちょっと裏技使ったけど、居場所は掴んだよ」
「さすがだね」
「どういたしまして、とりま!食事しよ」
そういうと、シルフィーヌは、カウンターに注文に行った。
二人は、大皿料理を心行くまで食べた。石原は(人間ってこんなに食べることできるんだ)と感心しながら、自分のお腹をさすった。
夜までは、酒場で、時を過ごした。シルフィーヌに日本のアニメのことを話したら、もりあがり、大喜びしていた。
さて、時間も夕刻になり、ニジットの家に二人は向かった。家の周りは、厳重に警備され、装甲車や銃で武装した兵士が、守っていた。
「派手にやるしかなさそうだね!」
「様子見たほうがいいのでは?」
「あの鉄の車がいると言うことは、あたしの知らない武器がいっぱいあるはず。だから、先に攻撃して壊すの」
そう言うと、シルフィーヌは、
「大地の精霊よ、我召喚する、アイアンゴーレム」
身長十メートルはある。巨大な鉄光したゴーレムが現れた。シルフィーヌは、攻撃支持を出した。ゴーレムは、装甲車をボールのごとく投げ飛ばし、兵士たちも、彼方へ飛ばされた。そして、家の門を打ち壊し、中へと進んだ。シルフィーヌも家の中へ入った。遅れて、石原瑠奈も進んだ。瞬間、ゴーレムは、吹き飛び、シルフィーヌは、攻撃を受けたが、マジックシールドで防いだ。しかし別の方向から、水の矢が飛んできて、シルフィーヌの足を貫いた。
「水属性の攻撃!瑠奈!攻撃を防いで」
石原は、ウォーターアローをバリィで防いだ。そして素早くシルフィーヌの所に行き、状態を確認した。血の流失が早く、止血しないといけなかったが、
「シルフィーヌ久しぶりね」
二人のエロフが現れた。顔も似ているが服装が違う。男と女である。男のほうは、白いローブを身にまとい、振袖のような袖の服を着ている。女のほうは、ノースリーブの白い服でミニスカート、手首にフリルのブレスレットを左右にしている。
「瑠奈気を付けろ、この子らは、水の精霊使い。闇のギルドに属し、エロフの名を汚すもの」
「ずいぶん言ってくれるはね。ふっざまーないわね、もう動けないでしょ」
「もう昔のようには、いかないぜ」
「そちらの子初めて会うわね。わたくしの名は、ソネット。この子は、弟のコンドゥム」
石原瑠奈は、その名前を聞いて、笑い出した。シルフィーヌは、何が可笑しいのか分からなかった。散々笑って、しゃっくりを出しながら、
「誰であろうと、日本人を迫害する者には、ゆるさない」
「言うわね。獣人族に何ができるの、人にこび売って、ごろごろしているのがいいところだわ」
シルフィーヌは、石原に小声で言った。
「水の精霊に対して、大地の精霊は、弱いの、だけど、雷は、強いとか弱とかないから、アロー系の攻撃をするといい。あの二人も瑠奈のこと獣人族と思い込んでいるから都合がいい」
石原は、霊脈と語り、攻撃方法をすぐに学んだ。敵は、次の攻撃に入ろうとしていた。
石原は、大きな声で言った。
「サンダーアロー1レギオン」
四千もの矢が、ソネットとコンドゥムに向かっていった。二人は、マジックシールドをするが、突き抜け、次々矢が刺さった。戦闘不能状態になり、二人は、地面に崩れた。
「凄いよ!瑠奈」
石原は、シルフィーヌの傷を見て心配になった。
「医者とかいるの?」
「いるけど、早いのは、回復術を使えるヒーラーかな」
石原は、日本のゲームを思い出していた。PTにプリーストがいて、メンバーを回復する。その時思い出した。高遠美鈴の言ったことばである「癒し」自分の足が治ったのなら、シルフィーヌにもできると確信した。そして、傷口に手をかざし、
「ヒーリング」
まばゆい光が降臨して、シルフィーヌの傷を癒した。
「瑠奈、ほんとに凄い人だね。回復術なんて見たの初めてだよ。それほど珍しいんだよ」
石原は、少し傲慢になりそうだったが、長島魚人の言葉を思い出し。我に返り、
「私は、役に立たないしもべです」
とシルフィーヌに言った。
そして、二人は、ニジットの家の者を蹴散らし、牢屋にたどり着いた。そこには、十歳ぐらいの男の子がいた。手には大事そうに、金魚の絵が描いてあるバックを持っている。
「助けに来たよ。さあ出ておいで」
「僕を食べるんでしょ」
「食べないよ。あたしは、シルフィーヌ、この子は、石原瑠奈、日本人だよ」
「耳が付いてる」
「これは、わざと付けいているだけ」
「その金魚のバック農協のだよね」
石原は、優しく言った。その言葉が届いたのか、少年は、牢屋から出てきた。
「名前は?」
「鈴木隼人」
「隼人君、いい名だね」
シルフィーヌは、隼人君を抱きしめた。その後、困ったことに、貴族の軍隊が包囲していた。戦車や、ヘリコプター、武装した屈強な男たち、三人は、絶望の淵にいた。しかし石原は、まだ試していないことがあった。そして、
「聖方陣展開、テレポートゲート」
シルフィーヌは、またも驚き、石原を絶賛した。この時も、傲慢にならないために、石原は、長島魚人の言葉をおもいだしていた。
「さあ。入って」
「おじゃましまーす。ってここあたしの家じゃん」
三人は、シルフィーヌの家に移動した。
6
シルフィーヌは、一人、首都ラマに入った。それは、日本人二人連れての行動はかなり危険と感じたからである。そして、いつものたまり場の料理屋に入った。ドアを開けると、酷い異臭がした。中は、机はひっくり返り、椅子は粉々、ビンや皿も粉々、食材は、飛散り、奥には、死体が転がっていた。あの二人にこの惨劇を見せなくて良かったと、心から思った。死体の中に、ジェストも天王寺もいないので、少し安心したが、なんの手がかりもない、自分たちも家に隠れていれば少しは安心だが、いつ見つかるかと恐れているのは、嫌だと感じていた。
シルフィーヌは、夜通し、仲間の遺体を埋葬する作業をした。疲れを見せないために、精霊により清めた。日も上ったので、食糧を買い、家にもどる。二人ともよく眠っていた。
一通り、料理が終わると、石原瑠奈が起きてきた。
「シルフィーヌ、ごめんね寝ちゃった」
「いいよいいよ気にしないで、あたしも好きでしていることだから、そろそろ、あの子も起こして朝ごはん食べよ」
石原は、隼人を起こすと、テーブルにつかせた。変わった見た目の食べ物が多いので、隼人もどう食べていいか分からなかったが、石原が、食べてみせると、真似て食べた。
味のほうは、とても美味しかったようで、隼人は、ご機嫌であった。シルフィーヌは、これからどうしたものかと思案したが、
「これからのことだけど、首都にいるのは、危険すぎる、なので、マゴクに行こうと思おうの、マゴクには、エロフの仲間も多いし、必要な情報もそろうと思おうの。どう?」
「いいけど、ジェストとか天王寺に会わなくていいの?」
「実は、ジェスト様と昨日あって、命令を受けたの」
シルフィーヌは、嘘をついた。
「そうなんだ、ならいいけど。隼人君も一緒で大丈夫?」
「なんくるないさ」
「どこで、そんな言葉覚えたの!」
「助けた、日本人からだよ」
シルフィーヌは、得意げになっている。
「さあ。食事も終わったし、必要な荷物を用意して、出かけましょう」
「そんなに急がないといけないの?」
「そうこれは、緊急を要する任務なんだよ」
シルフィーヌは、明るく嘘をついた。その後、準備をして、マゴクへの道をゴーレムに乗り移動した。
1
首都ラマへ向かう道は、多民族で溢れていた。露天商も店を開き、見たことのない食べ物を売っていた。石原瑠奈は、物珍しそうに見ていた。しかし、行きかう人は、石原を見ると指を指して、何か呟いていた。そこに、
「動くな!殺すぞ」
石原は、刃物を突き付けられ、藪に連れ込まれた。
そこで、振り向くと、耳が少し尖っていて、透き通るような長い金髪、色白、碧眼、緑色の着物に似たローブを着た美しい少女がいた。
「エルフ?」
「日本人って、あたし見るとエルフ、エルフって言うんだよね。あたしは、エロフ族のシルフィーヌ大地の精霊使い」
「私を殺すの?」
石原は、恐る恐る聞いた。
「ふふ~ん。名乗ったのに殺さないよ。あんな大通りで、歩いていたら、捕まえてくれと言っているようなものだよ。名前なんていうんだい」
「私は、石原瑠奈」
「とりま。とりまって日本で流行っているんだろ」
「そこそこ流行っていますね」
シルフィーヌは、鞄から、薄いフード付きマントを出した。
