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狙われた日本人 3

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 文化祭当日。時乃は、フィンからメイド服三着フル装備を受け取る。かなりの荷物になった。紙袋に入れ学園に向かう。
 教室は、前日に飾り付けを終えていた。あとは、クラスの女子が、メイド服姿になるだけである。一年二組は三十五名、女子は、十六名。
 メイド服に着替えた女子生徒が、教室に入ってきた。
 男子生徒のどよめきが起こった。私立の学園だけに各自メイド服の仕立てはとてもいいものであった。
 時乃、石原、錦野は、フリルカチューシャ、ミニ丈のエプロンドレス、オーバーニー、胸のリボン、綺麗な革靴、あまりにもマニアックなため、男子生徒の目をひいた。
 もう一人、異さいなメイド服の生徒がいた。頭に古風なメイドキャップを被り、エプロンドレスも古風、だぶついた感じはなく、しっかり体のラインを出すタイプである。背は低いけれど、胸の膨らみが、補っていた。時乃の後に転校してきた高遠である。
 花火の音と共に、文化祭は、始まった。噂を聞きつけた男子生徒が、一年二組に殺到した。車椅子の石原といつも一緒の錦野は、入口で挨拶をする担当である。
「いらっしゃいませ。ご主人様」
「はー。ご主人様ばかりね」と石原。
「予想はしていたけどね」と錦野。
 時乃は、高遠と案内役をする。
「ご主人様こちらへどうぞ」と時乃。
「ご主人様メニューです」と高遠。
 そんな感じで、珍しい時乃と高遠のツーショットがあった。男子生徒は、スマートフォンのカメラなどで写真を撮りはじめる。
 石原は、入口に知った顔を見た。
「お兄ちゃん、遅いよ。もっと早くこないと」
「ごめんごめん」
「いらっしゃいませ。ご主人様」と錦野。
 時乃が真鍮色の髪をなびかせながら、やって来た。
「ご主人様、ただいま満席になっております。番号札を持ってお待ちください」と時乃。
 石原真咲は、時乃を見ると、心臓の鼓動が大きくなり。たまらない気持になった。
「やあ!時乃さん」と挨拶してみる。
「石原のお兄さん。どうもです」と時乃。
 時乃は、白い手を前に組み、笑みを浮かべてお辞儀をした。
 石原真咲は、何かに限界を感じて。
「あ…後できます。じゃー」
 石原瑠奈は小声で「もーお兄ちゃん」と言った。

 文化祭も午後になり、メイド喫茶も空席が出始めてきたので、各自、交代で休憩を取り始めていた。

 一人の少女が、学園の廊下を歩いていた。真鋳色の髪に、白い肌、茶色の綺麗な瞳、身長は百五十センチ位で、ゴシックロリータの服に身を包み、革靴の子気味良い音がしていた。その妖艶な姿から、行きかう人の目をひときわ引きつけていた。
 少女は、一年二組の教室の前で向きを変えた。
 石原瑠奈は、少女に気が付き。
「いらっしゃいませ!お嬢様」と言った。
 時乃は、お客さんの方へ歩み寄った。
「いらしゃ…」時乃は、言葉が出なくなった。
 少女は、言葉を発した。
「時乃澄香!少し話したいのですけど。無論断ってくれても結構、でも状況的に断れないかな」
 石原は、少し考えて。
「澄香、休憩していいよ。他の人にたのむから…」
「気が利く、日本人のようね」と少女
「わかった」と時乃。
 二人は、廊下に出て校舎の外へ移動した。
「ここにいる人を人質にして、わたしを殺すつもりか」と時乃
「今日は、話し合いに来たのですよ。お兄様」
「メルティを殺して、何をいまさら」
「だからこその話し合いですよ。わざわざ空間転移しないで、鉄道と飛行機を乗り継いできたのですから。まあ。今!攻撃の意思がない証拠に、少し空間転移しましょう」
「わかった。深さ一分」と時乃。
「空間転移、深さ一分」
時乃は、足元に聖方陣を形成し見えなくなった。
「空間転移、深さ一分」
 少女、時乃真奈も魔方陣を形成し見えなくなった。
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