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本編
#6 親友
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仮面舞踏会まであと1日。
私は学園にいる。今はランチタイムで美味しいハムのサンドウィッチを食べながら、親友のジュリーと話しているのだ。
「それでドレスは完成したのね、アナ?」
「えぇ! 完成したの早く見てほしいわぁ。自信作だからね」
ジュリーこと、ビスロ・ジュリアはなんとなんと公爵家令嬢。同い年で同じクラス。美しい、はちみつのようなブロンドの髪と瑠璃色の瞳を持っている。とても賢くて優しい大切な親友。
そもそも仲良くなったのは、初日だった。
ドキドキしながら教室へ行くと妹も同じクラスで、持ち前のコミュニケーション能力で取り巻きをもう結成していて、前方の席を陣取っていた。呆れて一番後ろの席に座った私。その隣に腰掛けてきたのがジュリーだった。優しく話しかけてくれて、それからよく話すようになったのだ。
ちなみにジュリーにはこれといった取り巻きがいない。公爵家令嬢なのに身分を笠にしない、とても美しい心の持ち主なのだ。今では身分お構い無しに話せる、互いに唯一と言っても良い理解者になった。毎日一緒にいて、色んなことを話している。
「ようやく出来たのね~! 良かったわ。毎日進捗を聞かされる私の気持ちになってよ。間に合わないかと思ってたわ」
「ふふっ仮面舞踏会でちゃんと見つけてちょうだいね」
「勿論よ、絶対見つけるわ」
そう、ドレスをなんとか完成させたのだ。ギリギリ仮面舞踏会に間に合った。出来はそうね、何十時間もかけて2人で丁寧に作ったから外へ着ていけるレベルではある。ドレスの裏側はガタガタなところばっかりだけど。デザイン画達成率は83パーセントぐらい。まぁちょっと失敗しちゃったところは刺繍でカバー出来たからいいの。
「ところで仮面舞踏会でいい相手が見つかるといいわね、アナ。見極めは非常に大事だけど。このままじゃ政略結婚まっしぐらよ」
「それはどうかしら、明日はドレス観察の一日にする予定だからね 。ジュリーこそ見つかるといいわねぇ、いや見つかるわ、こんなにも可愛いんだもの」
「あらら、アナったらもったいなぁい! 私は、ほらねぇ、恋なんて早いっていうか知らなくていいかも。どうせ形ばっかりで、もう決まっているだろうから」
私達にはまだ婚約者が居ない。最近は婚約者を学園卒業時に決めるようになってきていて、幼い頃からの婚約はなく無くなっているのだ。恋愛結婚も多くなっている。
「大丈夫よ、きっとね。でも仮面舞踏会ってそこまで出会いの場になるかしら、一夜限りのお楽しみみたいな感じじゃなかった? 」
「今密かに流行ってる小説知らない? 私がかねてから目をつけていた先生の新作が大ヒットしているの。仮面舞踏会ではじまる一目惚れ、禁断の身分差ロマンス。あの主人公みたいな好きでたまらないって気持ち、1度は体験してみたいわ。アナも思うでしょう」
「そ、そうなのね。私はこのドレス好きを認めてくれる人がいたら十分なんだけどね......」
「アナ、好きな人が出来たら教えてちょうだいね。約束なんだから」
「ジュリーも教えてよね」
こそこそっと近くで見つめ合って、うふふって笑う私達。あ~楽しい、幸せっ! 勉強ばっかりで堅苦しいけどリアのような親友がいたら学園は最高の場所になる。
時間の許す限り、最近食べた美味しかったスイーツとか授業について話す。本当に最高の宝物、大好きな時間。
そして午後のダンスの授業を受けて家に帰った。
今日はなんというか玄関の様子がおかしい。ざわざわしている。ドアを開くと玄関には妹とメイド達が立っていた。いつもは特に誰もいないのに。