「これを着な。特に黒い髪の毛は、目立つ」
「ありがとう、どうして助けてくれるの?」
「あたしのボスは、日本人が好きなのさ、そう言えばさーあのラノベっての面白いよな。何か日本の物もっていないのか?何も手に取る暇もなく、突然神隠しにあったのか?」
石原は、ポケットを探ったが何も入っていなかった。何故かスマートフォンも無くしたようである。
「ごめんなさい。何もなくて…」
「いいよ、いいよ。気にしなくて」
シルフィーヌは、大通りに二人で出た。首都ラマに入る前に検問所があった。石原は、緊張したが、シルフィーヌが通行書を見せるとすんなり通ることができた。
首都は、人で溢れかえっていた。シルフィーヌは、石原を気遣い、手を繫いだ。直ぐに路地に入り、小さな料理屋に入る。
「ただいま」
「おかえりシルフィーヌ。今日も、日本人助けたのかい?」
「あたし日本人好きだもん」
そう言うと、カウンターから、裏口に出て、外の階段を二階に上った。扉を開けると、中の人は、一斉に二人を見た。
「シルフィーヌ日本人がいたのか?」
「もういないと思ったが、運がいい」
シルフィーヌは、石原にマントを脱ぐように指示した。そして、
「この子は、石原瑠奈だ。みんな仲良くしてくれよ」
石原は、軽くお辞儀をした。すると長い黒髪の少女が近づいて来た。
「シルフィーヌに見つけてもらってよかったな。私は、天王寺ロシア。日本国籍だが、ベルニケ人だ」
「天王寺は、ベルニケから、日本に跳躍して、更に、神隠しに合い、メトシェラに来たんだ。まあ、あたしが言うのもなんだけど、凄く強いよ」
シルフィーヌは、小柄な天王寺の肩を叩いた。
「ベルニケってなんですか?」
「ベルニケは、この世界一の王国だった。しかし王は、民をしいたげ悪名高かった。全知の主は、怒られ、時乃澄香に聖絶を命じた。しかし時乃澄香は、王女リカルとその付き人ラーニャ他を別の世界に飛ばしたのだ、そしてたまたまいた私も飛んだ」
天王寺は、腕を組みしみじみ語った。石原は、時乃澄香の名前を聞くと、切なくなった。シルフィーヌは、どうしたのか分からなかったが、石原の両肩に手を置いてあげた。石原は、ものすごく安心した。そして語った。
「私は、時乃澄香を助けるために来たの!その条件は、メトシェラの日本人を助けること」
部屋の中にいた人々は、一斉に笑った。
「冗談はよしてよ。時乃澄香は、とっくに死んでいる、伝説の御使いなんだよ」
石原瑠奈は、どういうことか理解できなかった。
そこに、容姿端麗な青年が入ってきた。一同立ち上がり礼をした。
「日本人か?」
「はい。ジェスト様、あたしが見つけました」
「よくやったシルフィーヌ」
「てへへ」
「メトシェラの王ソドムは、日本人を捕らえ、劣悪な環境で虐げ、ここへきて更に不穏な動きがある。我々は、現政権を倒し、日本人を助け、日本の萌え文化を広めるのだ!」
ジェストの言葉に石原は、何か、腑に落ちないものを感じていた。正しいけど、何かが違うと。しかし、この人たちの計画に乗るのが良いと判断し、
「私も、戦いに参加させて下さい」
「日本人に何ができるのだ。ラノベでは、戦えないぞ」
「これを見て下さい」
石原は、雷を操る作業に入った。
「マイナーボルト」
しかし、現れた雷は、屋根を吹き飛ばし、多くの者が感電してしまった。
シルフィーヌは、自分の周りに、マジックシールドを張り、多くの者を助けた。
「まじか?」
天王寺は、石原の頬を平手で打った。シルフィーヌは、天王寺を止めた。
「叩かなくてもいいでしょ」
石原は、その場にしゃがみ泣いてしまった。
ジェストは、石原に、ハンカチを渡した。
そして、
「雷使いか、素晴らしい。我らに同行するのなら、血判し裏切らないことだ。天王寺かまわんな」
「はい。ジェスト様」
「我々の集まりは『ジャパン』と言う。忘れるな」
石原瑠奈は、泣き止んでから、血判し、仲間になることを誓った。
2
夜になり、石原瑠奈には、行き場がなくどうすればいいか困っていた。そこにシルフィーヌが来て。
「瑠奈!うちくる?」
「いいの」
「町の外だけど、いい所だよ」
石原は、フードを深く被り、シルフィーヌに付いて行った。首都の門を過ぎ、森まで一時間程歩き、家に着いた。
「これが、我が家だぞ」
「ツリーハウス?」
「よく知っているな。ささ、上って」
石原瑠奈は、はしごを登って行った。すると手を叩く音がしたので、下を見た。すると、シルフィーヌが手を一回叩き、指で2を作り、また、指で丸を作り、手を眉毛の辺りにかざしている。石原瑠奈は、怒り、
「もう見ないで、何処でそんなこと覚えたの?」
「助けた日本人が、お礼にって教えてくれたの」
石原は、扉を開けようとしたが、何かしらの術が架けてあり、開かなかった。シルフィーヌは、その扉を軽く開け、中へ入るように促した。
部屋の中は、薬学的な物も多いが、可愛いフィギュアが、多く飾ってあった。
「可愛い、よく手に入ったね」
「でしょ。日本人がくれたの、うしし」
石原は、感心しながら、部屋の中を見て回った。ベッドルームがあり、また可愛くデコレーションされていた。すると、シルフィーヌが抱き着いてきて、
「今日は、一緒に寝ようね」
石原は、また何か企んでいるのではないかと、疑っていた。
夜も深まり、シルフィーヌは、できる限りのもてなしをした。石原は、疑いながら食べたが、美味しかったので、絶賛した。
食後にシルフィーヌは、手製の歯ブラシと緑の液体の入ったフラスコを石原に渡した。
「これ何の液体?」
「それは、緑柳の樹液。ほら、貸して」
そう言うとシルフィーヌは、液を歯ブラシに付けて磨き始めた。その様子を見て安心したので、石原も磨いた。
「見てみて!芸能人は、歯がいのき!」
シルフィーヌは、真っ白な歯を見せて喜んでいる。
「また。誰から教えてもらったのそんな言葉」
「助けた日本人、お礼にってね」
石原は、変な子とシルフィーヌのこと思っていたけど、とても正義に熱く、純粋に、日本人のことが好きだと感じた。
「シルフィーヌ、お風呂はあるの?」
「あー日本人から聞いたことある。大きな桶に入るんだよね。残念ながら、我が家には、ないんだよ」
「シルフィーヌ体洗わないの?」
「精霊が清めてくれるからいらないの。瑠奈も雷使いだから、清めてくれると思うよ」
「あ。高遠さんもそんなこと言っていたな。やってみる」と石原。
「まった!」
「何?」
「屋根をふっとばす気かい。外で試してね」
シルフィーヌは、眉毛をぴくぴくさせながら、優しく言った。
石原瑠奈は、ツリーハウスから下りると、少し離れて、聖方陣を展開した。シルフィーヌはそれを見て興奮して、
「何それ、金色の魔方陣?」
石原瑠奈は、その場に正座すると、
「これは、聖方陣です」
「ふーん。なるほどね」
そう言うと、シルフィーヌは、石原の額を覗いた。
「ト・キ・ノ・ス・ミ・カ」
続けて、
「ラ・イ・ジ・ン・グ」
読み終えると、シルフィーヌは、納得した顔で、
「どうやら、伝説の御使い、時乃澄香は、石原瑠奈と契約し、今も存在している」
「信じてくれるの?」
「これを見たからには、信じないわけにはいかない」
石原は、涙を流し初め、
「澄香は、私を歩けるようにしてくれたの、だから今度は、私が助けないと…」
シルフィーヌは優しく石原の肩に手を置き、
「一人で背負うことはないよ。あたしもジェスト様も天王寺もいる。みんなで、伝説の御使い時乃澄香を助けよう。でも、どうやって?」
石原瑠奈は、アポリュオンに言われたことを、シルフィーヌに語った。その後、シルフィーヌは、複雑な思いで家に入り、精霊に清めてもらった。
石原も雷で清めようとしたが、自分に雷が落ちて、制服の一部が焦げてしまった。
石原は、ベッドルームで、シルフィーヌと一緒に寝ながら、霊脈とこっそり語りあっていた。シルフィーヌも、こっそり半目を開けて見ていたが、知らないふりをしていた。
3
石原瑠奈は、また、あの巨人の夢を見て、凍るような思いが起こり目を覚ました。横を見ると、シルフィーヌが手枕に横を向いて、微笑んでいた。
「どんな夢を見たか当てようか?」
「え!分かるの」
「分かるよ。こんな夢。大きな巨人に関節部分に、人がいて、首に玉座があり、王様と思しき人の姿があり。その巨人は、多くの人々を踏み潰し、やがて、別の世界に体を覗かせた」
「凄い!」
