【1章完結済】【R18】池に落ちたら、大統領補佐官に就任しました。

mimimi456/都古

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番外編

番外編 鉄が溶けるほどに1*

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「ディー」

「ディー」

「頼むよ。お願いだディー。」

「嗚呼、可愛い、可愛い、可愛い、可愛い」

外は風が冷たく、まだ春とは言えない中。
部屋は数日前から暖炉の火を絶やさずにいた。
暑すぎるんじゃ無いか、と告げた僕にこれで良いんだよと笑っていた。

その奇妙な笑顔に
些細な違和感に僕は気付くべきだったんだ。



「このランプすごく明るい。」

「太陽に当たるのと同じくらいの効果があるそうだよ。」

「ふーん。日光浴したいの?」

「そう。僕猫だから。」

そう言うもんか、と思ったんだ。
僕は人間だから、半分獣の彼が言うならそうなんだろうと思ったんだけど。
よく考えたら可笑しいじゃないか。
今までアイツが日光浴したい、なんて聞いた事ない。

いつも冬はつまらなそうに窓を眺めては、暖炉の前を陣取っている。

そして春、暖かくなり始めた頃。
マルロイは何時も発情期に苦しんでいる。
僕も気絶するまで行為を受け入れるのは大変だな、と思っていたけど。
僕に発情するアイツは真っ黒の猫耳が生えて、憎めない。

だが、人間の耳はどこへ行くんだろうか。
それにアイツのアレ。
猫の時のアレは不味い。
僕はアイツの発情期が少し苦手だ。



「ただいま、ユディール君。」

「おかえり。」

「あぁ、その顔。聞いたんだね?」

「聞いた。さっき。帰る時に知らされた。」

「そう。良かったよ。」

「良くないだろ、なんだよ、今日から1ヶ月"番休暇"って。」

「そのままの意味だよユディール君。」


カチャン、と玄関の鍵が掛かる音がした。
ジャラリ、と鎖の音がして玄関扉に巻き付いた所で。
カチャン、と今度は小さな南京錠の音がした。

カギは、無い。
ダイヤル式。

あぁ、魔力式だと開くかもしれないからね。

なんて思っていたら目の前の男が、変化した。

「僕ねユディール君。」

シュル、とネクタイを緩める音がした。

「ずっと後悔してたんだ。」

軍帽をラックに掛け、上着を脱ぐと真っ白のシャツが現れる。

「発情期の間、僕は僕じゃ無くなる。酷く抱くしか能のない雄に成り下がり、可愛い僕のディーを何時も傷付ける。僕はそんな自分を罰したくてしょうがなかった。」

「そ、れは、気にしなくて良いって話し合っただろ、!?」

「そうだねユディール君。"気にしなくて良い"って君は言う。でもね。君を傷付けない良い方法を見つけたんだ。」

するり、と腰を抱かれグッと掴まれる。

「これで君をママに出来る。」
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