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弱者を助ける 2

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 障害者、ひきこもり、健二もそうであったが、オタクの方々など、工場の人材確保は順調であった。テレビCMも順調。各拠点への商品配送も完了。生産ラインを海外版に変更して、全世界的に売り出す準備に入っていた。
 時乃は、工場の中を真鍮色の髪を揺らしながら歩いていた。ときおり太陽の光がり美しく輝いていた。一見して日本人には見えないが、フィンがハッキングして、戸籍を作り、書類上は、誰がなんと言おうが日本人である。
 時乃は、開発室のドアを開け、自分のブースに座った。なんとなくPCの電源を入れる。現代のPCではありえない速度で、立ち上がる。そして、オンラインゲームにログインする。
『チャットに、ティが入室されました』
「このゲームも開発遅いな。スクエアーで開発すれば神ゲーになりそうなのにな」
 キャラクター選択の画面が出る。
「そういえば健二は、女キャラ使っていたから、ネカマの疑いを賭けられていたな。ここは一つOFF会もかねて営業に回るか!」
 時乃は、顔に笑みを浮かべて。
(本当は、わたしも女でもないけどな)と心の中で思った。
 時乃は、受話器をとり内線を押す。
「フィン!ゲームプログラムとCG関連いつでも受けること可能だよな。個人的に、丸川書店やウィニーに営業に行きたいと思うのだが、どうだろう」
「んーアポとりますよ。まだ、こちらは無名の会社ですけど、デモのDVD見てもらえば、良い方向でいけると思いますから」
「予定が決まったら、連絡たのむ」
「了解。澄香」
 フィンは、社長秘書と言う肩書で、アポを取った。書類上は、時乃が社長である。
時乃のブースの電話がなる。
「澄香!アポ取れましたよ。八月十日東京本社ですね。んー。よりによって、OS発売三日後ですね。少し忙しいけど、よろしい?」
 時乃は、左手で真鍮色の髪を触りながら。
「ぜんぜんOK」
「んー。変な日本語」
「そうなのか」
「そうですよ」

 時乃はオンラインゲームのチャットに。
(RANさん、今度、仕事で東京に行きます。もしよろしければお会いしませんか?)
(いいよ。あたしも暇だし、腐女子だからね)
(後で、家の電話番号とPCのメールアドレスをヤプーのブリーフケース入れておくね。当日は、新幹線出入り口で、紙にRANさんと書いておきます)と可愛く時乃は、打ってみた。
(わかったよ!)
(では、落ちますね)と時乃
(またね~ノシ)
「東京に行ったら。とりあえず秋葉原に行かないとな。あとメイド喫茶に興味がある。人にではなくコスチュームの出来具合とかに、興味深々」

 OS風林火山の日本での発売が開始された。大手電気店では、一週間前から並ぶ者もいて、その人気は凄いものであった。間違いなく日本のOSは九十九%風林火山になるだろう。
 時乃もテレビの記者会見などマスコミ関連で表舞台に出てきた。
 目立つのはあまり好きではなかったが、後藤家に、楽な生活をさせてあげられることが、とても嬉しかった。
「澄香も表舞台に出たからこれからは、迂闊な行動はできないな」
 フラットが、工場の食堂で、ドリンクを飲みながら呟いた。
「でも、確か御使いは、写真に写っても、記憶に残りにくいと聞いたことがあるな」
 フラットは、ドリンクのカップをゴミ箱に捨てると廊下に出た。
 現在工場は、従業員とヘルパーで賑わっている。ほとんどオートメーションなので、事務的な作業が多く、障害者の方々も無理なく働くことが出来ている。
 フラットは、搬出プラットホームへと向かった。トラックへの積み込みなど力仕事をすることにしている。

 第二工場も、すでに完成していて、機械をいれるのみとなっている。その隣には、倉庫を十二用意してある。その中の一つに、異世界の兵器、ハルバ・エボリューション・1が、解体された部品の状態で置かれていた。
「メイティ!シリアル五十六のパーツお願い」
「はい」
 フィンとメイティは、仕事の合間にハルバを組み立てている。このような兵器を使う日がこないほうがよいのだが。アフガニスタンで、バトルPと交戦しているため、配備することになった。
 友軍バトルPでは無かったと言うことは、アンテオカス帝のプレアディス正規軍の可能性が高い。時乃の世界では、長く戦争が続いていたが、真奈の裏切りにより、世界のバランスは崩れ、プレアディスが、ほぼ統一していた。それなのに何故、こちらの世界、地球に出現したのか不思議であった。
 このことに関して、メルティは、嫌な予感がしていた。メルティの能力は未来予測。何時も力を出せるわけではないが、時折ビジョンが飛び込んでくる。
『日本人が危ない』
「わたしにビジョンがくるなんて、澄香様の時以来ですわ」
 メルティは、祈る姿勢をとり、聖方陣を形成して瞑想に入った。
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