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誘い 7
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体育祭!花火の音と共に開始された。空は、快晴。日差しが強く、かなり暑く感じられる。
一年二組の長原先生は、優勝すれば、A定食とジュースを奢る約束をした。
時乃は、真鋳色の髪をツインテールに縛り、準備運動をしていた。別に、A定食やジュースが欲しいわけではない。思い浮かんだのは、クラスの皆が喜ぶ姿である。
『プログラム一番、男子百メートル走です』
石原は、時乃に。
「次ですね。がんばってください」
と笑顔で応援した。
『プログラム二番、女子百メートル走です』
時乃は、順番を待っていた。そして。
「位置について、用意」
火薬鉄砲の音が響く。時乃は、その音にあわせて好スタートをきり、一位でゴールした。
時乃的には、力を出し尽くしたわけではないが、クラスの皆が、喜いるのを見て取れる。そこに何かとても、良い思いを感じた。
午前の種目も終わり、昼の休憩時間になった。
時乃、石原、錦野の三人は、中庭のパラソル付のテーブルに腰を掛け、弁当を広げた。
時乃は、メルティに弁当を作ってもらったので、豪華であった。
「澄香のお弁当すごーい。自分で作ったの?」
時乃は、弁当を食べながら。
「いや。わたしは、作れない」
「料理苦手?」
「いや。作る機会がないだけと思いたい」
石原は、嬉しそうに時乃を見て。
「料理勉強するといいよ。とくにハンバーグ」
「そうなのか?」
「そうですよ」石原は、兄のことを思って勧めたのである。
体育祭の競技も残すところ、男女混合リレーのみであった。一年二組は、総合二位であった。クラスのボルテージも上ってきていた。
時乃の後に転校してきた高遠がいた。彼女は自分の席を立ち、移動しながら視線を時乃に合わせていた。クラスでも大人しく目立たない子である。そして、人ごみの中に消えていった。
『続きまして、最終種目、男女混合リレーです』
そして、火薬銃の音と共に、競技は、始まった。
時乃は、アンカーなので、黄色の襷を掛ける。現在一年二組は、4位を走っている。そして、バトンは、四番目の男子生徒に、次は、時乃の番である。
時乃は、右手を後ろにし、助走しながら、バトンを受け取る。一気に加速する。真鋳色の髪が、後方に流れ、太陽の光で、美しく輝く。三番目を抜き、二番目に追いつき、更に加速しようとした瞬間!時乃は、高エネルギー反応を感じた。でもそれは、遅かった。自分にレーザーが、向かっていた。瞬間思考する(空間転移はできない。よければ隣の生徒は、即死であろう)時乃は、隣の生徒に当たらないように、自分にタイミングを合わせた。いかに時乃澄香といえども、無防備で、レーザーの直撃を受けたら致命傷は、まぬがれないであろう。
瞬間『バリィ』時乃とレーザーの間に、シールドが形成される。
レーザーは、熱エネルギーを吸収され、シールドに包み込まれる形で、時乃に命中する。
時乃は、横を走っている男子生徒を巻き込みながら、二十メートル程飛ばされ、横向きに倒れる。男子生徒は、意識がないが、怪我は酷くないようである。
学園内は。静まりかえっていた。ダイヤルを回し周波数が丁度よくなったラジオのように、急に大きなざわめきが起こった。
教師達が一斉に出てきた。担架を持った保険委員も走ってきた。
時乃は、手をついて体を起こした。砂ほこりが舞う運動場を一通り見たが、何も感じられなかった。敵は、何処なのか、何者なのか。
警察が、列をなして、学園に入ってきた。地元在住のマスコミも来ていた。
警察は、素早く黄色のテープを張り。生徒を移動させた。
時乃と男子生徒は、救急車で運ばれた。もっとも、時乃は乗ることを拒んだのだが、石原や錦野が、心配していたので、気を使って乗ったのである。病院へ着くと、男子生徒は、ストレッチャーで運ばれていった。時乃は、病院の中へ誘導された。診察を受けた後、警察から質問を受けていた。時乃の体操服は、丸く焦げ付き、中心付近は、穴が開いていた。
警察が行ったり来たり、慌ただしく動いている。
その中に真鋳色の髪をポニーテールにしている少女が、自分の方へ来るのが見えた。薄茶色の瞳を時乃に向けながら、冷静に近づいてくる。
「澄香!学校から連絡があって驚いたぞ」
「フラット気をつけろ、誰に撃たれたかわからない」
「わかった。ここは、上手く切り抜けてくれ、後で対策を練ろう」
「ふっ」
