4 / 4
青柳
しおりを挟む
引用 未だ存在しない仙述書序文より
三十二人目 青柳
ーー戦地の中飢餓の中貧困の中、彼は黒の 肩巾を揺らし
魂の安息を願い舞い踊る。
ななつ星の行く末に彼は何を見るのだろう。
祓い清め安息をもたらした彼の旅路が
どうか幸多からんことを我らは願うーー
ーーーーー
僕は、孤児だった。
打ち捨てられた死体が地面を覆い尽くし、血濡れの刀や崩れた要塞が寒々しい雨に打たれて酷く寂れていた。
その要塞の隅に、僕は雨に濡れるのも構わず息を殺して隠れていた。
"怖いもの"が過ぎ去っていく様に必死で願いながらキツく目を閉じ小さく蹲っていた。手にはそこらに落ちていたなまくらな短剣を握りしめて。
僕は僕の魂の死際を、せめてこの短剣に託す。
アレに魂を吸われるくらいなら、僕はこれで僕の魂を完結させたい。
早くここを離れないと。
アレは化け物だ。
僕を追ってきた。
僕の魂を。
なぜ僕を狙うのか僕は知らない。
僕はアレに一体何をした。
ぎゅ、と短剣を握りしめたその時、すぐ側で物音がした。
「ひッーーー!」
悲鳴を上げながら、短剣を振り上げた。
「うぁああああーーーーっ!」
自分の腹目掛け、勢いよく振り下ろす。
ーーーーー
「ダハハ!それにしても良く食うなぁ坊主。美味いか?美味くないだろ?」
大口開けて豪快に笑うこの男に、僕の命は救われた。
あの時、僕が聞いた物音はこの人が立てた音だった。
この如何にもな法衣を纏った人物が、腹に何かを振り下ろす僕の腕を咄嗟に掴み上げ止めた。
辛うじて雨風凌げる場所を見つけ僕を押し込めると、火を起こし飢えと寒さからも遠ざけてくれた。
火は暖かった。固い握り飯も。
「美味い。」
「ほぉ、美味いか。それならほら水もやろう。たんと飲みなさい。」
僕は水筒の水を遠慮なくゴクゴク飲んだ。
桃の匂いがする。
今まで飲んだどの水よりも美味い。
もう一つ有るから全部飲みなさい、と男が言うので僕は遠慮しなかった。
この死にまみれた土地で僕の様な孤児があとどれだけ食べ物に有り付けるのかは、考えるだけ無駄だからだ。
「なぁ。お前さん何でこんな所に居る?」
「そういうあんたは何で。」
「そりゃ、この格好を見りゃ分かるだろう坊主。此処らに転がる仏さんを弔いに来たのさ。」
ふーん、と聞いてまたゴクリと水を飲むと勢い余って口の端から溢れた。この坊主は何で僕が此処にいるのか聞くが、僕には答えようが無かった。
流れ流れて歩き疲れてお腹が空いてもう喉もカラカラで、何処でも良いから人工物が見たかった。
人恋しかったのかも知れない。
誰かが作ったものの側でひと休みしたかった。
心が乾いていた。
「僕は。分からない。」
「何が分からない?」
「名前も、歳も、何処から来たのかも分からない。多分、忘れているだけだと思うけど。気付いたら僕は知らない場所を歩いていた。それからずっと歩いてる。」
「そうか。」
僧侶はうんうん頷いて、直後低く頭を垂れてぐぅと唸った。
「坊主。」
「何?」
「...俺のやった水は美味かったか?」
「美味かった。桃の香りの水なんて初めてだし。」
僕はまだ手に持った水筒を掲げて見せると、僧侶は眉をしかめて低く唸った。
「それはなあ、只の水じゃねぇ坊主。確かに桃の香りがしたんだな?」
ドッ、と胸が乱れるのを感じた。
彼の口振りが、何か不穏な空気を含んでいる様に感じられて、意味のわからない不安が僕を襲う。
「この水は特別製でなぁ、坊主。只人が飲めば只の水だが、化け物が飲めばその身が弾ける程に強力な力を持っている。西では聖水と言うもの作り だ。」
「聖、水...」
「そして化け物でも只人でも無い者が飲むと、聖水はたちまちその味を変える。」
それが桃の味なのだと僕は自ずと悟った。
だが、この世に人と化け物以外に何が有るというのか。
僕は人でも化け物でも無いのなら何だと言うのか。
分からない。
意味不明な言葉ばかりだが、ひとつだけ理解した。
僕は、今。
人と化け物以外の
ーー''何か"の区別を付けさせられた。
ーーーーー
さぁ、と未だ降り続く雨音が嫌に耳に響く。
それは絶望の足音なのか。
「よく見てろ。この世にゃ人と化け物の他にもうひとつ、存在する。」
僧侶は右の掌を雨が降る屋外へ向けると、左手で指を動かした。
瞬間、僕は信じられない物を目の当たりにした。
「...雨が、止まった」
ーー何故。
僕は思った。
これは神の御業に違いないと。
僕は瞬きも呼吸すらも忘れて驚いた。
天より降る雨粒の時を止めた柔い様な雨水は
摩訶不思議に宙に浮き、落ちる事なく空に揺蕩っている。
「水神様、なのですか。」
他にこんな事が出来るひとを僕は知らない。
そうでなければ、人の姿をとられた神様なのかも知れない。
「惜しいな坊主。残念ながら俺は神様じゃない。だが、御力を借りて俺はこう言う事が出来た。昔からな。」
僧侶がふるりと手首を回すと、その動きに合わせてひとつの水玉がくるりと付き従った。
更にひょい、と水玉を上へ放ると僧侶が何事かを呟いた。
すると空へ放られた水玉が突如ぱちんと割れ、僕の目に鮮やかな虹を描いて見せた。
「昔からそういう奴は何処にでも居るのさ坊主。
秘匿され、恐れられ、畏れられたりしながら俺たちはほんのちょいと神の力をお借りしている。」
お前もそうだろ、と視線が問いかけてくる。
堪らず僕は彼に問いかけていた。
「僕は、"何"なんだ。あんたは僕が"何"なのか知ってるのか。」
「あぁ。多分答えてやれるぞ、坊主。」
ーーそうか、そうか。
これでやっと僕は救われる。
僕はもう消えてしまった小さな虹を頭に思い浮かべていた。
僕はもうずっとその答えを探し回っていた。
「その前に、教えちゃくれねぇか坊主。」
「何。僕が教えられる事なら何でも答える。」
ありがとよ、と僧侶が笑って言うので僕は嬉しかった。
今まで僕に微笑んでくれたのは遠い昔に僕を瞬きの間だけ愛しんでくれた母だけだったのだから。
「お前さん、何時から目が見えねぇんだ。」
ーーーーー
「... ...何だって」
「その目はどうしたのか、と聞いている。」
「... ...どうも、していない。一体何だっ、」
「そりゃ、可笑しいな。俺はお前と今朝会ってから今もそうだが。一度たりともお前の瞳を見ちゃいない。お前さんは何時だってその目蓋を閉じたままで俺の手から飯を取り、そばに置いた水筒を造作もなく指を伸ばし飲み干した。
仕舞にゃ俺の放った水と虹まで見ていた。
お前さんのその目蓋は開くまでもなく色も距離も見通せるらしい。」
「そ、んなわけ無い、そんなわけあり得ないっ、!」
「有り得ないも何も事実だ。お前の両眼の上には横一文字に刀傷が這っているんだからな。そんな事も"忘れた"のか?」
ガツン、と頭を鈍い衝撃が走る。
まるで重たい石で思い切り殴られた気がした。
ーー忘れるもんか、
ふと、そんな言葉が僕の頭の中に浮かぶ。
僕は"何か"を忘れた。
名前も歳も何処から来たのかさえも忘れて。
「俺は旅をしながら亡骸を弔っている。
一昨日まで俺はここから少し西へ行ったある村で弔いをしてきた。
そこには、昔から恐ろしい言い伝えが有ってな。」
「そう。」
僕は彼を見る事が出来なかった。
足元に視線を落とし、そこに転がる石ころを黙って見つめて彼の話を聞いた。
「昔々、ある村に先読みの巫女と言う者が居たそうだ。」
ーーーーー
先読みの巫女は、これかれ訪れる災いや吉兆を見通すチカラを持っていた。
その言葉を村人は重く受け止め日々を粛々と過ごしていた。
巫女が大雪になると言えば大目に蓄えを確保し、豊作になると言えば喜んで農耕に励み生活を送ってきた。
贅沢は無く、金もないが食うには困らない人も豊かな村だった。
そんな村で巫女はかけがえのない指針だった。
巫女が居てこそ村は周辺の村々に比べ安定した暮らしを送ってこられていた。
巫女が言う通りに村人は従ってきたが、ある時巫女の言い渡した先読みが村人をビシリと凍り付かせた。
ーー大変な病がこの村を襲います。
それによって生き残る村人はごく僅かだと巫女は告げた。
その瞬間から、巫女を重んじる村人は変わってしまったのだ。
暗く陰湿な泥を喉を啜る様な嫌な空気を纏い始めて行った。
愚かにも村人たちはこう考えたのだ。
巫女が死ねば、先読みも失われるのではーー
誰も、好き好んで死にたくはなかった。
誰も、自ら進んで病に伏せたくなどなかった。
誰もが皆、健やかに生きていたかった。
当然の権利だ。
そして、村人たちは決行した。
巫女の先読みのチカラを潰したのだ。
思ったよりも事は簡単に易々と進んだ。
巫女を連れ、皆の前でその瞳を鋭い刃で潰したのだ。
巫女が先読みをするその時、彼女の瞳が黄金色に輝く事を皆が知っていた。
刃が通る間、巫女は猿轡を噛み呻き声のひとつも立てなかった。
静かに座し、口を噤み、その奇跡の瞳を真一文字に引き裂かれた。
結果、村に病は来なかった。
誰一人大病を患った者は居らず、皆がその年を健やかに過ごした。
ーー先読みの巫女の予言は変えられる。
その事実に湧き立つ村人の誰かが言った。
ほらな、と。
ーーーーー
その年はただひとり、巫女だけが病を得た。
何故なら裂かれた瞳が熱を出した為に彼女は三日三晩苦しんだ。
その後は先読みのチカラを失い、巫女は只の人間へと成り下がった。
しかし盲でも、元は巫女。
当代の巫女は村のひとりの男に娶られひとりの子を成した。
不幸な事にその子にも、先読みのチカラが引き継がれてしまった。
村人はある時、ほんの戯れのつもりでその子に尋ねた。
今年の村はどうなりそうか、と。
その子は母に似た黄金色の瞳で応えたそうだ。
ーーみんな しんじゃう。
村人が取る手段は決まっていた。
今この場でこの子の瞳を潰す。
その役目を担うと申し出たひとがいた。
その子の母だった。
子の罪は母が贖う、その事に村人は誰もが納得した。
ーーーーー
「その母親は先見の瞳と交換に、村を病から守ったのだと彼女の夫が話していたなぁ。」
なぁ、分かるか坊主。
「100、いや80年以上前の話だが。こりゃ恐らくお前の居た村の話だと俺は思うが…どうだ?」
思い出すより先に僕の瞳はぼやけていた。
ぽたぽたと零れ落ちるそれが涙だと気付いたのはだいぶ後だった。
「彼女も瞳を閉じたままだと言うのに、俺の顔をしっかり見据えていたな。」
ーー先見の明も、視力も、長命も失われたが。
逃した息子の事はまだ目蓋の向こうで記憶に残っているんだろう。
彼は僕の方を向くと笑って言った。
その瞳はとても穏やかで、優しい労わる様な声音で尋ねてくれた。
「何か思い出せたか、坊主?」
その時、靄のかかった様な僕の記憶の中でチラと頭の中を何かが掠める。
黄緑色の着物の袖の色だ。
あれは誰の着物の袖なのだろうか。
もしかして、ほんの一瞬だけ覚えている母の物だろうか。
あまりに遠い事でよく覚えていないけれど、誰かが必死で声を掛けてくれていた。
ーーそうだ。
「この雨が止んだら、俺と来るか坊主。」
「な、に...?」
「俺と旅をしねぇか。
あまり贅沢とはいかねぇが気楽なものだぞ。」
「駄目だっ、!僕が居たらあんたが狙われるっ、!」
「狙われる?一体何にだ。何か思い出したのか?」
彼は深刻な声でじっと瞳を向けて来たが、僕はその瞳から逃げる様に地面を見て、言葉を闇雲に咀嚼する。
言って良いことと、いけないことを小分けしてよく考えてから声を発した。
「僕は、追われている。」
僕は初め確かに村から逃げた。
けれど、
僕はもうずっと永い間"それ"からも逃げ続けていた。
「死の匂いを辿り命を吸う黒い化け物に、僕は狙われている。」
「何っ、」
「あんたは"アレ"が何か知っているのか?」
彼はまだ僕を見ていた。
目を逸らす事も、俯く事もせず僕を見ていた。
この世で孤児に逢うと人々は必ず目を背け、眉を潜め、目を逸らすと言うのに。
彼はただ真っ直ぐに、僕の事を見ていた。
それが、無性に嬉しい。
だから、思う。
僕の事でこの僧侶に迷惑をかけてしまいたくは無い。
彼には僕以外にも困った人を、死者を弔う立派な事を為して欲しい。
「だったら尚更、お前は俺と来い坊主。」
ーーーーー
「だったら尚更、お前は俺と来い坊主。」
「な、んで。」
「お前に身の振り方を教えてやる。それと、チカラの使い方もな。」
「チカラ?」
「そうだ。」
僕はハッとして俯いていた顔を上げた。
「お前には、チカラが有る。
その使い方を覚えれば、お前は存分に生きられる。」
彼が直ぐ側まで来ていた。
この腕を伸ばせば届きそうな所に、彼が腰を下ろした。
その手は本当に手が届いた。
僕のでは無く、彼の手だと言う事に気が付いたのは数瞬あとだった。
「腹が減ったら飯を食え、喉が乾いたら水を飲め。
俺が教えてやろう、坊主。」
ぽん、と頭に乗ったそれが最初、それが何なのか分からなかった。
温かくて、大きくて、がっしりとした何か。
それは僕の頭をがしがし荒らすと、ぽんぽんと跳ねた。
「その代わり、逃げるな。泣くな。そして生きろ。」
「... ...っ、ふ、ぅ、ぅ...ぅぅ」
僕は、泣いていた。
掌で受け止めた涙の先が僕の目だと分かるまで、
僕は自分が泣いている事実が理解出来なかった。
そんな事にも気が付かない程、僕は僕自身の事にまるで無関心だったのだ。
そんな事を考える余裕すら無かったのだ。
只、息を吸い死なない程度に生きていればそれで良いと思っていた。
それでは、駄目なのだ。
この時の事を僕は一生忘れないだろう。
この涙、この目の熱さ、彼の手の大きさ、温かさを。
これらは初めて僕に"生きた心地"と言うものを味わわせてくれた。
この身は石ころでも樹の根でも無く、
血も肉も温度もあるが何時も何かが欠けた気になっていた。
いいや、事実欠けていたのだ。
僕は、血が滾るほどの激しい感情をこの身に覚えた。
「俺の弟子になれ、坊主。」
飢えも渇きもなく、直向きに生きていく。
ーーそんな生活が、本当に有るのだろうか。
そんな真っ当な人間の様な暮らしが僕に出来るのだろうか。
僕はこんなに何もできやしないのに。
「来るか?」
そう言って大きな手が差し出される。
彼は言った。
生きる術と引き換えに、逃げるなと言った。
手始めに此処からなのかもしれない。
はじめの一歩は、彼の言葉に答える事から。
僕はしゃっくりに耐えながら、涙と鼻水塗れの顔を袖で拭って答えた。
格好は付かなかったけれど、はっきりと言えた。
「僕を、連れて行ってください。」
彼はニコッと笑って答えてくれた。
「おう。それでこそ男だ。」
ーーーーー
「ところで坊主。お前、名前は思い出せねぇのか?」
「はい。全くなにも。」
「そうか。何か思い出した事は無ぇのか?」
「そう言えば。」
「ほぉ。?」
「多分、母の着物の色が黄緑色だった。」
「黄緑色ねぇ...それは春の明るい葉の様な色か?」
「はい。」
「それなら、決まりだ。
今日からお前の名を"青柳"(せいりゅう)としよう。縁起も良いぞ。」
「何故。」
「この世の天の世界にはな、我らと世界を守る神様がおられる。
そのお一人の名前が、"青龍"と言うのだ。
どうだ、響きが同じで良いだろう。」
「青柳、」
「どうだ。良いだろう。
お前が元の名を思い出せるまでは、その名を使うと良い。
昔は黄緑色を青柳(あおやぎ)と言っていたからなぁ。
その内、愛着が湧くかもしれんぞ?」
「そうだな。」
「ああ。案外そんなもんだ。気楽に行け、青柳。」
「...僕は、あんたをなんと呼べば良い。」
「師匠で良いぞ。」
「師匠、」
「なんだ、青柳?」
「何でも無い、呼んでみたんだ。
初めて言う言葉だから。」
「そうか。」
三十二人目 青柳
ーー戦地の中飢餓の中貧困の中、彼は黒の 肩巾を揺らし
魂の安息を願い舞い踊る。
ななつ星の行く末に彼は何を見るのだろう。
祓い清め安息をもたらした彼の旅路が
どうか幸多からんことを我らは願うーー
ーーーーー
僕は、孤児だった。
打ち捨てられた死体が地面を覆い尽くし、血濡れの刀や崩れた要塞が寒々しい雨に打たれて酷く寂れていた。
その要塞の隅に、僕は雨に濡れるのも構わず息を殺して隠れていた。
"怖いもの"が過ぎ去っていく様に必死で願いながらキツく目を閉じ小さく蹲っていた。手にはそこらに落ちていたなまくらな短剣を握りしめて。
僕は僕の魂の死際を、せめてこの短剣に託す。
アレに魂を吸われるくらいなら、僕はこれで僕の魂を完結させたい。
早くここを離れないと。
アレは化け物だ。
僕を追ってきた。
僕の魂を。
なぜ僕を狙うのか僕は知らない。
僕はアレに一体何をした。
ぎゅ、と短剣を握りしめたその時、すぐ側で物音がした。
「ひッーーー!」
悲鳴を上げながら、短剣を振り上げた。
「うぁああああーーーーっ!」
自分の腹目掛け、勢いよく振り下ろす。
ーーーーー
「ダハハ!それにしても良く食うなぁ坊主。美味いか?美味くないだろ?」
大口開けて豪快に笑うこの男に、僕の命は救われた。
あの時、僕が聞いた物音はこの人が立てた音だった。
この如何にもな法衣を纏った人物が、腹に何かを振り下ろす僕の腕を咄嗟に掴み上げ止めた。
辛うじて雨風凌げる場所を見つけ僕を押し込めると、火を起こし飢えと寒さからも遠ざけてくれた。
火は暖かった。固い握り飯も。
「美味い。」
「ほぉ、美味いか。それならほら水もやろう。たんと飲みなさい。」
僕は水筒の水を遠慮なくゴクゴク飲んだ。
桃の匂いがする。
今まで飲んだどの水よりも美味い。
もう一つ有るから全部飲みなさい、と男が言うので僕は遠慮しなかった。
この死にまみれた土地で僕の様な孤児があとどれだけ食べ物に有り付けるのかは、考えるだけ無駄だからだ。
「なぁ。お前さん何でこんな所に居る?」
「そういうあんたは何で。」
「そりゃ、この格好を見りゃ分かるだろう坊主。此処らに転がる仏さんを弔いに来たのさ。」
ふーん、と聞いてまたゴクリと水を飲むと勢い余って口の端から溢れた。この坊主は何で僕が此処にいるのか聞くが、僕には答えようが無かった。
流れ流れて歩き疲れてお腹が空いてもう喉もカラカラで、何処でも良いから人工物が見たかった。
人恋しかったのかも知れない。
誰かが作ったものの側でひと休みしたかった。
心が乾いていた。
「僕は。分からない。」
「何が分からない?」
「名前も、歳も、何処から来たのかも分からない。多分、忘れているだけだと思うけど。気付いたら僕は知らない場所を歩いていた。それからずっと歩いてる。」
「そうか。」
僧侶はうんうん頷いて、直後低く頭を垂れてぐぅと唸った。
「坊主。」
「何?」
「...俺のやった水は美味かったか?」
「美味かった。桃の香りの水なんて初めてだし。」
僕はまだ手に持った水筒を掲げて見せると、僧侶は眉をしかめて低く唸った。
「それはなあ、只の水じゃねぇ坊主。確かに桃の香りがしたんだな?」
ドッ、と胸が乱れるのを感じた。
彼の口振りが、何か不穏な空気を含んでいる様に感じられて、意味のわからない不安が僕を襲う。
「この水は特別製でなぁ、坊主。只人が飲めば只の水だが、化け物が飲めばその身が弾ける程に強力な力を持っている。西では聖水と言うもの作り だ。」
「聖、水...」
「そして化け物でも只人でも無い者が飲むと、聖水はたちまちその味を変える。」
それが桃の味なのだと僕は自ずと悟った。
だが、この世に人と化け物以外に何が有るというのか。
僕は人でも化け物でも無いのなら何だと言うのか。
分からない。
意味不明な言葉ばかりだが、ひとつだけ理解した。
僕は、今。
人と化け物以外の
ーー''何か"の区別を付けさせられた。
ーーーーー
さぁ、と未だ降り続く雨音が嫌に耳に響く。
それは絶望の足音なのか。
「よく見てろ。この世にゃ人と化け物の他にもうひとつ、存在する。」
僧侶は右の掌を雨が降る屋外へ向けると、左手で指を動かした。
瞬間、僕は信じられない物を目の当たりにした。
「...雨が、止まった」
ーー何故。
僕は思った。
これは神の御業に違いないと。
僕は瞬きも呼吸すらも忘れて驚いた。
天より降る雨粒の時を止めた柔い様な雨水は
摩訶不思議に宙に浮き、落ちる事なく空に揺蕩っている。
「水神様、なのですか。」
他にこんな事が出来るひとを僕は知らない。
そうでなければ、人の姿をとられた神様なのかも知れない。
「惜しいな坊主。残念ながら俺は神様じゃない。だが、御力を借りて俺はこう言う事が出来た。昔からな。」
僧侶がふるりと手首を回すと、その動きに合わせてひとつの水玉がくるりと付き従った。
更にひょい、と水玉を上へ放ると僧侶が何事かを呟いた。
すると空へ放られた水玉が突如ぱちんと割れ、僕の目に鮮やかな虹を描いて見せた。
「昔からそういう奴は何処にでも居るのさ坊主。
秘匿され、恐れられ、畏れられたりしながら俺たちはほんのちょいと神の力をお借りしている。」
お前もそうだろ、と視線が問いかけてくる。
堪らず僕は彼に問いかけていた。
「僕は、"何"なんだ。あんたは僕が"何"なのか知ってるのか。」
「あぁ。多分答えてやれるぞ、坊主。」
ーーそうか、そうか。
これでやっと僕は救われる。
僕はもう消えてしまった小さな虹を頭に思い浮かべていた。
僕はもうずっとその答えを探し回っていた。
「その前に、教えちゃくれねぇか坊主。」
「何。僕が教えられる事なら何でも答える。」
ありがとよ、と僧侶が笑って言うので僕は嬉しかった。
今まで僕に微笑んでくれたのは遠い昔に僕を瞬きの間だけ愛しんでくれた母だけだったのだから。
「お前さん、何時から目が見えねぇんだ。」
ーーーーー
「... ...何だって」
「その目はどうしたのか、と聞いている。」
「... ...どうも、していない。一体何だっ、」
「そりゃ、可笑しいな。俺はお前と今朝会ってから今もそうだが。一度たりともお前の瞳を見ちゃいない。お前さんは何時だってその目蓋を閉じたままで俺の手から飯を取り、そばに置いた水筒を造作もなく指を伸ばし飲み干した。
仕舞にゃ俺の放った水と虹まで見ていた。
お前さんのその目蓋は開くまでもなく色も距離も見通せるらしい。」
「そ、んなわけ無い、そんなわけあり得ないっ、!」
「有り得ないも何も事実だ。お前の両眼の上には横一文字に刀傷が這っているんだからな。そんな事も"忘れた"のか?」
ガツン、と頭を鈍い衝撃が走る。
まるで重たい石で思い切り殴られた気がした。
ーー忘れるもんか、
ふと、そんな言葉が僕の頭の中に浮かぶ。
僕は"何か"を忘れた。
名前も歳も何処から来たのかさえも忘れて。
「俺は旅をしながら亡骸を弔っている。
一昨日まで俺はここから少し西へ行ったある村で弔いをしてきた。
そこには、昔から恐ろしい言い伝えが有ってな。」
「そう。」
僕は彼を見る事が出来なかった。
足元に視線を落とし、そこに転がる石ころを黙って見つめて彼の話を聞いた。
「昔々、ある村に先読みの巫女と言う者が居たそうだ。」
ーーーーー
先読みの巫女は、これかれ訪れる災いや吉兆を見通すチカラを持っていた。
その言葉を村人は重く受け止め日々を粛々と過ごしていた。
巫女が大雪になると言えば大目に蓄えを確保し、豊作になると言えば喜んで農耕に励み生活を送ってきた。
贅沢は無く、金もないが食うには困らない人も豊かな村だった。
そんな村で巫女はかけがえのない指針だった。
巫女が居てこそ村は周辺の村々に比べ安定した暮らしを送ってこられていた。
巫女が言う通りに村人は従ってきたが、ある時巫女の言い渡した先読みが村人をビシリと凍り付かせた。
ーー大変な病がこの村を襲います。
それによって生き残る村人はごく僅かだと巫女は告げた。
その瞬間から、巫女を重んじる村人は変わってしまったのだ。
暗く陰湿な泥を喉を啜る様な嫌な空気を纏い始めて行った。
愚かにも村人たちはこう考えたのだ。
巫女が死ねば、先読みも失われるのではーー
誰も、好き好んで死にたくはなかった。
誰も、自ら進んで病に伏せたくなどなかった。
誰もが皆、健やかに生きていたかった。
当然の権利だ。
そして、村人たちは決行した。
巫女の先読みのチカラを潰したのだ。
思ったよりも事は簡単に易々と進んだ。
巫女を連れ、皆の前でその瞳を鋭い刃で潰したのだ。
巫女が先読みをするその時、彼女の瞳が黄金色に輝く事を皆が知っていた。
刃が通る間、巫女は猿轡を噛み呻き声のひとつも立てなかった。
静かに座し、口を噤み、その奇跡の瞳を真一文字に引き裂かれた。
結果、村に病は来なかった。
誰一人大病を患った者は居らず、皆がその年を健やかに過ごした。
ーー先読みの巫女の予言は変えられる。
その事実に湧き立つ村人の誰かが言った。
ほらな、と。
ーーーーー
その年はただひとり、巫女だけが病を得た。
何故なら裂かれた瞳が熱を出した為に彼女は三日三晩苦しんだ。
その後は先読みのチカラを失い、巫女は只の人間へと成り下がった。
しかし盲でも、元は巫女。
当代の巫女は村のひとりの男に娶られひとりの子を成した。
不幸な事にその子にも、先読みのチカラが引き継がれてしまった。
村人はある時、ほんの戯れのつもりでその子に尋ねた。
今年の村はどうなりそうか、と。
その子は母に似た黄金色の瞳で応えたそうだ。
ーーみんな しんじゃう。
村人が取る手段は決まっていた。
今この場でこの子の瞳を潰す。
その役目を担うと申し出たひとがいた。
その子の母だった。
子の罪は母が贖う、その事に村人は誰もが納得した。
ーーーーー
「その母親は先見の瞳と交換に、村を病から守ったのだと彼女の夫が話していたなぁ。」
なぁ、分かるか坊主。
「100、いや80年以上前の話だが。こりゃ恐らくお前の居た村の話だと俺は思うが…どうだ?」
思い出すより先に僕の瞳はぼやけていた。
ぽたぽたと零れ落ちるそれが涙だと気付いたのはだいぶ後だった。
「彼女も瞳を閉じたままだと言うのに、俺の顔をしっかり見据えていたな。」
ーー先見の明も、視力も、長命も失われたが。
逃した息子の事はまだ目蓋の向こうで記憶に残っているんだろう。
彼は僕の方を向くと笑って言った。
その瞳はとても穏やかで、優しい労わる様な声音で尋ねてくれた。
「何か思い出せたか、坊主?」
その時、靄のかかった様な僕の記憶の中でチラと頭の中を何かが掠める。
黄緑色の着物の袖の色だ。
あれは誰の着物の袖なのだろうか。
もしかして、ほんの一瞬だけ覚えている母の物だろうか。
あまりに遠い事でよく覚えていないけれど、誰かが必死で声を掛けてくれていた。
ーーそうだ。
「この雨が止んだら、俺と来るか坊主。」
「な、に...?」
「俺と旅をしねぇか。
あまり贅沢とはいかねぇが気楽なものだぞ。」
「駄目だっ、!僕が居たらあんたが狙われるっ、!」
「狙われる?一体何にだ。何か思い出したのか?」
彼は深刻な声でじっと瞳を向けて来たが、僕はその瞳から逃げる様に地面を見て、言葉を闇雲に咀嚼する。
言って良いことと、いけないことを小分けしてよく考えてから声を発した。
「僕は、追われている。」
僕は初め確かに村から逃げた。
けれど、
僕はもうずっと永い間"それ"からも逃げ続けていた。
「死の匂いを辿り命を吸う黒い化け物に、僕は狙われている。」
「何っ、」
「あんたは"アレ"が何か知っているのか?」
彼はまだ僕を見ていた。
目を逸らす事も、俯く事もせず僕を見ていた。
この世で孤児に逢うと人々は必ず目を背け、眉を潜め、目を逸らすと言うのに。
彼はただ真っ直ぐに、僕の事を見ていた。
それが、無性に嬉しい。
だから、思う。
僕の事でこの僧侶に迷惑をかけてしまいたくは無い。
彼には僕以外にも困った人を、死者を弔う立派な事を為して欲しい。
「だったら尚更、お前は俺と来い坊主。」
ーーーーー
「だったら尚更、お前は俺と来い坊主。」
「な、んで。」
「お前に身の振り方を教えてやる。それと、チカラの使い方もな。」
「チカラ?」
「そうだ。」
僕はハッとして俯いていた顔を上げた。
「お前には、チカラが有る。
その使い方を覚えれば、お前は存分に生きられる。」
彼が直ぐ側まで来ていた。
この腕を伸ばせば届きそうな所に、彼が腰を下ろした。
その手は本当に手が届いた。
僕のでは無く、彼の手だと言う事に気が付いたのは数瞬あとだった。
「腹が減ったら飯を食え、喉が乾いたら水を飲め。
俺が教えてやろう、坊主。」
ぽん、と頭に乗ったそれが最初、それが何なのか分からなかった。
温かくて、大きくて、がっしりとした何か。
それは僕の頭をがしがし荒らすと、ぽんぽんと跳ねた。
「その代わり、逃げるな。泣くな。そして生きろ。」
「... ...っ、ふ、ぅ、ぅ...ぅぅ」
僕は、泣いていた。
掌で受け止めた涙の先が僕の目だと分かるまで、
僕は自分が泣いている事実が理解出来なかった。
そんな事にも気が付かない程、僕は僕自身の事にまるで無関心だったのだ。
そんな事を考える余裕すら無かったのだ。
只、息を吸い死なない程度に生きていればそれで良いと思っていた。
それでは、駄目なのだ。
この時の事を僕は一生忘れないだろう。
この涙、この目の熱さ、彼の手の大きさ、温かさを。
これらは初めて僕に"生きた心地"と言うものを味わわせてくれた。
この身は石ころでも樹の根でも無く、
血も肉も温度もあるが何時も何かが欠けた気になっていた。
いいや、事実欠けていたのだ。
僕は、血が滾るほどの激しい感情をこの身に覚えた。
「俺の弟子になれ、坊主。」
飢えも渇きもなく、直向きに生きていく。
ーーそんな生活が、本当に有るのだろうか。
そんな真っ当な人間の様な暮らしが僕に出来るのだろうか。
僕はこんなに何もできやしないのに。
「来るか?」
そう言って大きな手が差し出される。
彼は言った。
生きる術と引き換えに、逃げるなと言った。
手始めに此処からなのかもしれない。
はじめの一歩は、彼の言葉に答える事から。
僕はしゃっくりに耐えながら、涙と鼻水塗れの顔を袖で拭って答えた。
格好は付かなかったけれど、はっきりと言えた。
「僕を、連れて行ってください。」
彼はニコッと笑って答えてくれた。
「おう。それでこそ男だ。」
ーーーーー
「ところで坊主。お前、名前は思い出せねぇのか?」
「はい。全くなにも。」
「そうか。何か思い出した事は無ぇのか?」
「そう言えば。」
「ほぉ。?」
「多分、母の着物の色が黄緑色だった。」
「黄緑色ねぇ...それは春の明るい葉の様な色か?」
「はい。」
「それなら、決まりだ。
今日からお前の名を"青柳"(せいりゅう)としよう。縁起も良いぞ。」
「何故。」
「この世の天の世界にはな、我らと世界を守る神様がおられる。
そのお一人の名前が、"青龍"と言うのだ。
どうだ、響きが同じで良いだろう。」
「青柳、」
「どうだ。良いだろう。
お前が元の名を思い出せるまでは、その名を使うと良い。
昔は黄緑色を青柳(あおやぎ)と言っていたからなぁ。
その内、愛着が湧くかもしれんぞ?」
「そうだな。」
「ああ。案外そんなもんだ。気楽に行け、青柳。」
「...僕は、あんたをなんと呼べば良い。」
「師匠で良いぞ。」
「師匠、」
「なんだ、青柳?」
「何でも無い、呼んでみたんだ。
初めて言う言葉だから。」
「そうか。」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
春を拒む【完結】
璃々丸
BL
日本有数の財閥三男でΩの北條院環(ほうじょういん たまき)の目の前には見るからに可憐で儚げなΩの女子大生、桜雛子(さくら ひなこ)が座っていた。
「ケイト君を解放してあげてください!」
大きなおめめをうるうるさせながらそう訴えかけてきた。
ケイト君────諏訪恵都(すわ けいと)は環の婚約者であるαだった。
環とはひとまわり歳の差がある。この女はそんな環の負い目を突いてきたつもりだろうが、『こちとらお前等より人生経験それなりに積んどんねん────!』
そう簡単に譲って堪るか、と大人げない反撃を開始するのであった。
オメガバな設定ですが設定は緩めで独自設定があります、ご注意。
不定期更新になります。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる