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番外編
番外編 空の王・陸の王1
しおりを挟む「彼は頭がいいですね。きちんと物事を捉えている話し方をされていました。」
「何が必要かを理解しているのだろう。」
「それにしても白紙の便箋を後生大事に仕舞っておけ、とは面白い事を思いつくものだ。いっそ側に着けたらどうだ。」
「貴方の圧と彼の柔らかさで懐柔できる者が増えるかも知れませんよ。」
「学ばせれば下手な部下より使えそうだ。」
ーーーーー
暇だからと学んでいた文字で、ようやく本を読めるようになった頃、見透かしたようなタイミングで何やら構成文書のような物を読んでくれと頼まれた。
「すみませんトキさん、再来週辺りに取りに伺いますので。その時に詳しく聞かせてください。」
学生に分かりやすく教える様、だそうだ。
「やってみるよ。」
綺麗な顔立ちにきらきらした雰囲気で手を振って去る彼は、ユディール君。秘書なのだそうだ。
先日の一件から何かと気に掛けてくれる。
こちらで出来た初めての友人、かもしれない。
嬉しい。
とは言え、少し安請け合いしてしまったかもしれない。
また辞書と睨み合いだ。
この感覚は覚えがある。
あれだ。
あー中学でハリーポッターを読んだんだ。日本語訳の。
当時は英語の成績も悪くなくて、ふと考えた。
日本語でこれだけ面白いなら原文ならどれだけリアルな空気感が味わえるだろうか、ってな。
そして高校の図書室で原文を見つけた。
開いて見て、わかる単語がいくつかあった。
借りて帰って早速読み解こうと思った。辞書を引いて。
すると、一気に面白くなくなった。
気合いは1ページにも満たず消失した。
理由は理解できた。
本を読む行為は楽しい。世界観を味わえるからだ。
同じ理由で辞書を眺めるのも好きだ。
言葉の情景が浮かぶからだ。
だから、自力で拙くても洋書も読めると思った。
だが。
解析という"作業"が俺は苦手らしかった。
いや、苦手ではない。
文書をSVOと区切る事は出来るし、読み解けた事に対する達成感は俺にもある。
つまるところ、洋書を翻訳する事と日本語版を読み解く事は別の行為に思えた。
それと同じ事が今、起きているらしい。
「俺はこういうの苦手なんだよな。」
本が読めるからって、六法全書が理解できるわけじゃない。
そうだろ?
「はぁ。」
それで、敢えてこの構成文書を持ってきたという事は何かそういう意図があるのかもしれない。
この前、あの秘書科の彼に出来心で思い付いた作戦を囁いたのがいけなかったのか。
いやでも。何だか周囲がやる気で例の困ったさんのお父様も快諾したと聞かされた。
俺も許されるなら、向こうで同じことをやって見たかったなぁ。
「とりあえず、やりますか。」
俺は少し黄色がかったノートに1枚目の文書を写し始めた。
そして、単語を区切っていく。
丸をつけたり線を伸ばしたりして、文書を解析。
甲とか乙とかに似た風な単語が出てきた。
一々小難しいヤツめ。
写したノートに甲の部分にYOU、乙にはMEと書いた。
良し。
他の書類も似た様なものだった。
流石にYOU&MEでは役に立たなくなったので、被害者、加害者にしてみたりもした。
仕舞いには自治体名まで出てくる始末だ。
なんだこの単語。訳があてはまらない。
ぶつくさ文句を垂れながら黙々と解く。
2枚目、3枚目を超えたあたりで翻訳なきでも読めるものが出てきた。
「これ、もしかして。」
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