フラットは、真鋳色の髪を揺らしながら、人ごみの中に入っていった。
時乃は、周りが敵に囲まれている感じがして、苛立ちを覚えていた。
体育祭!花火の音と共に開始された。空は、快晴。日差しが強く、かなり暑く感じられる。
一年二組の長原先生は、優勝すれば、A定食とジュースを奢る約束をした。
時乃は、真鋳色の髪をツインテールに縛り、準備運動をしていた。別に、A定食やジュースが欲しいわけではない。思い浮かんだのは、クラスの皆が喜ぶ姿である。
『プログラム一番、男子百メートル走です』
石原は、時乃に。
「次ですね。がんばってください」
と笑顔で応援した。
『プログラム二番、女子百メートル走です』
時乃は、順番を待っていた。そして。
「位置について、用意」
火薬鉄砲の音が響く。時乃は、その音にあわせて好スタートをきり、一位でゴールした。
時乃的には、力を出し尽くしたわけではないが、クラスの皆が、喜いるのを見て取れる。そこに何かとても、良い思いを感じた。
午前の種目も終わり、昼の休憩時間になった。
時乃、石原、錦野の三人は、中庭のパラソル付のテーブルに腰を掛け、弁当を広げた。
時乃は、メルティに弁当を作ってもらったので、豪華であった。
「澄香のお弁当すごーい。自分で作ったの?」
時乃は、弁当を食べながら。
「いや。わたしは、作れない」
「料理苦手?」
「いや。作る機会がないだけと思いたい」
石原は、嬉しそうに時乃を見て。
「料理勉強するといいよ。とくにハンバーグ」
「そうなのか?」
「そうですよ」石原は、兄のことを思って勧めたのである。
体育祭の競技も残すところ、男女混合リレーのみであった。一年二組は、総合二位であった。クラスのボルテージも上ってきていた。
時乃の後に転校してきた高遠がいた。彼女は自分の席を立ち、移動しながら視線を時乃に合わせていた。クラスでも大人しく目立たない子である。そして、人ごみの中に消えていった。
『続きまして、最終種目、男女混合リレーです』
そして、火薬銃の音と共に、競技は、始まった。
時乃は、アンカーなので、黄色の襷を掛ける。現在一年二組は、4位を走っている。そして、バトンは、四番目の男子生徒に、次は、時乃の番である。
時乃は、右手を後ろにし、助走しながら、バトンを受け取る。一気に加速する。真鋳色の髪が、後方に流れ、太陽の光で、美しく輝く。三番目を抜き、二番目に追いつき、更に加速しようとした瞬間!時乃は、高エネルギー反応を感じた。でもそれは、遅かった。自分にレーザーが、向かっていた。瞬間思考する(空間転移はできない。よければ隣の生徒は、即死であろう)時乃は、隣の生徒に当たらないように、自分にタイミングを合わせた。いかに時乃澄香といえども、無防備で、レーザーの直撃を受けたら致命傷は、まぬがれないであろう。
瞬間『バリィ』時乃とレーザーの間に、シールドが形成される。
レーザーは、熱エネルギーを吸収され、シールドに包み込まれる形で、時乃に命中する。
時乃は、横を走っている男子生徒を巻き込みながら、二十メートル程飛ばされ、横向きに倒れる。男子生徒は、意識がないが、怪我は酷くないようである。
学園内は。静まりかえっていた。ダイヤルを回し周波数が丁度よくなったラジオのように、急に大きなざわめきが起こった。
教師達が一斉に出てきた。担架を持った保険委員も走ってきた。
時乃は、手をついて体を起こした。砂ほこりが舞う運動場を一通り見たが、何も感じられなかった。敵は、何処なのか、何者なのか。
警察が、列をなして、学園に入ってきた。地元在住のマスコミも来ていた。
警察は、素早く黄色のテープを張り。生徒を移動させた。
時乃と男子生徒は、救急車で運ばれた。もっとも、時乃は乗ることを拒んだのだが、石原や錦野が、心配していたので、気を使って乗ったのである。病院へ着くと、男子生徒は、ストレッチャーで運ばれていった。時乃は、病院の中へ誘導された。診察を受けた後、警察から質問を受けていた。時乃の体操服は、丸く焦げ付き、中心付近は、穴が開いていた。
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「澄香!学校から連絡があって驚いたぞ」
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「わかった。ここは、上手く切り抜けてくれ、後で対策を練ろう」
「ふっ」
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