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第二章:大統領補佐官
something for...4
しおりを挟む「ふ、ふぅ...っ、ふ...はぁ♡」
トキアキの枷の外し方は私しか知らない。
苦痛は与えない。
不要な力を外し、陶酔させる。
口付けで酸素を奪いつつ、首に緩く結んだ糸を引く。
紐の色はトキが選んだ。
薄い蜂蜜色の柔い羊毛で編まれた糸で、身体には傷一つ付けさせない。
「次は何処が良いトキアキ。」
唇を吸い、舌を絡めて問う。
「ぁ、イクーーーふっ、くぅっン」
「トキアキまたイッたのか。私は次に何処が良いか聞いているんだが。」
膝に乗せ腹の中に深く突き立て、トキアキの意思を暴いていく。
用意した紐は10本。
次の4本目を何処に結ぶか決めさせている。
「言えないか?」
余韻で震えたまま言葉もままならないトキにキスをする。
言えなくとも問題は無い。
口付けている唇の動きで言いたい事が伝わる。
私ならトキが何を考えているのか分かる。
吐息と喘ぎの中で唇が音に鳴らないまま動いた。
奥を潰されたままというのは辛いのだろうな。
だが、熱心に吸い付いて快感を得ようとする貪欲な身体に私の方が理性を奪われてしまいそうだ。
その前にトキの望みを叶えなくては。
突き入れた熱を引き抜き、小さく喘ぐトキの背を抱き込んでベッドへ押し付ける。
尻の下に膝を差し込み、一層身動きが取れない格好をさせる。
「ぁ、見る、な」
「ふっ、足首に紐を結ぶだけだ。それとも6本目はコレにするか?」
太い物を咥え込ませていた孔が開いて閉じてを繰り返している。
だが、見ている事がトキに知れたら足を閉じてしまうだろう。
下から上へ精を吐いたばかりの竿をなぞる。
トキは枕に頭を擦り付けて首を振った。
残念だ。緩く飾る程度に紐を掛けたなら息を呑むほど愛らしいだろうに。
トキアキの精で濡れてくったりとした羊毛を見てみたい。
「出来たぞトキ。見えるか?」
首、両手首に次いで両足首もそれぞれに紐を結んだ。
じっと足首を見ている。
瞳が揺れているから恥ずかしいのだろうが、決してそれを言わない。
「言ってみろトキ。どう感じる。私にたった1本の羊毛を結ばれた気分は。」
努力は認めよう。
唇が何かを言いかけては開き、閉じた。
だが、何かひとつは言わなくては先へは進めないぞトキアキ。
「口を割らせたくなるなトキアキ。」
元から負けん気の強いトキとの我慢比べは何時も私を焚き付けて来る。
胸の先に舌を這わせ、震える竿にも手を伸ばす。
「私にはとても卑猥に見える。胸もペニスも縛って欲しそうだ。」
竿の先を押し潰し腰を揺らすトキアキの柔い膨らみにも愛撫を。
揉むと良い声で鳴くようになった。
ここにも糸を結んでみたい。
あぁ、頬が上気してもう口を閉じていられないのだろう。
息を吸うのと同時に、唇が動いた。
「えっ、ちぃ。」
吐息混じりの声でなんて言葉を吐くのか。
久しぶりに舌打ちしそうになったぞ、トキアキ。
「良い声だ。」
腰を更に持ち上げ、浮いた膝裏を向こうへ押す。
濡れた孔が呼吸したのが見えた。
「ひ、ぃーーーンくぅ、!?」
トキが嫌がるので普段はしないが、今日は駄目だ。
我慢が効かない。
尻の孔に舌を這わせぬるぬる突き入れる。
身体は分かっているようで私の動きを拒んだりしない。
柔く招き入れ、吸い付いてこぽっと蜜を吐く。
蜜は多い程、良い。
途中、髪を掴んで来たトキの右手を引き私を招き入れる孔を触らせた。
「どうだ。私を夢中にさせる孔だ。」
一緒に指を滑り込ませた味わわせた。
何処を押せば良いのか、どんな風に擦られるのが良いのか。
私はトキの癖が唯一外れる時を知っている。
「今日はまだ見ていない。」
指を一心不乱に動かすトキアキは美しい。
欲に塗れながら、僅か一滴の恥じらいを保っている。
「見せてくれ。」
私は彼が見せ付けてくるあの姿が見たい。
トキは上手に言える筈だ。
普段からあの位我儘になれば良い。
とても可愛いく、とても愛らしく、とても蠱惑的で。
私を夢中にさせる。
「むり、ごめん、見せ、られない... ...ぃ。」
「あぁ、泣かなくて良い。何故出来ないと思うんだ?何時も上手く出来ている。」
声を殺して泣いていた時とは違う。
何かがままならずに泣く姿は、どう見ても頑是ない子供の様でつい甘やかしてしまう。
膝を抜いて背中をベットへ戻す。
「あと少し押せばイケるだろう?」
さっき一緒に押した所をもう数度押せば、トキアキは精を吐ける筈だ。
震えて蕩けている身体はもう準備は出来ている。
何が、気に障ったのだろうか?
「おれ、まだ...っ、好きなとこ言ってなぃいっ、」
「トキアキ」
舌打ちを我慢した私は偉いが、つい歯を食いしばってしまった。
仕方がない。
私の妻が何処をどう弄られるのが好きか白状したいと言っている。
白状しないと、イキたくないと言う。
聞くのが夫の務めだ。
「言ってみろ。そしたら私がイかせてやるトキアキ。」
涙ぐんだ顔で足を開くとたらたらと溢れる声で隠し込んでいた言葉を紡ぎ出した。
「エルにナカ擦られるの好き。」
「エルにしゃせ、見てもらうの好き」
「エルに縛ってもらうのすき、」
「エルに舐められるのすき。」
「エルのちんこすき」
「他にも好きなとこ、いっぱいあるのに今まで黙ってて...っ、ごめんなさいっ」
ーーーこれだな。
私の"右腕"が塞ぎ込んでしまう要因は。
何がきっかけでトキアキが"好きなとこ"を言えなくなったのかは知らない。だが、代わりに沢山の言い方で伝えていたのを私達は知っている。
寒い方が好きだと言わない代わりに、夏は苦手だと言う。
窓枠が気に入らないと言わない代わりに、この小物の方が部屋に似合うと言う。
紅茶もそうだった。
これいい匂いがする、とトキがつぶやいた。
それだけでユディールも私もゼフも、紅茶の銘柄を変えた。
それほど些細な事なのだ。
本当に気にする必要など何も無い。
彼を身一つで来させてしまった私達は、トキアキの好きな物で埋め尽くしてやりたいのだ。
"好きなとこ"なんか言えなくとも私達はお前を愛している。
「もっと聞かせてくれ。そうすると皆が喜ぶ。」
腰を抱いて背中にも腕を回し、私の"右腕"を抱きしめる。
涙を流し続け、声を上げて泣く姿はどう見ても子供の様で。
何がこれをそうさせたのだろうな。
「練習あるのみだ、トキ。」
理解しているのだろう。賢い子だからな。
首をひとつ縦に振る姿も愛おしい。
だが、その首と手足には私が結んだ羊毛がある。
「皆には言えない練習方だが。やはりお前には合っていたな。」
頬を撫で顎と唇に触れ、開かれた唇に吸い込まれる様に口付ける。
「次は何処が良い、トキアキ。」
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