石原は、体を起こした。シルフィーヌは、続けて、
「解きあかしはこう。大きな巨人は、惑星メトシェラ。関節部分の人は、日本人。王様は、現国王ソドム。王は、民を踏み潰し、異世界に貴族たちの新しい体を与えるため攻め上る。こういう感じ」
石原は、驚きとともに、寒気を覚えた。そんな恐ろしいことが現実にあるのかと。
「新しい体は、どこで、手に入るか分かるの?」
シルフィーヌは、石原の黒い大きな瞳を覗き込んだ。
「間違いない、日本人だね。だから、今、首都で日本人狩りをしている。メトシェラにいる日本人だけだと貴族全体にいきわたらないし年寄じゃ意味がないから、ゲートを開き、日本の若者を狩り、魔術で、体を入れ替えようとしているんだね」
石原は、また寒気を覚えた。
「どうすれば、日本人を助けることが、できるの?」
シルフィーヌは体を起こし、
「今の戦力では、戦闘は不利、逃げることを考えた方がいい」
「逃げる?」
「そう。日本人がメトシェラからいなくなれば、この魔術は成功しない」
「どうして分かるの?」
「瑠奈の見た夢から分かったことだけど、日本人を触媒にする気だと思う」
「そんな恐ろしいこと…」
石原は、顔に両手を当て、泣きそうになった。
「一人でがんばらなくていいんだよ。昨日も言ったけど、あたしたちもいるから、安心してね。この一連のことが終われば、時乃澄香を助けることができると、あたしは、判断した」
石原は、顔から手を外し、シルフィーヌをまじまじと見た。
「凄いよ!シルフィーヌ。私の親友になって」
「親友という表現は良く分からないけど、戦友ならいいよ」
「ありがとう」
石原は、シルフィーヌに抱き付いた。
「瑠奈分かったよ。もう離して、あと、そろそろ清めないと、臭い出ているよ」
「ほんとに?」
石原は、臭いを嗅いでみる。確かに臭いが出てきている。
石原は、臭うと言われ恥ずかしく思った。なんとか雷で清めようと考え、
「がんばらないと」
「がんばるからいけないんだよ。委ねるの!
とりあえず。今日は、服を買おう。それだけでもかなり違うはずだよ」
石原は、またシルフィーヌに抱き付き、
「ありがとうシルフィーヌ」
と心を込めて言った。
4
二人は、町に入った。人の多さにぐったりであった。途中何度も占い師に呼び止められる。シルフィーヌは、関わりにならないことを勧めた。それは、占い師たちは、黒魔術に深く踏み込んでおり、隙あらば、触媒に人間を使おうとするからである。
凱旋門のある大通りを過ぎ、ひときわお洒落な通りに出る。シルフィーヌは『マウント・ルー』と言うお店に入り、石原に似合いそうな服を探した。
「瑠奈、これ着てみて」
「それ、巫女服でしょ?」
「雷使いだからかっこいいよ」
「しかも袴ではなくてミニスカートだし」
石原は、嫌がったが、シルフィーヌの勧めなので、試着することにする。
「やっぱり似合っている。カメラとか言うのあれば、写したいよ」
そう言うと、今度は、浅沓を持ってきた。
「履いて」
「シルフィーヌ、日本のコスプレの影響じゃないの?」
「コスプレ?何それ」
「知らないんだ」
シルフィーヌは、言いよってきたが、また知識増やすと、何を着せられるかわからないので、コスプレに関して触れないことにした。
石原は、シルフィーヌのショルダーバックを買って欲しいと願った。シルフィーヌは、快く、買ってくれた。そして、石原は、脱いだ制服を丁寧に、バックに入れた。
店を出ると、お昼を食べることになり、RPG好きなら喜びそうな、酒場へ入った。昼間から、いろんな人種の面々が酒を飲んでいた。
角のテーブルに席をとり、シルフィーヌは、食べ物を注文に行く。石原は、フードを深くかぶり、臭いのチェックをしていた。幸い、いい香りがしていたので、安心した。
鳥の丸焼きやライス、煮物野菜に、フルーツジュース。安心できる食べ物を食べた。ただ、シルフィーヌは、見慣れない物を一つ食べていた。よく見ると、蛙の丸焼きに見えた。石原は聞いてみた。
「シルフィーヌそれ何?蛙?」
「これは、メトシェラ蛙、食用蛙の仲間だよ。これを食べると、マナの回復速度があがるんだ」
「マナって何?」
「え!雷使いなのに、そんなことも知らないの?マナっていうのは、精霊を使う時のエネルギーだよ。なくなるともう回復するまで、精霊は使えない」
石原は、ゲームでよくあるあれか、と考えていた。
しばらくすると、マスターらしい人が来て、シルフィーヌに紙を渡した。石原は、これおもお決まりの、裏情報屋か何かと思い、微笑んだ。
「さて仕事が入った」
(やっぱり)と石原。
「日本人が一名、ロンという町で拘束されたらしい。ジェスト様からの伝言によると、他の活動で人数が少ない状況なので、あたしと瑠奈で助けるようにとのことだよ」
石原は、この展開にうんうんと頷いていた。
「で、問題が一つ、それは、石原も見た目で日本人とわかりすぎる。なので、頭に、猫の耳を付けるというのを提案したいな」
「巫女で猫耳ですか?まったくそれをコスプレと言うのですよ。あ!口がすべった」
「ふふ~ん。そうなのね。日本の文化ありがとう」
シルフィーヌは、喜びで軽く踊っている。
その後、石原は、闇医者の所に連れて行かれ、猫耳を付けることになる。幸い、痛くもなく、一か月もしたら、とれると言うことなので安心した。
やっと重苦しいフードをとり、町を歩ける。解放感から、一回転した。その時、黒ずくめの如何にも怪しい男と目があった。もう一度確認しようとしたが、男の姿はなかった。
気がかりであったが、心に閉まっておいた。
一通りの荷物を揃え、ロンへの旅路に出ることになった。シルフィーヌが言うには、やはり妖獣の類は出るらしいので、気を引き締めた。
定期運航のバスもあるが、貴族が管理しているので、庶民が乗るといろんな意味で怪しまれるらしい。シルフィーヌは、ここはいいところ見せたいと言い。ストーンゴーレムを召喚した。そして、二人は、ゴーレムの肩に乗り移動した。
「シルフィーヌ凄いよ。召喚できるんだね」
「いあーそれほどでもないよ。でもね戦いになったら、もっと強いの見せてあげるよ」
石原は、思った。高遠美鈴は、ジンという巨人を召喚していた。と言うことは、自分も何か召喚できるのではと考え霊脈と語った。雷を使うよりは、安全と考え試してみる。
「我!召喚する、ライトニングナイト」
言ってから、石原は、恥ずかしいと思った。そして、現れたのは、中学生くらいの女性戦士であった。頭には、ウィングヘルム、軽量な肌の露出の多い鎧、足にも羽の付いたブーツ、両手に持った剣は、雷を放ち、一撃で、妖獣を倒せると感じていた。
「何それ!召喚もできるの、しかも可愛い、あたしのゴーレムと変えようよ、と言うかゴーレムムキムキすぎるでしょ」
「でも強いか分からないよ?」
「じゃ、模擬戦する」
「やりましょう」と石原。
二人は、街道から外れた所で、模擬戦を始めた。最初は、互角であったが、ゴーレムのパンチを真面にくらい、ライトニングナイトは、消えた。
「以外に、あっさり負けたね。もしかして、そのライトニングナイトって、大群兵器じゃない?」
「大群兵器?」
「そう、単体で戦うのではなくて、複数で戦うの。たぶん召喚は、ライトニングナイト1レギオン」
石原は、恥ずかしかったが、
「ライトニングナイト、1レギオン」
現れたのは、四千のライトニングナイトであった。あまりの出来事に、二人は、硬直した。
「凄いよ!瑠奈」
「消すときは、どうするの?」
「大地の精霊なら、大地に帰れね。雷だから、あるべき所に帰れ!でいけるかも」
石原は、恥ずかしいなと思いながら、
「あるべき所へ帰れ」
するとライトニングナイトは、消えた。
「凄い!凄い!」
シルフィーヌは、飛び跳ねて喜んでいる。時間を大幅にとったので、再びゴーレムの肩に乗りロンへの道のりを急いだ。
5
一晩ゴーレムに揺られ、ロンに着いた。疲労は隠せなかったので、宿屋を探す。しかし、時間帯が悪いのか、泊めてもらえない、やむをえず、酒場に入り、テーブルでふせ寝する。
シルフィーヌは、精霊の力で、早くに回復し、日本人の行方を捜した。あまり、頼りたくはなかったが、黒魔術の占い師に、お金を払い、聞いてみる。占いによると、ニジットという貴族に捕らわれていると言うことであった。その足で、ニジットの家を確認し、酒場に戻る。石原瑠奈は、猫耳、巫女装束で、爆睡していた。シルフィーヌは、石原の肩を揺らし起こしてみる。しかし起きないので、鞄から小瓶を取り出し、石原に嗅がせる。すると、石原は、飛び起きて、くしゃみをした。