「おかえりなさい、お姉様っ! 」
「ただいま、ローズマリー。珍しいじゃない。どうしたの?」
「ふふっ、お姉様は明日の仮面舞踏会の準備出来ているのかなぁって気になっちゃったから。私はドレスも宝石も完璧なのだけど......ねっ」
可愛らしい口調だが笑みに性格が滲み出ている。殿方が見れば勘違いするでしょうけど、私にその手は効かない。やられっぱなしではいられないわ。
「まぁ心配してくれていたの? ローズマリー私は大丈夫よ。素敵なものをくれたじゃない」
「えっ......あ、あらっ、本当に? ふふっ、まぁお姉様ったら冗談もおよしになって。見栄はらなくてもいいのよ。どうしてもって頭下げてお願いするなら、別に私のドレスを貸してあげなくもないの。ねぇお願いする? あれれ、お姉様頭下げないの? しないの? まさか逃げた訳じゃないでしょうね。やだ惨め~。ふふっ、あははっ! 」
私はローズマリーを黙って話し終わるまでじっと見つめた。そして目線が合うと私はにっこりと笑って話す。
「だから大丈夫って言っているのに。ローズマリーったらおちゃめさんね。聞こえなかったの? ちゃんと貴女から貰ったものを着ていくわ」
「まぁ、本当に? 本気なの? 私なら嫌だわっ、あんなゴミを身に纏うなんて。考えるだけで寒気がするわ。あ~、でもきっと似合うのでしょうね。地味で暗いお姉様にはピッタリかもね」
そして去り際に彼女は「お姉様、それじゃあ楽しみにしてるわ」と言うと笑いながらメイドを引き連れて歩いていった。
ふふっ私には素敵なドレスがあるのだ。だからこそ笑って受け流せた。こんなことこれまで1度もなかったわ。やった! あぁ明日が楽しみ。
作ったドレスを着ていけること、色んな方のドレスを見れることに心ときめき、なかなか眠りにつけない。明日は朝早いのに。
目を閉じてクッションをかかえながら考える。どんなドレスを見れるかな。あぁジュリーだけは見つけないとね。明日はいい日になるといいなぁ。
私は学園にいる。今はランチタイムで美味しいハムのサンドウィッチを食べながら、親友のジュリーと話しているのだ。
「それでドレスは完成したのね、アナ?」
「えぇ! 完成したの早く見てほしいわぁ。自信作だからね」
ジュリーこと、ビスロ・ジュリアはなんとなんと公爵家令嬢。同い年で同じクラス。美しい、はちみつのようなブロンドの髪と瑠璃色の瞳を持っている。とても賢くて優しい大切な親友。
そもそも仲良くなったのは、初日だった。
ドキドキしながら教室へ行くと妹も同じクラスで、持ち前のコミュニケーション能力で取り巻きをもう結成していて、前方の席を陣取っていた。呆れて一番後ろの席に座った私。その隣に腰掛けてきたのがジュリーだった。優しく話しかけてくれて、それからよく話すようになったのだ。
ちなみにジュリーにはこれといった取り巻きがいない。公爵家令嬢なのに身分を笠にしない、とても美しい心の持ち主なのだ。今では身分お構い無しに話せる、互いに唯一と言っても良い理解者になった。毎日一緒にいて、色んなことを話している。
「ようやく出来たのね~! 良かったわ。毎日進捗を聞かされる私の気持ちになってよ。間に合わないかと思ってたわ」
「ふふっ仮面舞踏会でちゃんと見つけてちょうだいね」
「勿論よ、絶対見つけるわ」
そう、ドレスをなんとか完成させたのだ。ギリギリ仮面舞踏会に間に合った。出来はそうね、何十時間もかけて2人で丁寧に作ったから外へ着ていけるレベルではある。ドレスの裏側はガタガタなところばっかりだけど。デザイン画達成率は83パーセントぐらい。まぁちょっと失敗しちゃったところは刺繍でカバー出来たからいいの。
「ところで仮面舞踏会でいい相手が見つかるといいわね、アナ。見極めは非常に大事だけど。このままじゃ政略結婚まっしぐらよ」
「それはどうかしら、明日はドレス観察の一日にする予定だからね 。ジュリーこそ見つかるといいわねぇ、いや見つかるわ、こんなにも可愛いんだもの」
「あらら、アナったらもったいなぁい! 私は、ほらねぇ、恋なんて早いっていうか知らなくていいかも。どうせ形ばっかりで、もう決まっているだろうから」
私達にはまだ婚約者が居ない。最近は婚約者を学園卒業時に決めるようになってきていて、幼い頃からの婚約はなく無くなっているのだ。恋愛結婚も多くなっている。
「大丈夫よ、きっとね。でも仮面舞踏会ってそこまで出会いの場になるかしら、一夜限りのお楽しみみたいな感じじゃなかった? 」
「今密かに流行ってる小説知らない? 私がかねてから目をつけていた先生の新作が大ヒットしているの。仮面舞踏会ではじまる一目惚れ、禁断の身分差ロマンス。あの主人公みたいな好きでたまらないって気持ち、1度は体験してみたいわ。アナも思うでしょう」
「そ、そうなのね。私はこのドレス好きを認めてくれる人がいたら十分なんだけどね......」
「アナ、好きな人が出来たら教えてちょうだいね。約束なんだから」
「ジュリーも教えてよね」
こそこそっと近くで見つめ合って、うふふって笑う私達。あ~楽しい、幸せっ! 勉強ばっかりで堅苦しいけどリアのような親友がいたら学園は最高の場所になる。
時間の許す限り、最近食べた美味しかったスイーツとか授業について話す。本当に最高の宝物、大好きな時間。
そして午後のダンスの授業を受けて家に帰った。
今日はなんというか玄関の様子がおかしい。ざわざわしている。ドアを開くと玄関には妹とメイド達が立っていた。いつもは特に誰もいないのに。
「おかえりなさい、お姉様っ! 」
「ただいま、ローズマリー。珍しいじゃない。どうしたの?」
「ふふっ、お姉様は明日の仮面舞踏会の準備出来ているのかなぁって気になっちゃったから。私はドレスも宝石も完璧なのだけど......ねっ」
可愛らしい口調だが笑みに性格が滲み出ている。殿方が見れば勘違いするでしょうけど、私にその手は効かない。やられっぱなしではいられないわ。
「まぁ心配してくれていたの? ローズマリー私は大丈夫よ。素敵なものをくれたじゃない」
「えっ......あ、あらっ、本当に? ふふっ、まぁお姉様ったら冗談もおよしになって。見栄はらなくてもいいのよ。どうしてもって頭下げてお願いするなら、別に私のドレスを貸してあげなくもないの。ねぇお願いする? あれれ、お姉様頭下げないの? しないの? まさか逃げた訳じゃないでしょうね。やだ惨め~。ふふっ、あははっ! 」
私はローズマリーを黙って話し終わるまでじっと見つめた。そして目線が合うと私はにっこりと笑って話す。
「だから大丈夫って言っているのに。ローズマリーったらおちゃめさんね。聞こえなかったの? ちゃんと貴女から貰ったものを着ていくわ」
「まぁ、本当に? 本気なの? 私なら嫌だわっ、あんなゴミを身に纏うなんて。考えるだけで寒気がするわ。あ~、でもきっと似合うのでしょうね。地味で暗いお姉様にはピッタリかもね」
そして去り際に彼女は「お姉様、それじゃあ楽しみにしてるわ」と言うと笑いながらメイドを引き連れて歩いていった。
ふふっ私には素敵なドレスがあるのだ。だからこそ笑って受け流せた。こんなことこれまで1度もなかったわ。やった! あぁ明日が楽しみ。
作ったドレスを着ていけること、色んな方のドレスを見れることに心ときめき、なかなか眠りにつけない。明日は朝早いのに。
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