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第二章:大統領補佐官
蒼鷹、補佐官の羽繕う 1
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蒼鷹、補佐官の羽 繕う 1
トキは僕の質問には答えなかった。
だけど、
拳を作らせた僕の手を両手で握って胸に抱き締めた。
可愛い、僕の手は怖くないんだ。
それなのに、何か違和感が有る。
僕は腕の中に居るトキを眺めた。
あぁ、もしかして抱き締めたのは僕の勘違いか。
偶々気まぐれで遊んでるのかも知れない。
トキは言葉にしないままでも、仕草ひとつで僕達を誘導出来る。
言葉にしないままーーって事は。
ハッとする。
大慌てで湯船からトキを抱き上げた。
歩きながら風魔法でトキに纏わりつく水滴を飛ばす。
冷たく無い様に少し熱を加えたけど、邪魔だ。
両手が使えたら一瞬で終わるのに、扉を開ける為に手間を惜しんだ。家の中にも転移魔法を仕込んだ方が良いね。
「ちょ、グゥル、どうした」
「黙って。お願いトキ。今僕の意識を削がないで。」
トキは言葉ひとつでも僕を惑わせる。
この仕草にも意味があるんだとしたら、少し口を閉じて貰わないと困る。
僕はこれ以上、トキを見逃したくない。
「グゥル…」
「どうかしたトキ」
それなのに、どうかしたのと返事をせずにはいられない。
何かあるなら僕に全部聞かせて欲しいから、
「トキじゃない。」
「ん?」
「時昭。」
ゴキュッ、と喉から変な音がした。
自分の…僕の喉だと思う、
唾なのか空気なのか一体何を飲み込んだのか分からないけど。
心臓が煩くて、抱え上げてる腕に変に力が入る様な何か。
無意識にこの可愛い生き物を何処へ隠そうか考えた。
ここは僕の家だ。向こうの僕の部屋なら誰にも見つからない。
いや。駄目だ、この子は大統領の番だ。
でも僕の愛人だ。
初めて呼ぶ好きな子の名前は、情けない程震えた。
「と、きあき」
「んっ。」
「ときあき」
抱き上げたまま僕だけがベッドに座る。
このまま離したくない、もっと僕の腕の中に居て欲しい。
裸のトキはとても綺麗で、キスがしたくなる
「僕に、そう…呼ばれたいの、」
「ん。今だけな。」
「今だけ、呼んで良いの」
それはとても特別な事だよトキ。
名前だけを呼ばせるのは、親かとても親しい人にしか許されない本当に特別な事だよ。
トキや大統領が僕をグルーエントと呼ぶのは構わない。
それは立場的に許された行為だけど。
僕が、トキを名前だけで呼ぶ事は良く無い。
僕は只の護衛だ。愛人契約を結んでいても、トキの立場を考えれば僕が名前を呼べないのは必然だった。
「ん。俺を名前で呼んでくれて良い…グゥル。」
「練習しとけば良かった、」
急に言われると難しいんだよ
「トキあき、」
抱き締めた腕や膝に乗るトキの身体が温かい。
ゆっくりお湯に浸かるトキの文化を僕は好きになった。
温められた蜂蜜色の肌は、美味しそうに見える。
「トキあき、ときあき」
そうだ、僕は
確かめないといけないのにこの目はトキの肌ばかり見てる。
「あまり僕を煽らないで、」
「いやだ。」
「少し診るだけだよ。」
「見てるだろ。」
「そういう目で見ちゃうから、」
「見れば良いー…っ。♡」
不意にトキの腕がするっと伸びた。
ぎゅっとあの夜を思い出す様な強さで抱き締められ、つい息を止めた。
これ絶対良い匂いがする。
「アッ」
キスされた。首に。それもただのキスじゃ無い。
一瞬走った痛みで跡を残されたんだと思った。
「トキ…くッ、」
ぬるっ、と柔らかい舌が残した跡を這う。
おまけにガブッと歯を立てられた。
はぁー…なんでそんな事するの、頭が爆発しそうなんだけどっ、
理性がフラフラする。
大統領はどうやってこんな誘惑に耐えてるんだ
「結構派手に付いたな。痛かった?」
このままじゃダメだ。全く良く無い。
完全にトキの手の上で遊ばれてる。
また夢中でトキを抱いてたら朝が来る奴だ。
どうする。
「グゥル?なぁ、噛んだのそんなに痛かった?」
流石にトキの秘密を聞いておいてそんな事、報告出来ないんだけど。
蜂蜜色の肌や、赤くて美味しそうな舌先から必死で目を引き剥がしして、見飽きた部屋の壁へと固定した。
そこには、姉さんに押し付けられて飾った絵が有る。
前にトキが避難して来た時に、絵ぐらい飾りなさいよって言われて。
特に何とも思わない風景画だけど、助かった。
あとで姉さんにお礼しよう。
僕の理性を取り戻してくれてありがとう姉さん。
「ごめんって...なぁ、グルーエント、大丈夫か?」
ああどうしよう。
僕に跡を残すなんて可愛いねトキ。
そんな風に撫でてみなくても、全然痛くなかったよ。
もっと、血が滲むほど噛んでくれて良いのに。
跡も、沢山付けて良いよ。
僕の身体に付ける跡は、もうずっと全部トキだけなんだから。
「痛く無いよ。可愛いくて考え事してた」
「そう?」
それにしても、好きな子が裸で腕の中に居て冷静になれる男には、
キスくらいしても許されたりしないかな。
トキが許してくれれば大統領はある程度許してくれると思うんだけど。
あー…そうだ。良いのが有る。
「うわ、」
「ははっ、ごめんね。空間収納も本当は怖かった?」
「まぁ、うん…いきなり空中に手を突っ込む所がちょっと怖いけど大丈夫。見慣れないだけ。それより、今取り出した薬の方が気になるんだけど。何それ。」
「何だと思う?」
「診るのに睡眠薬は要らないだろ。」
「飲んでも効かないの覚えてるよ。だから別のを用意したんだ。」
その警戒心で鋭くなるトキの瞳が僕は好きだな。
「これを飲んで大人しくなるか、飲まないで大人しくするか選んでときあき。」
「俺を脅すと高く付くけど良いのか?」
睨め付ける様に僕を見る。
僕はその問いに返事をする事は出来ない。
良いよって答えたらその瞬間に僕がトキを脅したって事になる。
だから先を促した。
「もし飲んだら、その賢い頭が性欲でいっぱいになる位抱き合って君の意識を飛ばしてから僕だけが解毒薬を飲む。その後で、意識の無い身体を隈なく調べ回ってホクロの数まで数えて…トキには瘢痕一つ見つから無かったって大統領に報告するだけだよ。」
「怖っ。」
「準備もほら、もう出来てる。」
「ん、ぁ。♡」
幾ら頭を落ち着けても下半身はトキの重みに反応してる。
ちょっと腰を打ちつけるだけで、トキの大事な所を押し上げる。
ここが柔く蕩けるまで僕を受け入れてくれたの、まだ覚えてる?
「ぁ。こら、やめろ」
僕がやっと二度目のトキを味わうまで、何度も大統領に愛されたよね。
羨ましいと思う。
「どうするとき。飲む?」
「ん…っ、ンぁ。」
小さい声が僕を煽る。
煽るなって言ったのは僕なのにね。
我慢なんか出来なかった。
もっと強く押し付けた下半身にトキも腰を揺らす。
僕が欲しいんだトキ。嬉しい。
抱き上げていた右手でトキの右の胸を、撫でた。
少し硬くなってる…。
すりすりすりすり。
手触りを楽しむ。
「あー…カワイ、」
反対側も触りたくなった。
左手はトキの足の裏に通してる。
離したら逃げるかな、じゃあ。
はく、と口を開けて寄る。
トキの胸は逃げなかった。
軽く吸い付いた僕を受け入れた、
それどころか胸を押し付けて吸い易くする。
「は、ぁ...♡」
柔く軽く甘くそっと、何度も何度も吸い付いた。
もう抱いて気を失ってから診ようかな。
それでも良いんじゃないかな。
「トキ、薬飲もっか。」
濡れた胸の先をぺろっ、と舐めて押し潰してから聞く。
「んぅ、♡」
「良いの?今の返事って事で良い、」
良いんだ。
トキ、粉薬苦手だったよね。
「待ってね水持って来るから」
「え゛、!?駄目だ!」
ふわふわしてたのに。
急にガバッと起き上がって暴れ出した。
落ちちゃうよ、トキ。落とさないけど。
「俺に薬盛ったらエルに言い付けてやる、!」
睨み付けて来るトキを見ながら空間収納に戻すけど、凄く胡乱気な目を向けられた。ちゃんと戻したよ。
「トキ。」
「なに。」
「トキの名前をもう一回聞きたい。響きを覚えたいんだ。」
「時昭。」
「ときあ、き。」
「惜しい。時…昭…」
僕、耳は良いんだ。
本当なら目も良いんだけど、そっちはトキが誘惑して全然使い物にならなそうだから、使える方から使おう。
診るのは、身体だけじゃない。
トキはもう少し自惚れた方が良い。
その為の僕なんだから。
「時昭…、今の似てた?」
「凄いな完璧、」
「時昭。」
「ん…なんか、結構懐かしいな。すごく日本語っぽい。」
さっきの愛撫で熱を上げた身体を落ち着ける様に、優しく抱き締めて何度もトキの名前を呼ぶ。
一回呼ぶ毎に一つ思い出を込めて。
「なぁ...それ、なんか意味有るだろ、」
「今だけだから沢山呼びたいんだよ時昭。」
疑り深いのは良い事だよ。
本当、厄介な男だねトキ。
勿論、この行動に意味は有る。沢山呼びたいのは本当だけど。
ひとは自分の名前を大事に呼ばれると、それだけで堪らなく心を揺さぶられる事が有る。
それは異世界から来た人間にも効いた。
父さんに手を握られて泣いたでしょ、あれと同じ事が僕にも出来るよ。
僕は父さんより深く、トキの中に沈みたい。
その為の愛人だから。
「時昭。」
「… …なぁ、もういいって、」
「僕に明日の昼食と秘密とトキをくれるって言ったのは時昭だよ。」
「名前呼びは入ってないだろ、」
「もう味を占めちゃった。今日だけ、今夜だけだよトキ。」
トキが僕の顔が好きな事も、僕の声が好きな事も知ってる。
僕の目が好きだって事も。
裸の身体をもっと抱き寄せて口付ける。
「もっと呼びたい、」
トキは僕が甘えると、しょうがないって顔をする。
それから観念して好きなだけ呼ばせる事にしてくれた。
トキの甘やかし方に、皆が夢中になる。
療養のベッドで過ごすトキは、病弱でお綺麗でお堅い子なんだと思った。
でも具合が悪くて寝込む以外には、弱音を吐く所は勿論、帰りたいなんて言葉すら一度だって言わなかったし。
父さんが聞くまで窓の一つも開けなかった。
思えばあれが最初の違和感だったのかも。
妙に飼い慣らされた子だと思った。
だけどそれは初めだけだった。
文字を覚えて今後の事を考えるトキは、どんどん元気になった。
あの人と父さんの目論見は当たった。
トキはあれだけの嫌味や奇異の目に晒されながら、誰が見ても堂々と大統領に並ぶこの国二番目の良い男になった。
それで翳りが無くなるだろう、と僕達はそう思ってた。
それが補佐官になってから翳りは一層濃くなった。
負担が大き過ぎたんだと、幾ら僕や主治医が言っても、もう引き返せなかった。
何より、トキにはその才能が有った。
彼らは自分の感情より先に、損得勘定を念頭に置く生き物だ。
そういう連中は医者の言う事を聞いた試しが無い。
倒れる迄、限界まで働く事が楽しい連中で。
僕には全く理解出来ない生き物のひとりになってしまった。
「時昭。」
「んっ。まだ呼ぶのか。」
何度も呼び続けて、トキの声音が柔らかくなる。
少し慣れて来たかな。
ガチガチに固められた防御を柔くふにゃふにゃにして、そこに少しずつ火を点ける。
例えば、名前を呼びながら首に口付けたり。
体勢を変えて、僕の腰を跨ぐ様に抱き直したりしながら、悪い言葉を吹き込んでいく。
「時昭。」
「んっ、擽ったい。」
「彼らは」
「彼ら?」
「そう。彼ら。トキは彼らをそう呼びたい?」
僕は呼ばせたく無い。
勿論、僕が敬意を払わなければならない立場だという事は理解していてる。
只、トキが教えてくれた<秘密>を聞くに、彼らが敬意に見合った行いをして来たとは思えない。
まぁ、僕もこんな仕事をしていて敬意を払われる事は望んで無い。
そこらの魔物と何が違うのかと言われれば。
言葉が通じて、護るべき人が居る事くらいだ。
それ以外は、<彼ら>と大差ないだろうね。
僕の手は汚れてる。
対してトキの手はまだ全ったく綺麗だね。
「皆にそう呼ばれたくは、ない。他人行儀な呼び方をしても良いならそうしたい。」
他人が聞けば、冷たいと思うだろうし。
それでも大統領なら彼らに敬意を示すだろうね。
それは、あの人が大統領だからだ。
だからこそ思う。
「彼らはここがルノクである事に感謝すべきだよ時昭。」
小さいお尻を抱き締めて、名前を呼びながら話し掛ける僕に、トキは何が言いたいのか分からないみたいだった。
「トキは、もう僕達だけのトキじゃない。」
大統領の最愛の妻、と言うだけではなく。
大統領補佐官という肩書まで得たトキは、今日見た通り国中がトキの事を愛してる。
「この前、ラジクマルクス・ランが『君の非情さの方が際立ってしまったかな』と言ったあの時、僕はうっかりアイツの首をへし折りそうになった。」
「あ、そう...」
「そう。そういう事を彼らにしてやりたいと僕は思う。」
彼らは感謝すべきだ。
僕達はーー、
とりわけこの国ルノクの最深部では国を守る為に物騒な事も許容する。
トキはそれを許容するだけ立場と度量を持ってる。
普通は誰もが怯む様な指示、悪夢に苛まれもする様な事を、トキは許可する事が出来る。
それは間違い無く才能だよ時昭。
だからこそ彼らは感謝すべきだ。
トキがたった一言命じれば、彼らを無数の刃が襲う。
そうしないのは、ここがルノクだからだ。
今まで落ちて来た異世界の誰も、元の世界へ戻す術は見つかっていない。
よかったね。
安堵してくれて構わない。
感謝をしてくれて良い。
不意を打たれて襲われるか、味わった事の無い苦痛と恐怖で以て使い物にならなくするか、僕達にそうする術が無い事に心から感謝すべきだ。
「今日のグゥルは怖い事ばっか言うんだな。」
「本気だよ時昭。僕が怖い?」
「それは分かる。」
トキが手を伸ばして僕を抱き締めてくれた。
怖い事を聞かされたのに、その指はトントンと僕の肩を跳ねて遊んでる。
怯えている様には見えないな。
むしろ楽しそうに見える。
「もしトキの故郷へ行けたなら、12羽の鷹や鷲が空から奇襲を掛けて」
誰よりも速く風を切る翼で追い掛けて追い詰める。
狩りが得意なんだ。
そして行き着く先に、あの人が居る。
牙を剥き出しにして雄々しいたてがみを風に受けて待ち受ける。
「食い殺されそうだ」
「空と陸の王が愛してるんだから生きて居られる筈が無い。」
「ん。そうだな…っ。」
「泣いても良いよ。」
「ん。泣いてる。涙が出ないだけで泣いてると思う…。」
きゅ、と僕を抱き込む力が強くなった。
声が震えてる、息も堪えてる
そのまま。
そのままでいて
慰める様に背中を撫でる。
傷ひとつないトキの身体を。
「傷は癒さないと、トキ。」
仕返しなら僕達がしてあげる。
トキを愛さない国なら、僕達ルノクがトキを愛してる。
その為にトキは呼ばれたんだ。
大統領と僕達のルノクの為の大事で可愛い補佐官。
普通は、補佐官殿と呼ぶのに。
皆が、親しみを込めてトキ様と呼ぶ。
こんなに愛されたい大統領の番は居ない。
「僕達の補佐官が何時迄も<癒さない傷>を抱える事を、僕達は望まない。」
「ン、」
「皆、元気なトキが見たいんだ。僕も大統領も国民も皆だよトキ。」
「ん…~ッ、ふぅ、ぅ、」
じわ、と肩が濡れた。
温かい水滴が服を濡らす。
この水滴は全然鬱陶しくないな。
それどころかずっと寄り添って居たい位、温かい。
じわじわ染みる涙は、しばらくすると下手な哭き方に変わった。
涙は少しだけ向こうへ行って、声だけでわんわん泣く。
子供みたいだ。
どうだろ、子供の方が上手く泣けるか。
「泣くの下手だね時昭。」
「うう…~っ、」
なんか喋ってるけど、全然聞き取れない。
もしかして向こうの言葉かも知れないけど、そのまま声を出したら良い。
「トキ、手を貸して。」
僕はトキの手を借りて、その表面に魔力を流す。
「そのまま、手を伸ばして…そう、」
「うわぁ。!?」
手を重ねたまま、空間収納からタオルを取り出した。
「…すごぃ、」
「そうっ?」
「は、じめて触った…すげぇ」
取り出したタオルをまじまじと眺めて、虚空を見てる。
「折角タオル取ったのに、涙引っ込んだ」
「もう一回やる?」
「いや、いい。」
「どうして?」
「さっきの薬なら要らないからな。」
「水も有るよ?」
涙は止まって漸く鼻先だけがスンスン言うだけになった頃、トキが僕を見上げてはっきりと宣言した。
「俺を診て良いグルーエント。あと、ベルモントさんにもちゃんと話す。」
「良いの?」
「ん。ユディールに予定をこじ開けさせるから、執務室から一緒に行こう、」
「トキが行くなら何処でも行くよ。手でも繋ぐ?」
「繋ぐ。」
「…本気?」
「本気だ。俺が逃げそうになったら頼む。こういうのは他人に頼むのが良いってこの前、痛感したんだよ。」
「分かったよ。縛り挙げてでも医務室に連れて行ってあげる。」
トキは僕の質問には答えなかった。
だけど、
拳を作らせた僕の手を両手で握って胸に抱き締めた。
可愛い、僕の手は怖くないんだ。
それなのに、何か違和感が有る。
僕は腕の中に居るトキを眺めた。
あぁ、もしかして抱き締めたのは僕の勘違いか。
偶々気まぐれで遊んでるのかも知れない。
トキは言葉にしないままでも、仕草ひとつで僕達を誘導出来る。
言葉にしないままーーって事は。
ハッとする。
大慌てで湯船からトキを抱き上げた。
歩きながら風魔法でトキに纏わりつく水滴を飛ばす。
冷たく無い様に少し熱を加えたけど、邪魔だ。
両手が使えたら一瞬で終わるのに、扉を開ける為に手間を惜しんだ。家の中にも転移魔法を仕込んだ方が良いね。
「ちょ、グゥル、どうした」
「黙って。お願いトキ。今僕の意識を削がないで。」
トキは言葉ひとつでも僕を惑わせる。
この仕草にも意味があるんだとしたら、少し口を閉じて貰わないと困る。
僕はこれ以上、トキを見逃したくない。
「グゥル…」
「どうかしたトキ」
それなのに、どうかしたのと返事をせずにはいられない。
何かあるなら僕に全部聞かせて欲しいから、
「トキじゃない。」
「ん?」
「時昭。」
ゴキュッ、と喉から変な音がした。
自分の…僕の喉だと思う、
唾なのか空気なのか一体何を飲み込んだのか分からないけど。
心臓が煩くて、抱え上げてる腕に変に力が入る様な何か。
無意識にこの可愛い生き物を何処へ隠そうか考えた。
ここは僕の家だ。向こうの僕の部屋なら誰にも見つからない。
いや。駄目だ、この子は大統領の番だ。
でも僕の愛人だ。
初めて呼ぶ好きな子の名前は、情けない程震えた。
「と、きあき」
「んっ。」
「ときあき」
抱き上げたまま僕だけがベッドに座る。
このまま離したくない、もっと僕の腕の中に居て欲しい。
裸のトキはとても綺麗で、キスがしたくなる
「僕に、そう…呼ばれたいの、」
「ん。今だけな。」
「今だけ、呼んで良いの」
それはとても特別な事だよトキ。
名前だけを呼ばせるのは、親かとても親しい人にしか許されない本当に特別な事だよ。
トキや大統領が僕をグルーエントと呼ぶのは構わない。
それは立場的に許された行為だけど。
僕が、トキを名前だけで呼ぶ事は良く無い。
僕は只の護衛だ。愛人契約を結んでいても、トキの立場を考えれば僕が名前を呼べないのは必然だった。
「ん。俺を名前で呼んでくれて良い…グゥル。」
「練習しとけば良かった、」
急に言われると難しいんだよ
「トキあき、」
抱き締めた腕や膝に乗るトキの身体が温かい。
ゆっくりお湯に浸かるトキの文化を僕は好きになった。
温められた蜂蜜色の肌は、美味しそうに見える。
「トキあき、ときあき」
そうだ、僕は
確かめないといけないのにこの目はトキの肌ばかり見てる。
「あまり僕を煽らないで、」
「いやだ。」
「少し診るだけだよ。」
「見てるだろ。」
「そういう目で見ちゃうから、」
「見れば良いー…っ。♡」
不意にトキの腕がするっと伸びた。
ぎゅっとあの夜を思い出す様な強さで抱き締められ、つい息を止めた。
これ絶対良い匂いがする。
「アッ」
キスされた。首に。それもただのキスじゃ無い。
一瞬走った痛みで跡を残されたんだと思った。
「トキ…くッ、」
ぬるっ、と柔らかい舌が残した跡を這う。
おまけにガブッと歯を立てられた。
はぁー…なんでそんな事するの、頭が爆発しそうなんだけどっ、
理性がフラフラする。
大統領はどうやってこんな誘惑に耐えてるんだ
「結構派手に付いたな。痛かった?」
このままじゃダメだ。全く良く無い。
完全にトキの手の上で遊ばれてる。
また夢中でトキを抱いてたら朝が来る奴だ。
どうする。
「グゥル?なぁ、噛んだのそんなに痛かった?」
流石にトキの秘密を聞いておいてそんな事、報告出来ないんだけど。
蜂蜜色の肌や、赤くて美味しそうな舌先から必死で目を引き剥がしして、見飽きた部屋の壁へと固定した。
そこには、姉さんに押し付けられて飾った絵が有る。
前にトキが避難して来た時に、絵ぐらい飾りなさいよって言われて。
特に何とも思わない風景画だけど、助かった。
あとで姉さんにお礼しよう。
僕の理性を取り戻してくれてありがとう姉さん。
「ごめんって...なぁ、グルーエント、大丈夫か?」
ああどうしよう。
僕に跡を残すなんて可愛いねトキ。
そんな風に撫でてみなくても、全然痛くなかったよ。
もっと、血が滲むほど噛んでくれて良いのに。
跡も、沢山付けて良いよ。
僕の身体に付ける跡は、もうずっと全部トキだけなんだから。
「痛く無いよ。可愛いくて考え事してた」
「そう?」
それにしても、好きな子が裸で腕の中に居て冷静になれる男には、
キスくらいしても許されたりしないかな。
トキが許してくれれば大統領はある程度許してくれると思うんだけど。
あー…そうだ。良いのが有る。
「うわ、」
「ははっ、ごめんね。空間収納も本当は怖かった?」
「まぁ、うん…いきなり空中に手を突っ込む所がちょっと怖いけど大丈夫。見慣れないだけ。それより、今取り出した薬の方が気になるんだけど。何それ。」
「何だと思う?」
「診るのに睡眠薬は要らないだろ。」
「飲んでも効かないの覚えてるよ。だから別のを用意したんだ。」
その警戒心で鋭くなるトキの瞳が僕は好きだな。
「これを飲んで大人しくなるか、飲まないで大人しくするか選んでときあき。」
「俺を脅すと高く付くけど良いのか?」
睨め付ける様に僕を見る。
僕はその問いに返事をする事は出来ない。
良いよって答えたらその瞬間に僕がトキを脅したって事になる。
だから先を促した。
「もし飲んだら、その賢い頭が性欲でいっぱいになる位抱き合って君の意識を飛ばしてから僕だけが解毒薬を飲む。その後で、意識の無い身体を隈なく調べ回ってホクロの数まで数えて…トキには瘢痕一つ見つから無かったって大統領に報告するだけだよ。」
「怖っ。」
「準備もほら、もう出来てる。」
「ん、ぁ。♡」
幾ら頭を落ち着けても下半身はトキの重みに反応してる。
ちょっと腰を打ちつけるだけで、トキの大事な所を押し上げる。
ここが柔く蕩けるまで僕を受け入れてくれたの、まだ覚えてる?
「ぁ。こら、やめろ」
僕がやっと二度目のトキを味わうまで、何度も大統領に愛されたよね。
羨ましいと思う。
「どうするとき。飲む?」
「ん…っ、ンぁ。」
小さい声が僕を煽る。
煽るなって言ったのは僕なのにね。
我慢なんか出来なかった。
もっと強く押し付けた下半身にトキも腰を揺らす。
僕が欲しいんだトキ。嬉しい。
抱き上げていた右手でトキの右の胸を、撫でた。
少し硬くなってる…。
すりすりすりすり。
手触りを楽しむ。
「あー…カワイ、」
反対側も触りたくなった。
左手はトキの足の裏に通してる。
離したら逃げるかな、じゃあ。
はく、と口を開けて寄る。
トキの胸は逃げなかった。
軽く吸い付いた僕を受け入れた、
それどころか胸を押し付けて吸い易くする。
「は、ぁ...♡」
柔く軽く甘くそっと、何度も何度も吸い付いた。
もう抱いて気を失ってから診ようかな。
それでも良いんじゃないかな。
「トキ、薬飲もっか。」
濡れた胸の先をぺろっ、と舐めて押し潰してから聞く。
「んぅ、♡」
「良いの?今の返事って事で良い、」
良いんだ。
トキ、粉薬苦手だったよね。
「待ってね水持って来るから」
「え゛、!?駄目だ!」
ふわふわしてたのに。
急にガバッと起き上がって暴れ出した。
落ちちゃうよ、トキ。落とさないけど。
「俺に薬盛ったらエルに言い付けてやる、!」
睨み付けて来るトキを見ながら空間収納に戻すけど、凄く胡乱気な目を向けられた。ちゃんと戻したよ。
「トキ。」
「なに。」
「トキの名前をもう一回聞きたい。響きを覚えたいんだ。」
「時昭。」
「ときあ、き。」
「惜しい。時…昭…」
僕、耳は良いんだ。
本当なら目も良いんだけど、そっちはトキが誘惑して全然使い物にならなそうだから、使える方から使おう。
診るのは、身体だけじゃない。
トキはもう少し自惚れた方が良い。
その為の僕なんだから。
「時昭…、今の似てた?」
「凄いな完璧、」
「時昭。」
「ん…なんか、結構懐かしいな。すごく日本語っぽい。」
さっきの愛撫で熱を上げた身体を落ち着ける様に、優しく抱き締めて何度もトキの名前を呼ぶ。
一回呼ぶ毎に一つ思い出を込めて。
「なぁ...それ、なんか意味有るだろ、」
「今だけだから沢山呼びたいんだよ時昭。」
疑り深いのは良い事だよ。
本当、厄介な男だねトキ。
勿論、この行動に意味は有る。沢山呼びたいのは本当だけど。
ひとは自分の名前を大事に呼ばれると、それだけで堪らなく心を揺さぶられる事が有る。
それは異世界から来た人間にも効いた。
父さんに手を握られて泣いたでしょ、あれと同じ事が僕にも出来るよ。
僕は父さんより深く、トキの中に沈みたい。
その為の愛人だから。
「時昭。」
「… …なぁ、もういいって、」
「僕に明日の昼食と秘密とトキをくれるって言ったのは時昭だよ。」
「名前呼びは入ってないだろ、」
「もう味を占めちゃった。今日だけ、今夜だけだよトキ。」
トキが僕の顔が好きな事も、僕の声が好きな事も知ってる。
僕の目が好きだって事も。
裸の身体をもっと抱き寄せて口付ける。
「もっと呼びたい、」
トキは僕が甘えると、しょうがないって顔をする。
それから観念して好きなだけ呼ばせる事にしてくれた。
トキの甘やかし方に、皆が夢中になる。
療養のベッドで過ごすトキは、病弱でお綺麗でお堅い子なんだと思った。
でも具合が悪くて寝込む以外には、弱音を吐く所は勿論、帰りたいなんて言葉すら一度だって言わなかったし。
父さんが聞くまで窓の一つも開けなかった。
思えばあれが最初の違和感だったのかも。
妙に飼い慣らされた子だと思った。
だけどそれは初めだけだった。
文字を覚えて今後の事を考えるトキは、どんどん元気になった。
あの人と父さんの目論見は当たった。
トキはあれだけの嫌味や奇異の目に晒されながら、誰が見ても堂々と大統領に並ぶこの国二番目の良い男になった。
それで翳りが無くなるだろう、と僕達はそう思ってた。
それが補佐官になってから翳りは一層濃くなった。
負担が大き過ぎたんだと、幾ら僕や主治医が言っても、もう引き返せなかった。
何より、トキにはその才能が有った。
彼らは自分の感情より先に、損得勘定を念頭に置く生き物だ。
そういう連中は医者の言う事を聞いた試しが無い。
倒れる迄、限界まで働く事が楽しい連中で。
僕には全く理解出来ない生き物のひとりになってしまった。
「時昭。」
「んっ。まだ呼ぶのか。」
何度も呼び続けて、トキの声音が柔らかくなる。
少し慣れて来たかな。
ガチガチに固められた防御を柔くふにゃふにゃにして、そこに少しずつ火を点ける。
例えば、名前を呼びながら首に口付けたり。
体勢を変えて、僕の腰を跨ぐ様に抱き直したりしながら、悪い言葉を吹き込んでいく。
「時昭。」
「んっ、擽ったい。」
「彼らは」
「彼ら?」
「そう。彼ら。トキは彼らをそう呼びたい?」
僕は呼ばせたく無い。
勿論、僕が敬意を払わなければならない立場だという事は理解していてる。
只、トキが教えてくれた<秘密>を聞くに、彼らが敬意に見合った行いをして来たとは思えない。
まぁ、僕もこんな仕事をしていて敬意を払われる事は望んで無い。
そこらの魔物と何が違うのかと言われれば。
言葉が通じて、護るべき人が居る事くらいだ。
それ以外は、<彼ら>と大差ないだろうね。
僕の手は汚れてる。
対してトキの手はまだ全ったく綺麗だね。
「皆にそう呼ばれたくは、ない。他人行儀な呼び方をしても良いならそうしたい。」
他人が聞けば、冷たいと思うだろうし。
それでも大統領なら彼らに敬意を示すだろうね。
それは、あの人が大統領だからだ。
だからこそ思う。
「彼らはここがルノクである事に感謝すべきだよ時昭。」
小さいお尻を抱き締めて、名前を呼びながら話し掛ける僕に、トキは何が言いたいのか分からないみたいだった。
「トキは、もう僕達だけのトキじゃない。」
大統領の最愛の妻、と言うだけではなく。
大統領補佐官という肩書まで得たトキは、今日見た通り国中がトキの事を愛してる。
「この前、ラジクマルクス・ランが『君の非情さの方が際立ってしまったかな』と言ったあの時、僕はうっかりアイツの首をへし折りそうになった。」
「あ、そう...」
「そう。そういう事を彼らにしてやりたいと僕は思う。」
彼らは感謝すべきだ。
僕達はーー、
とりわけこの国ルノクの最深部では国を守る為に物騒な事も許容する。
トキはそれを許容するだけ立場と度量を持ってる。
普通は誰もが怯む様な指示、悪夢に苛まれもする様な事を、トキは許可する事が出来る。
それは間違い無く才能だよ時昭。
だからこそ彼らは感謝すべきだ。
トキがたった一言命じれば、彼らを無数の刃が襲う。
そうしないのは、ここがルノクだからだ。
今まで落ちて来た異世界の誰も、元の世界へ戻す術は見つかっていない。
よかったね。
安堵してくれて構わない。
感謝をしてくれて良い。
不意を打たれて襲われるか、味わった事の無い苦痛と恐怖で以て使い物にならなくするか、僕達にそうする術が無い事に心から感謝すべきだ。
「今日のグゥルは怖い事ばっか言うんだな。」
「本気だよ時昭。僕が怖い?」
「それは分かる。」
トキが手を伸ばして僕を抱き締めてくれた。
怖い事を聞かされたのに、その指はトントンと僕の肩を跳ねて遊んでる。
怯えている様には見えないな。
むしろ楽しそうに見える。
「もしトキの故郷へ行けたなら、12羽の鷹や鷲が空から奇襲を掛けて」
誰よりも速く風を切る翼で追い掛けて追い詰める。
狩りが得意なんだ。
そして行き着く先に、あの人が居る。
牙を剥き出しにして雄々しいたてがみを風に受けて待ち受ける。
「食い殺されそうだ」
「空と陸の王が愛してるんだから生きて居られる筈が無い。」
「ん。そうだな…っ。」
「泣いても良いよ。」
「ん。泣いてる。涙が出ないだけで泣いてると思う…。」
きゅ、と僕を抱き込む力が強くなった。
声が震えてる、息も堪えてる
そのまま。
そのままでいて
慰める様に背中を撫でる。
傷ひとつないトキの身体を。
「傷は癒さないと、トキ。」
仕返しなら僕達がしてあげる。
トキを愛さない国なら、僕達ルノクがトキを愛してる。
その為にトキは呼ばれたんだ。
大統領と僕達のルノクの為の大事で可愛い補佐官。
普通は、補佐官殿と呼ぶのに。
皆が、親しみを込めてトキ様と呼ぶ。
こんなに愛されたい大統領の番は居ない。
「僕達の補佐官が何時迄も<癒さない傷>を抱える事を、僕達は望まない。」
「ン、」
「皆、元気なトキが見たいんだ。僕も大統領も国民も皆だよトキ。」
「ん…~ッ、ふぅ、ぅ、」
じわ、と肩が濡れた。
温かい水滴が服を濡らす。
この水滴は全然鬱陶しくないな。
それどころかずっと寄り添って居たい位、温かい。
じわじわ染みる涙は、しばらくすると下手な哭き方に変わった。
涙は少しだけ向こうへ行って、声だけでわんわん泣く。
子供みたいだ。
どうだろ、子供の方が上手く泣けるか。
「泣くの下手だね時昭。」
「うう…~っ、」
なんか喋ってるけど、全然聞き取れない。
もしかして向こうの言葉かも知れないけど、そのまま声を出したら良い。
「トキ、手を貸して。」
僕はトキの手を借りて、その表面に魔力を流す。
「そのまま、手を伸ばして…そう、」
「うわぁ。!?」
手を重ねたまま、空間収納からタオルを取り出した。
「…すごぃ、」
「そうっ?」
「は、じめて触った…すげぇ」
取り出したタオルをまじまじと眺めて、虚空を見てる。
「折角タオル取ったのに、涙引っ込んだ」
「もう一回やる?」
「いや、いい。」
「どうして?」
「さっきの薬なら要らないからな。」
「水も有るよ?」
涙は止まって漸く鼻先だけがスンスン言うだけになった頃、トキが僕を見上げてはっきりと宣言した。
「俺を診て良いグルーエント。あと、ベルモントさんにもちゃんと話す。」
「良いの?」
「ん。ユディールに予定をこじ開けさせるから、執務室から一緒に行こう、」
「トキが行くなら何処でも行くよ。手でも繋ぐ?」
「繋ぐ。」
「…本気?」
「本気だ。俺が逃げそうになったら頼む。こういうのは他人に頼むのが良いってこの前、痛感したんだよ。」
「分かったよ。縛り挙げてでも医務室に連れて行ってあげる。」
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