「もう!何するのよ」
「てへへ。ごめん」
「もう、いいけど日本人の居所わかったの?」
「ちょっと裏技使ったけど、居場所は掴んだよ」
「さすがだね」
「どういたしまして、とりま!食事しよ」
そういうと、シルフィーヌは、カウンターに注文に行った。
二人は、大皿料理を心行くまで食べた。石原は(人間ってこんなに食べることできるんだ)と感心しながら、自分のお腹をさすった。
夜までは、酒場で、時を過ごした。シルフィーヌに日本のアニメのことを話したら、もりあがり、大喜びしていた。
さて、時間も夕刻になり、ニジットの家に二人は向かった。家の周りは、厳重に警備され、装甲車や銃で武装した兵士が、守っていた。
「派手にやるしかなさそうだね!」
「様子見たほうがいいのでは?」
「あの鉄の車がいると言うことは、あたしの知らない武器がいっぱいあるはず。だから、先に攻撃して壊すの」
そう言うと、シルフィーヌは、
「大地の精霊よ、我召喚する、アイアンゴーレム」
身長十メートルはある。巨大な鉄光したゴーレムが現れた。シルフィーヌは、攻撃支持を出した。ゴーレムは、装甲車をボールのごとく投げ飛ばし、兵士たちも、彼方へ飛ばされた。そして、家の門を打ち壊し、中へと進んだ。シルフィーヌも家の中へ入った。遅れて、石原瑠奈も進んだ。瞬間、ゴーレムは、吹き飛び、シルフィーヌは、攻撃を受けたが、マジックシールドで防いだ。しかし別の方向から、水の矢が飛んできて、シルフィーヌの足を貫いた。
「水属性の攻撃!瑠奈!攻撃を防いで」
石原は、ウォーターアローをバリィで防いだ。そして素早くシルフィーヌの所に行き、状態を確認した。血の流失が早く、止血しないといけなかったが、
「シルフィーヌ久しぶりね」
二人のエロフが現れた。顔も似ているが服装が違う。男と女である。男のほうは、白いローブを身にまとい、振袖のような袖の服を着ている。女のほうは、ノースリーブの白い服でミニスカート、手首にフリルのブレスレットを左右にしている。
「瑠奈気を付けろ、この子らは、水の精霊使い。闇のギルドに属し、エロフの名を汚すもの」
「ずいぶん言ってくれるはね。ふっざまーないわね、もう動けないでしょ」
「もう昔のようには、いかないぜ」
「そちらの子初めて会うわね。わたくしの名は、ソネット。この子は、弟のコンドゥム」
石原瑠奈は、その名前を聞いて、笑い出した。シルフィーヌは、何が可笑しいのか分からなかった。散々笑って、しゃっくりを出しながら、
「誰であろうと、日本人を迫害する者には、ゆるさない」
「言うわね。獣人族に何ができるの、人にこび売って、ごろごろしているのがいいところだわ」
シルフィーヌは、石原に小声で言った。
「水の精霊に対して、大地の精霊は、弱いの、だけど、雷は、強いとか弱とかないから、アロー系の攻撃をするといい。あの二人も瑠奈のこと獣人族と思い込んでいるから都合がいい」
石原は、霊脈と語り、攻撃方法をすぐに学んだ。敵は、次の攻撃に入ろうとしていた。
石原は、大きな声で言った。
「サンダーアロー1レギオン」
四千もの矢が、ソネットとコンドゥムに向かっていった。二人は、マジックシールドをするが、突き抜け、次々矢が刺さった。戦闘不能状態になり、二人は、地面に崩れた。
「凄いよ!瑠奈」
石原は、シルフィーヌの傷を見て心配になった。
「医者とかいるの?」
「いるけど、早いのは、回復術を使えるヒーラーかな」
石原は、日本のゲームを思い出していた。PTにプリーストがいて、メンバーを回復する。その時思い出した。高遠美鈴の言ったことばである「癒し」自分の足が治ったのなら、シルフィーヌにもできると確信した。そして、傷口に手をかざし、
「ヒーリング」
まばゆい光が降臨して、シルフィーヌの傷を癒した。
「瑠奈、ほんとに凄い人だね。回復術なんて見たの初めてだよ。それほど珍しいんだよ」
石原は、少し傲慢になりそうだったが、長島魚人の言葉を思い出し。我に返り、
「私は、役に立たないしもべです」
とシルフィーヌに言った。
そして、二人は、ニジットの家の者を蹴散らし、牢屋にたどり着いた。そこには、十歳ぐらいの男の子がいた。手には大事そうに、金魚の絵が描いてあるバックを持っている。
「助けに来たよ。さあ出ておいで」
「僕を食べるんでしょ」
「食べないよ。あたしは、シルフィーヌ、この子は、石原瑠奈、日本人だよ」
「耳が付いてる」
「これは、わざと付けいているだけ」
「その金魚のバック農協のだよね」
石原は、優しく言った。その言葉が届いたのか、少年は、牢屋から出てきた。
「名前は?」
「鈴木隼人」
「隼人君、いい名だね」
シルフィーヌは、隼人君を抱きしめた。その後、困ったことに、貴族の軍隊が包囲していた。戦車や、ヘリコプター、武装した屈強な男たち、三人は、絶望の淵にいた。しかし石原は、まだ試していないことがあった。そして、
「聖方陣展開、テレポートゲート」
シルフィーヌは、またも驚き、石原を絶賛した。この時も、傲慢にならないために、石原は、長島魚人の言葉をおもいだしていた。
「さあ。入って」
「おじゃましまーす。ってここあたしの家じゃん」
三人は、シルフィーヌの家に移動した。
6
シルフィーヌは、一人、首都ラマに入った。それは、日本人二人連れての行動はかなり危険と感じたからである。そして、いつものたまり場の料理屋に入った。ドアを開けると、酷い異臭がした。中は、机はひっくり返り、椅子は粉々、ビンや皿も粉々、食材は、飛散り、奥には、死体が転がっていた。あの二人にこの惨劇を見せなくて良かったと、心から思った。死体の中に、ジェストも天王寺もいないので、少し安心したが、なんの手がかりもない、自分たちも家に隠れていれば少しは安心だが、いつ見つかるかと恐れているのは、嫌だと感じていた。
シルフィーヌは、夜通し、仲間の遺体を埋葬する作業をした。疲れを見せないために、精霊により清めた。日も上ったので、食糧を買い、家にもどる。二人ともよく眠っていた。
一通り、料理が終わると、石原瑠奈が起きてきた。
「シルフィーヌ、ごめんね寝ちゃった」
「いいよいいよ気にしないで、あたしも好きでしていることだから、そろそろ、あの子も起こして朝ごはん食べよ」
石原は、隼人を起こすと、テーブルにつかせた。変わった見た目の食べ物が多いので、隼人もどう食べていいか分からなかったが、石原が、食べてみせると、真似て食べた。
味のほうは、とても美味しかったようで、隼人は、ご機嫌であった。シルフィーヌは、これからどうしたものかと思案したが、
「これからのことだけど、首都にいるのは、危険すぎる、なので、マゴクに行こうと思おうの、マゴクには、エロフの仲間も多いし、必要な情報もそろうと思おうの。どう?」
「いいけど、ジェストとか天王寺に会わなくていいの?」
「実は、ジェスト様と昨日あって、命令を受けたの」
シルフィーヌは、嘘をついた。
「そうなんだ、ならいいけど。隼人君も一緒で大丈夫?」
「なんくるないさ」
「どこで、そんな言葉覚えたの!」
「助けた、日本人からだよ」
シルフィーヌは、得意げになっている。
「さあ。食事も終わったし、必要な荷物を用意して、出かけましょう」
「そんなに急がないといけないの?」
「そうこれは、緊急を要する任務なんだよ」
シルフィーヌは、明るく嘘をついた。その後、準備をして、マゴクへの道をゴーレムに乗り移動した。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

安全第一異世界生活
笑田
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
異世界で出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて
婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の冒険生活目指します!!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる