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第二章:大統領補佐官
補佐官の男メシ
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この国に、カツ丼は無い。
この国に、親子丼はない。
鶏も豚もいるのに、なぜカツ丼と親子丼が無いのか。
だが俺は、強力なコネを使い遂に例の物を手に入れた。
それは、醤油。それと、和風だし。
俺は昆布と鰹節が来ると覚悟していたんだが、何故だか和風だしがこの国には存在している。
「変に便利だなっ。」
思わず笑ってしまう。
「さぁ、やりますか。」
ーーー
俺は「大統領補佐官の後任になります」とデルモントさんに着いて顔を売りまくる事、役半年。
「あと一口ですよ頑張ってください!ぁあ、眠っちゃダメですトキ様ぁっ、!」
俺は相変わらず、ナイフとフォークを握りグラグラと頭を揺らしながら夕飯を済ませた。
毎度毎度ズルズルになって帰ってくる俺に、メイドさんが励ましてくれるが。
遂に、ガンッとダイニングテーブルに強か額を打ち付け、眠りに着いた。
「デコ痛ぇ。」
これが半年も続いた頃、とうとうエルが動いた。
「トキ、お前は明日から三日間休みを取りなさい。」
「ぇ、いいの?」
「構わん。毎度ダイニングテーブルからお前を拾い上げるのは、見ていて辛い。」
「それは、ごめん。」
ごめんな、本当に反省してる。
でもダメなんだ。本当に、腹が満たされると次はとてつも無い眠気が襲ってきて、テーブルにデコを打ち付けている。
「そこの会議室が空いているの知っているだろ。」
「うん。何か先週から工事してる所だろ?」
「うむ。そこに今、簡単な厨房を作っている。」
「うっそ…!?」
「嘘じゃない。そこを休みの間見てきなさい。
何か要望があればいうと良い。それから、二日目には商業ギルドの者が来て食材の注文に来る。何でも揃えてくれるだろう。それと…」
淡々と話を進めていくエルに俺は待ったを掛けた。
「その厨房、俺が好きに使って良いって事?」
「そうだ。」
「それって、自費?」
「公費から出している。だがお前が使わなければ誰か人を雇っても良いかもしれん。」
「へぇ。ありがとうエル。」
「しっかり休養を取りなさい。」
ピシリ、と尻尾が揺れている。
照れてるなこれは。全く不器用なオジサンだ。
ーーーー
俺は翌日エルの言う通りぐっすり眠り、朝10時頃になって意気揚々と例の厨房へと向かった。
「ぉおー!」
扉にはまだ会議室のプレートが差してあったが、そこは確かに厨房になっていた。
銀色のふたくちコンロの前に、クリーム色の木目のカウンターが着いていて。
そこがそのままテーブルになって、脚の長い椅子が幾つか置いてある。成程出来たご飯がすぐに食べられるという仕組みか。
「あぁ、奥さんですね!お会い出来て光栄です。」
「え?あ、あぁ、エルムディンに頼まれて少し、様子見をさせてもらいますトキアキです。」
「えぇ、ご要望を可能な限りお伺いするように仰せ使っています。遠慮なく仰って下さい。」
気の良い彼は、カタログを片っ端から見せてくれた。
「カウンターの色はまた変えられます。椅子も今ある物を持ってきただけなので、何かご要望があれば此方から選んで下さい。」
「あぁ、ありがとう。」
俺の頬は引き攣ってなかっただろうか。
「これは、何というか。」
見てこいと言うから見にきたが、どうやら様子見と言うには大層な仕事を与えられている気がするぞ。
結局俺は昼過ぎまで彼と、その後食材の注文を取りに来たオジサンと三人で話し合いを重ねた。
壁の色、タイルの色、蛇口の形など細々したことをかなりの数こなしたが。
それだけの価値が有った。
必要な調理器具の中に、なんと箸まで用意してくれると言う。
更に、食材の方は驚くべきものが手に入った。
「それではまた明日、よろしくお願いします。」
俺はそう言って会議室を出た。
一応、エルにも挨拶をして、その日はそれで帰宅した。やる事があるんだ。
ーーー
「さて、やりますか。」
昼はとうにすぎたと言うのに、俺の家の料理長が嬉々として側に控えている。
「そんなに大層なものじゃ無いぞ?」
「いいえ、ぜひお手伝いさせて下さいトキ様。」
「まぁ、確かに。俺じゃここのコンロは使えないからな。良いよ。よろしくね。」
「光栄です。」
この国は魔法が使える。
俺には使えないけど、大体の人は魔力を持っていて、それを魔石に流して色んな器具を使っている。
例えば、電気みたいに。
この家のコンロも魔石が着いていて、ツマミを回しただけじゃ火は使えない。
こればかりは料理長頼りだ。
「まずは米だな。」
俺は米を研いで、水に30分放置する。
「取り敢えず玉ねぎ切ってくれるか。薄めにな。」
「お安い御用です。」
その間に俺は天下の宝刀と水をぶち込んで行く。
「トキ様、そのショーユはその様にたくさん入れるのですか?真っ黒になってしまいますが。」
「大丈夫だよ。旨いから。」
そんなに入れてないけどなぁ。
おたま半分ちょいくらいだぞ?
そんで、みりん、砂糖、酒を同じくらい。
いや、砂糖はちょっとだけ多めにしよう。
あと和風だしをその半分。
そういや、なんで酒があるんだ。
あぁ、米が有るなら米で酒も作れるか。
一体誰が作ったんだか。感謝だなぁ。
和風だしもな。
「玉ねぎ此処に入れて、ちょい強めで煮てて。」
「時間は有りますか?」
「玉ねぎが染まったらかなー。」
「承知しました。」
その間に鶏肉をひと口に切っていく。
ちょっと小さめの方が俺は好きだな。
あ、醤油ちょっとかけて揉んどこう。
あと生姜な。生姜も一緒に揉んどこう。
「トキ様、玉ねぎいかがですか?」
「ぉお、完璧。鶏肉も入れちゃおう。」
ドドド、とメインが入って行く。
あとは子を入れてやるだけだな。
「あっ!ネギ!ネギ入れるの忘れた!」
こう言うのよく有るよな。
全部出しとけば良いんだろうけどさ。
出すと邪魔じゃん。
アパートのキッチンって狭すぎるんだよなぁ。
まぁ、ここは狭くないから。
今度は初めに全部出してやれば良いか。
「あ!米!米も炊くんだったよ俺のバカー。」
ネギも無事にぶち込んで、米も無事に水を入れて炊き始める。大体米の1.3倍水を入れると何とかなる。昔、炊飯器がぶっ壊れてフライパンで米炊いた事があるんだが。
何でもやっとくモンだな。つい笑いが込み上げてしまう。
鶏肉が煮えたら、いよいよ離れ離れになった鶏の親子、感動のご対面だ。
「トキ様、これは?」
「親子丼だよ。良い名前だろ!」
「ほぉ。鶏肉が親で卵が子供ですな。」
「そう!他人丼って言うのもあるんだ。」
料理長は興味津津だ。
親子丼の卵はたっぷり5個。贅沢だなあ。
いくら三人分とはいえ、豪華だ。
テンションあがる。
「沸騰してるところに、3分の2入れて全体に行き渡らせる。そんで蓋して30秒待つ。」
俺と料理長はきっかり30秒数えて蓋を開けた。
「ぉおー!これだけで美味しそうですねぇ!」
「まだまだ、もうちょい待って!」
俺は残りの溶き卵を、フライパンに流し込んだ。
「これで半熟になったら、完成だ。」
残念だがこの国に丼は無いので、深めの皿で代用した。丼なのに無駄におしゃれな器に入っいてるが、中身は間違いなく親子丼だ。
「さぁ、召し上がれ。」
料理長がひと口ぱくりと口にした瞬間。
周りにピンクのお花が舞った様な気がした。
ふわぁああ、とほくほく顔でもぐもぐしている。
「どう?旨い?」
「これは、!旨い所の話ではありませんトキ様っ、!この甘味は一体何なのですか。それにこのショーユはあの様に黒い液体なのに、何故か香り高く品を感じさせています。これは、料理の幅が更に広がって行きます。更にこの生姜が…」
料理長があまりに熱く語るので、家中からお手伝いさんが集まってしまった。
実は皆、厨房から広がってくる醤油の匂いが、気になっていたらしい。
一つは俺の分。もう一つはエルの分だからあとは好きにしたら良いんじゃ無いかな。
「トキ様はあちらの国では料理人なのですか?」
「いや?ただの会社員だよ。」
「では、この料理の腕前は?」
「趣味だな。ストレス発散になるからさ。」
ガチン、と何か凍り付いた様な気配がした。
「ど、うかした?」
「いえ、トキ様は何事にも熱心な方であると、皆一様に関心しているのです。我々も更に精進しなければなりませんな。」
ーーーー
エルもその夜帰ってきて、大袈裟な程褒めてくれた。俺もそれに晩酌しながら付き合った。
かっこいいイケオジはシチュー用の皿で親子丼を頬張っても、かっこよかった。
ビールが美味いせいで少し酔ってるのかも知れない。
俺はふと、ばあちゃんを思い出した。
ばあちゃんが昔言ってた。じいちゃんのどこが好きなのか聞いたら“顔”って言い切ったんだ。
『好きな顔の男と結婚したから、喧嘩も我儘もある程度は我慢出来たのよ。しかもその子供も孫も、あたしの好きな顔で生まれてくるんだから。ハーレムだよばあちゃん。』
ばあちゃんは、ルンルンで凄い楽しそうだった。
俺の顔を見てはイケメンだと言ってくれたから、ばあちゃんは本当に好きな顔の男と結婚して良かったんだと思う。
ーーー俺も、エルの顔好きだなぁ。
「聞こえているぞ、トキ。」
「へ?」
「心が可愛いくちから漏れているぞ…トキアキ」
「うへぇっ!?違うこれは酒のせいだっ、!今日のビールはなんだか美味いなぁあっ。」
「ふ、そう言う事にしておこう。」
残念ながら、そう言うことにはならなかった。
しっかりベットで全部白状させられてしまった。
それはズルくないか。
でも良いか。
あれ。確かに、俺もイケメン好きかも。
まさかこれは遺伝だったのか。
ーーーー
翌日、俺はまだ休みを満喫していた。
ゆっくり寝て、愛されて心身ともに健康だ。
若干腰が痛いんだが、それは言うまいよ。
新しい厨房を見に行った。
そこには昨日頼んだものが既に搬入されて、工事もすっかり終え見違える様になっていた。
「どうですか奥さん、良い雰囲気になりましたねぇ。」
「えぇ、かなり。これなら楽しめそうです。」
「では、厨房の説明を致しますのでこちらへ。」
本当にいい雰囲気の厨房が出来た。
言うなれば“日差しの似合うカフェ”だ。
タイルは極々薄い水色にして、背面の壁収納は全部見えるようにした。扉の開け閉めが一々面倒だろ。
その代わりコンロ下はしっかり、鍋も入る大容量だ。職場にこんないい物を作ってもらって良いのかなぁ、俺。
「あと、コンロは魔力操作無しでも使えるガス仕様です。切り替えるにはこのツマミをこちらへ切り替えて使用してください。以上ですが、何か気になる点はございますか?」
「あの、あれは何でしょうか。」
そう。実は入ってきた時から気になっていたんだが、敢えて触れなかった。しかし、彼はそれを“ご注文のミニーバーセットです”と言った。
おかしいだろ。
俺は頼んでない。
となると犯人は一人しかいない。
「ご主人がご注文なさっておいでですよ。ボトル用のラックとグラスとクーラーとタンブラーと…」
「あぁ、わかりました。それの使い方の説明もお願いします。」
そうでしょうとも。
大統領はこの俺の城で、酒盛りをする気だぞ。
「では、私はこれで。良い仕事をさせて頂きました。」
「こちらこそ、この短期間でよくこれだけの仕事を納めて頂いて。ご苦労様でした。」
これで、厨房の工事は全てが終了した。
それから少しして、食材も納入が終了した。
これで、此処は完全に俺の城だ。
ふふ、と何だか嬉しくて笑いが込み上げてくる。
するとドアをノックする音が聞こえて、返事をすると、現れたのは大統領だった。
「どうだ、使えそうか?」
「うん、まだ今からだけどね。使い方は分かった。」
「アレも使えるか?」
そう言って視線で促した先にあったのは、件のミニバーセット。
「良いのかよ、あんなもの頼んで。」
「私を誰だと思っている?」
「ふっ、ふはは。それはズルいだろ。」
なにせこの男はこの国のトップなのだから。
「それで、今日は何を見せてくれるんだ。」
「エルは昨日食べただろ?」
「今度は出来立てを頂きたい。それにお前が台所に立つ姿も、この目に焼き付けていたい。」
そんな甘い空気で言われても。
俺は今日、親子丼以外は何も出せないぞ。
いやでも、この金色の瞳がじっと俺を愛してやまないと言うような目で見てくるんだ。
だから。
しょうがなく、俺は。
茶碗蒸しを作ることにした。
「お前は素直だなトキ。それと私に甘い。」
「誰のせいだよっ、」
「ふむ。私か?」
「そうだよ、!」
コンコン、と再びドアがノックされる。
「これは大統領。僕、お邪魔でしたかね?」
「ユディールっ!」
「やぁ、何だか久しぶりな気がするねトキ君。」
秘書課で一緒だったユディールは、今も秘書を続けている。もしかすると、俺が補佐官になったらユディールが俺の秘書になるかもしれない。
「さすが、情報通だなぁユディール。此処のことまだ誰にも話してない筈何だけどなぁ。」
「僕も知らなかったけど、此処に君が出入りしてるって聞いたから。ひょっとしたらと思ってね。で、何をするの?カフェでも始めるとか?」
「残念だけど、ただの飯屋だよ。」
「シェフは?」
「俺だな。」
「ぇえっ!?」
俺はせっかくだからと、ユディールにも席を勧めた。一応多めに仕入れてるし、俺は今日は暇人なので。可能な限りの親子丼を提供しよう。
「はい、お待たせ。」
俺は昨日より遥かに、要領良く親子丼を出してみせた。
ちゃんと丼も箸も用意してもらっていた物が、役に立っている。
しかも、俺がこっそり作ろうと思っていた茶碗蒸しまで、人前に出すことになってしまった。
蒸し器ってなんであんなに嵩張るんだろうな。
「エルにはこれも。茶碗蒸しって言うんだ。物凄く熱いから気を付けて食えよな。腕は熱いから触るなよ。」
「お前は心配性だな、トキ。」
「愛されてますね、大統領。」
「お前は相変わらず、よく喋るな。今度トキに何かしたらマルロイの奴に言い付けてやるぞ。」
「わぁー怖ぁぃ。」
三人で妙な話をしながら、親子丼を食べた。
するとなにやら廊下の方で人の声がする。
「トキ私だ。邪魔してもいいか。」
「デルモントさん!?」
「お前ら、此処のことは周囲に話したのか?皆が美味そうな匂いのせいで腹が減ったと騒いでいる。どうするつもりだ。」
「それは勿論、歓迎しますよ。俺のしがない飯ですが良かったら食べていってください。」
それから噂が噂を読んで、なんと俺は親子丼を作りまくった。
それが翌日も続き、流石に親子丼だけじゃダメな気がして、無難にきゅうりのたたきを漬けて持っていった。
お通しだな。
あとお吸い物も寸胴にたっぷり作っておいた。
すると今度は変な噂が立った。
噂というか、うれしい悲鳴というか。
大統領室の側に、一風変わった会議室があると言う。
そこは気まぐれに開いて、一風変わった美味い飯を出すという。あまりに不定期のため何時やっているのかは不明だが。
何でもその会議室で行われた会議は万事が上手くいき、そこの飯を食えば幸運に恵まれると言う。
「確かに。会議室で飯を作ってるのは俺だし、この間来てた北の国の視察団には気に入られたりしたけど。俺に幸運を配る力は無ぇよ?」
「あるさ。」
エルは当たり前だという風に答えた。
「美味い飯は、腹と心も満たす。それだけで幸運だろう。」
「そうだな。」
「なぁトキ、今夜はトンカツにしないか?」
「え、嫌だ。めんどくさい。」
この国に、親子丼はない。
鶏も豚もいるのに、なぜカツ丼と親子丼が無いのか。
だが俺は、強力なコネを使い遂に例の物を手に入れた。
それは、醤油。それと、和風だし。
俺は昆布と鰹節が来ると覚悟していたんだが、何故だか和風だしがこの国には存在している。
「変に便利だなっ。」
思わず笑ってしまう。
「さぁ、やりますか。」
ーーー
俺は「大統領補佐官の後任になります」とデルモントさんに着いて顔を売りまくる事、役半年。
「あと一口ですよ頑張ってください!ぁあ、眠っちゃダメですトキ様ぁっ、!」
俺は相変わらず、ナイフとフォークを握りグラグラと頭を揺らしながら夕飯を済ませた。
毎度毎度ズルズルになって帰ってくる俺に、メイドさんが励ましてくれるが。
遂に、ガンッとダイニングテーブルに強か額を打ち付け、眠りに着いた。
「デコ痛ぇ。」
これが半年も続いた頃、とうとうエルが動いた。
「トキ、お前は明日から三日間休みを取りなさい。」
「ぇ、いいの?」
「構わん。毎度ダイニングテーブルからお前を拾い上げるのは、見ていて辛い。」
「それは、ごめん。」
ごめんな、本当に反省してる。
でもダメなんだ。本当に、腹が満たされると次はとてつも無い眠気が襲ってきて、テーブルにデコを打ち付けている。
「そこの会議室が空いているの知っているだろ。」
「うん。何か先週から工事してる所だろ?」
「うむ。そこに今、簡単な厨房を作っている。」
「うっそ…!?」
「嘘じゃない。そこを休みの間見てきなさい。
何か要望があればいうと良い。それから、二日目には商業ギルドの者が来て食材の注文に来る。何でも揃えてくれるだろう。それと…」
淡々と話を進めていくエルに俺は待ったを掛けた。
「その厨房、俺が好きに使って良いって事?」
「そうだ。」
「それって、自費?」
「公費から出している。だがお前が使わなければ誰か人を雇っても良いかもしれん。」
「へぇ。ありがとうエル。」
「しっかり休養を取りなさい。」
ピシリ、と尻尾が揺れている。
照れてるなこれは。全く不器用なオジサンだ。
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俺は翌日エルの言う通りぐっすり眠り、朝10時頃になって意気揚々と例の厨房へと向かった。
「ぉおー!」
扉にはまだ会議室のプレートが差してあったが、そこは確かに厨房になっていた。
銀色のふたくちコンロの前に、クリーム色の木目のカウンターが着いていて。
そこがそのままテーブルになって、脚の長い椅子が幾つか置いてある。成程出来たご飯がすぐに食べられるという仕組みか。
「あぁ、奥さんですね!お会い出来て光栄です。」
「え?あ、あぁ、エルムディンに頼まれて少し、様子見をさせてもらいますトキアキです。」
「えぇ、ご要望を可能な限りお伺いするように仰せ使っています。遠慮なく仰って下さい。」
気の良い彼は、カタログを片っ端から見せてくれた。
「カウンターの色はまた変えられます。椅子も今ある物を持ってきただけなので、何かご要望があれば此方から選んで下さい。」
「あぁ、ありがとう。」
俺の頬は引き攣ってなかっただろうか。
「これは、何というか。」
見てこいと言うから見にきたが、どうやら様子見と言うには大層な仕事を与えられている気がするぞ。
結局俺は昼過ぎまで彼と、その後食材の注文を取りに来たオジサンと三人で話し合いを重ねた。
壁の色、タイルの色、蛇口の形など細々したことをかなりの数こなしたが。
それだけの価値が有った。
必要な調理器具の中に、なんと箸まで用意してくれると言う。
更に、食材の方は驚くべきものが手に入った。
「それではまた明日、よろしくお願いします。」
俺はそう言って会議室を出た。
一応、エルにも挨拶をして、その日はそれで帰宅した。やる事があるんだ。
ーーー
「さて、やりますか。」
昼はとうにすぎたと言うのに、俺の家の料理長が嬉々として側に控えている。
「そんなに大層なものじゃ無いぞ?」
「いいえ、ぜひお手伝いさせて下さいトキ様。」
「まぁ、確かに。俺じゃここのコンロは使えないからな。良いよ。よろしくね。」
「光栄です。」
この国は魔法が使える。
俺には使えないけど、大体の人は魔力を持っていて、それを魔石に流して色んな器具を使っている。
例えば、電気みたいに。
この家のコンロも魔石が着いていて、ツマミを回しただけじゃ火は使えない。
こればかりは料理長頼りだ。
「まずは米だな。」
俺は米を研いで、水に30分放置する。
「取り敢えず玉ねぎ切ってくれるか。薄めにな。」
「お安い御用です。」
その間に俺は天下の宝刀と水をぶち込んで行く。
「トキ様、そのショーユはその様にたくさん入れるのですか?真っ黒になってしまいますが。」
「大丈夫だよ。旨いから。」
そんなに入れてないけどなぁ。
おたま半分ちょいくらいだぞ?
そんで、みりん、砂糖、酒を同じくらい。
いや、砂糖はちょっとだけ多めにしよう。
あと和風だしをその半分。
そういや、なんで酒があるんだ。
あぁ、米が有るなら米で酒も作れるか。
一体誰が作ったんだか。感謝だなぁ。
和風だしもな。
「玉ねぎ此処に入れて、ちょい強めで煮てて。」
「時間は有りますか?」
「玉ねぎが染まったらかなー。」
「承知しました。」
その間に鶏肉をひと口に切っていく。
ちょっと小さめの方が俺は好きだな。
あ、醤油ちょっとかけて揉んどこう。
あと生姜な。生姜も一緒に揉んどこう。
「トキ様、玉ねぎいかがですか?」
「ぉお、完璧。鶏肉も入れちゃおう。」
ドドド、とメインが入って行く。
あとは子を入れてやるだけだな。
「あっ!ネギ!ネギ入れるの忘れた!」
こう言うのよく有るよな。
全部出しとけば良いんだろうけどさ。
出すと邪魔じゃん。
アパートのキッチンって狭すぎるんだよなぁ。
まぁ、ここは狭くないから。
今度は初めに全部出してやれば良いか。
「あ!米!米も炊くんだったよ俺のバカー。」
ネギも無事にぶち込んで、米も無事に水を入れて炊き始める。大体米の1.3倍水を入れると何とかなる。昔、炊飯器がぶっ壊れてフライパンで米炊いた事があるんだが。
何でもやっとくモンだな。つい笑いが込み上げてしまう。
鶏肉が煮えたら、いよいよ離れ離れになった鶏の親子、感動のご対面だ。
「トキ様、これは?」
「親子丼だよ。良い名前だろ!」
「ほぉ。鶏肉が親で卵が子供ですな。」
「そう!他人丼って言うのもあるんだ。」
料理長は興味津津だ。
親子丼の卵はたっぷり5個。贅沢だなあ。
いくら三人分とはいえ、豪華だ。
テンションあがる。
「沸騰してるところに、3分の2入れて全体に行き渡らせる。そんで蓋して30秒待つ。」
俺と料理長はきっかり30秒数えて蓋を開けた。
「ぉおー!これだけで美味しそうですねぇ!」
「まだまだ、もうちょい待って!」
俺は残りの溶き卵を、フライパンに流し込んだ。
「これで半熟になったら、完成だ。」
残念だがこの国に丼は無いので、深めの皿で代用した。丼なのに無駄におしゃれな器に入っいてるが、中身は間違いなく親子丼だ。
「さぁ、召し上がれ。」
料理長がひと口ぱくりと口にした瞬間。
周りにピンクのお花が舞った様な気がした。
ふわぁああ、とほくほく顔でもぐもぐしている。
「どう?旨い?」
「これは、!旨い所の話ではありませんトキ様っ、!この甘味は一体何なのですか。それにこのショーユはあの様に黒い液体なのに、何故か香り高く品を感じさせています。これは、料理の幅が更に広がって行きます。更にこの生姜が…」
料理長があまりに熱く語るので、家中からお手伝いさんが集まってしまった。
実は皆、厨房から広がってくる醤油の匂いが、気になっていたらしい。
一つは俺の分。もう一つはエルの分だからあとは好きにしたら良いんじゃ無いかな。
「トキ様はあちらの国では料理人なのですか?」
「いや?ただの会社員だよ。」
「では、この料理の腕前は?」
「趣味だな。ストレス発散になるからさ。」
ガチン、と何か凍り付いた様な気配がした。
「ど、うかした?」
「いえ、トキ様は何事にも熱心な方であると、皆一様に関心しているのです。我々も更に精進しなければなりませんな。」
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エルもその夜帰ってきて、大袈裟な程褒めてくれた。俺もそれに晩酌しながら付き合った。
かっこいいイケオジはシチュー用の皿で親子丼を頬張っても、かっこよかった。
ビールが美味いせいで少し酔ってるのかも知れない。
俺はふと、ばあちゃんを思い出した。
ばあちゃんが昔言ってた。じいちゃんのどこが好きなのか聞いたら“顔”って言い切ったんだ。
『好きな顔の男と結婚したから、喧嘩も我儘もある程度は我慢出来たのよ。しかもその子供も孫も、あたしの好きな顔で生まれてくるんだから。ハーレムだよばあちゃん。』
ばあちゃんは、ルンルンで凄い楽しそうだった。
俺の顔を見てはイケメンだと言ってくれたから、ばあちゃんは本当に好きな顔の男と結婚して良かったんだと思う。
ーーー俺も、エルの顔好きだなぁ。
「聞こえているぞ、トキ。」
「へ?」
「心が可愛いくちから漏れているぞ…トキアキ」
「うへぇっ!?違うこれは酒のせいだっ、!今日のビールはなんだか美味いなぁあっ。」
「ふ、そう言う事にしておこう。」
残念ながら、そう言うことにはならなかった。
しっかりベットで全部白状させられてしまった。
それはズルくないか。
でも良いか。
あれ。確かに、俺もイケメン好きかも。
まさかこれは遺伝だったのか。
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翌日、俺はまだ休みを満喫していた。
ゆっくり寝て、愛されて心身ともに健康だ。
若干腰が痛いんだが、それは言うまいよ。
新しい厨房を見に行った。
そこには昨日頼んだものが既に搬入されて、工事もすっかり終え見違える様になっていた。
「どうですか奥さん、良い雰囲気になりましたねぇ。」
「えぇ、かなり。これなら楽しめそうです。」
「では、厨房の説明を致しますのでこちらへ。」
本当にいい雰囲気の厨房が出来た。
言うなれば“日差しの似合うカフェ”だ。
タイルは極々薄い水色にして、背面の壁収納は全部見えるようにした。扉の開け閉めが一々面倒だろ。
その代わりコンロ下はしっかり、鍋も入る大容量だ。職場にこんないい物を作ってもらって良いのかなぁ、俺。
「あと、コンロは魔力操作無しでも使えるガス仕様です。切り替えるにはこのツマミをこちらへ切り替えて使用してください。以上ですが、何か気になる点はございますか?」
「あの、あれは何でしょうか。」
そう。実は入ってきた時から気になっていたんだが、敢えて触れなかった。しかし、彼はそれを“ご注文のミニーバーセットです”と言った。
おかしいだろ。
俺は頼んでない。
となると犯人は一人しかいない。
「ご主人がご注文なさっておいでですよ。ボトル用のラックとグラスとクーラーとタンブラーと…」
「あぁ、わかりました。それの使い方の説明もお願いします。」
そうでしょうとも。
大統領はこの俺の城で、酒盛りをする気だぞ。
「では、私はこれで。良い仕事をさせて頂きました。」
「こちらこそ、この短期間でよくこれだけの仕事を納めて頂いて。ご苦労様でした。」
これで、厨房の工事は全てが終了した。
それから少しして、食材も納入が終了した。
これで、此処は完全に俺の城だ。
ふふ、と何だか嬉しくて笑いが込み上げてくる。
するとドアをノックする音が聞こえて、返事をすると、現れたのは大統領だった。
「どうだ、使えそうか?」
「うん、まだ今からだけどね。使い方は分かった。」
「アレも使えるか?」
そう言って視線で促した先にあったのは、件のミニバーセット。
「良いのかよ、あんなもの頼んで。」
「私を誰だと思っている?」
「ふっ、ふはは。それはズルいだろ。」
なにせこの男はこの国のトップなのだから。
「それで、今日は何を見せてくれるんだ。」
「エルは昨日食べただろ?」
「今度は出来立てを頂きたい。それにお前が台所に立つ姿も、この目に焼き付けていたい。」
そんな甘い空気で言われても。
俺は今日、親子丼以外は何も出せないぞ。
いやでも、この金色の瞳がじっと俺を愛してやまないと言うような目で見てくるんだ。
だから。
しょうがなく、俺は。
茶碗蒸しを作ることにした。
「お前は素直だなトキ。それと私に甘い。」
「誰のせいだよっ、」
「ふむ。私か?」
「そうだよ、!」
コンコン、と再びドアがノックされる。
「これは大統領。僕、お邪魔でしたかね?」
「ユディールっ!」
「やぁ、何だか久しぶりな気がするねトキ君。」
秘書課で一緒だったユディールは、今も秘書を続けている。もしかすると、俺が補佐官になったらユディールが俺の秘書になるかもしれない。
「さすが、情報通だなぁユディール。此処のことまだ誰にも話してない筈何だけどなぁ。」
「僕も知らなかったけど、此処に君が出入りしてるって聞いたから。ひょっとしたらと思ってね。で、何をするの?カフェでも始めるとか?」
「残念だけど、ただの飯屋だよ。」
「シェフは?」
「俺だな。」
「ぇえっ!?」
俺はせっかくだからと、ユディールにも席を勧めた。一応多めに仕入れてるし、俺は今日は暇人なので。可能な限りの親子丼を提供しよう。
「はい、お待たせ。」
俺は昨日より遥かに、要領良く親子丼を出してみせた。
ちゃんと丼も箸も用意してもらっていた物が、役に立っている。
しかも、俺がこっそり作ろうと思っていた茶碗蒸しまで、人前に出すことになってしまった。
蒸し器ってなんであんなに嵩張るんだろうな。
「エルにはこれも。茶碗蒸しって言うんだ。物凄く熱いから気を付けて食えよな。腕は熱いから触るなよ。」
「お前は心配性だな、トキ。」
「愛されてますね、大統領。」
「お前は相変わらず、よく喋るな。今度トキに何かしたらマルロイの奴に言い付けてやるぞ。」
「わぁー怖ぁぃ。」
三人で妙な話をしながら、親子丼を食べた。
するとなにやら廊下の方で人の声がする。
「トキ私だ。邪魔してもいいか。」
「デルモントさん!?」
「お前ら、此処のことは周囲に話したのか?皆が美味そうな匂いのせいで腹が減ったと騒いでいる。どうするつもりだ。」
「それは勿論、歓迎しますよ。俺のしがない飯ですが良かったら食べていってください。」
それから噂が噂を読んで、なんと俺は親子丼を作りまくった。
それが翌日も続き、流石に親子丼だけじゃダメな気がして、無難にきゅうりのたたきを漬けて持っていった。
お通しだな。
あとお吸い物も寸胴にたっぷり作っておいた。
すると今度は変な噂が立った。
噂というか、うれしい悲鳴というか。
大統領室の側に、一風変わった会議室があると言う。
そこは気まぐれに開いて、一風変わった美味い飯を出すという。あまりに不定期のため何時やっているのかは不明だが。
何でもその会議室で行われた会議は万事が上手くいき、そこの飯を食えば幸運に恵まれると言う。
「確かに。会議室で飯を作ってるのは俺だし、この間来てた北の国の視察団には気に入られたりしたけど。俺に幸運を配る力は無ぇよ?」
「あるさ。」
エルは当たり前だという風に答えた。
「美味い飯は、腹と心も満たす。それだけで幸運だろう。」
「そうだな。」
「なぁトキ、今夜はトンカツにしないか?」
「え、嫌だ。めんどくさい。」
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