【1章完結済】【R18】池に落ちたら、大統領補佐官に就任しました。

mimimi456/都古

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第一章:キハラ トキアキ

第九話

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勿論、家に帰ると俺には旦那様がいる訳で。
その旦那様が、ご存知の通り昼間あり得ない人事を持ちかけてきた大統領である。

しかし、家で大統領と呼ぶのは禁止だ。
仕事の話も、報・連・相も出来るだけ避けることにしてる。

けど、愚痴は別だ。それ位は良いだろ?

今日は流石に早めに帰って来てくれた。
まだ9時だ。
きっと昼間の大喧嘩を見た皆が気を利かせてくれたに違いない。

一緒に夕飯を摂って、一緒に風呂に入った。
それがダメだった。

「ん、ふ…っ、あ。ああ。」

頭から降ってくるシャワーと、胸にピッタリくっ付いたエルの体温が熱くて俺はすぐに夢中になった。

番のせいなのか。
エルとのキスは凄く気持ちが良い。
金色の瞳が俺を欲しそうに見つめるだけで、俺の腹はズクンと疼いてしまう。

ぬるりと尻が濡れるのもここでは普通のことだった。こっちへ来て数ヶ月具合が悪かったのはこのせいらしい。

身体が作り変わっていたのだそうだ。

エルの指が滑りを帯びて、ぬっと入ってくる。
指は更にぬぷぬぷと動いて俺は目の前のエルの胸に縋りついた。

おじさんのくせに逞しい筋肉で覆われた体は、俺の身体をしっかりと支えて愛撫を与えていく。

「こんなに前を腫らして。辛いかトキ。」

「あ、や…やぁ、あ。」

尻から抜かれた指が俺の前の熱を握る。
さっきまで尻を愛していたとは思えないほど、いやらしく的確に俺の弱い所を擦る。

「だめ、だめだ…でちゃう」

ダメといやを繰り返す俺を、エルが許してくれるわけがない。俺の番は、ねちっこいのだ。

「出していい。」

そう言うや否や、エルは巻き付ける指をきつく締めて。俺の胸にしゃぶりついた。

「あぁ…える、える、だめっ、!」


トクトク、と吐いた白濁をエルが嬉しそうに見つめて言う。

「よくできた。」

「ふぅ、んく…んんぅ。」

俺も何でか褒められたのが嬉しくなって、つい首に腕を回してキスを強請る。もっと、もっと。この情欲が尽きるまでエルが欲しい。

「トキアキ。」

「んぅ?」

「此処ではお前を愛してやれない。」

「なんで?いやだ。」

泣きそうなほど悲しくなって、涙を浮かべて聞く俺にエルが瞼へあやす様にキスをしてくれた。
ベットへ行くぞと、囁いて。もう一度。
今度は頬へ遊びの様なキスをしてくれた。

「行くか?」

俺は頷いた。バスタオルで全身を包まれて、あっと言う間も無くだきあげられた。

邸の中をまさかバスタオル1枚で、移動するなんて。自分の家ならまだ分かるが、此処は謂わば社宅だぞ。

「エル…っ」

「お前はよく恥じらうな。」

俺だって、前の家ならパンイチで歩いてたさ!

「そのくせ、良く私を求める。」

「んなっ、!?」

「知っているかトキアキ。ライオンというのは雌の発情に合わせて行為を行うのだ。お前は可愛いなトキアキ。」

エルはこちらを見向きもせずに、部屋へと向かう。ガチャリと俺を抱くのと反対の手でドアを開けた。

ーーーいま、なんて言った?
というか、俺は片腕で抱き上げられてるのか!?


「発情期が無いというのは、いつでも発情できるということだが。最近では年に数回という奴もいるらしい。それに比べて、私の番は可愛いな。」

漸く辿り着いたベットに俺を下ろしながら、エルが言う。

「その魂だけでなく、こうして身体でも私を想っているなトキアキ。」

はらり、と肩からバスタオルが落とされた。
その中にはさっきの愛撫で完全に蕩けきった俺の身体がある。

エルは無遠慮に俺の足の間に手を突っ込んだ。
流れる様にゆるりと勃ったそれを撫で、尻を揉み、疼く部分へ浅くたしかめるように、指を差し入れた。

「ぁあ…エル。」

俺はまだ全然足りてなかった。
エルの指をたった1本受け入れただけじゃ、満たされなかった。

もっと。
もっと身体中いっぱいにエルがほしい。

「もっと、か?」

俺は一生懸命頷いて、腰をくねらせた。
もっと奥へ、もっと大きいものを強請って。

「んぁあっ」

ぐずぐずに溶けきった俺の体に指を増やして、気持ちいい快感を送り込んでくる。
ぐちゅぐちゅといやらしい音を立てて。
俺の身体は、エルを受け入れるために柔らかく広げられていく。

俺は喜んで受け入れていた。
いやらしい音と、いやらしい嬌声と、番に愛される快感で頭がいっぱいになる。

でも、エルの指でも届かないその奥が。
熱いものを欲しがって、堪らなくなる。

「える、える…もう良い、」

一度覚えた‘’奥で感じる心地良さ‘’は、簡単には忘れられない。

ふとした時でも思い出してしまう程に。

「来て良い…よ、エル」

そう、吐息を含んだ悦の声を、国のトップまで昇り詰めた男の鼓膜に吹き込んだ。

ーーーあんたは俺の我儘を聞いてくれるだろ?

「あぁ。」


おじいちゃんが言っていた。
番は目を見るだけで会話が出来る、と。
俺をファーストレディーなんて言った日にそう聞いた。

それはホントなのかもな。
口に出さなくても、エルは俺の願いを聞いてくれた。

「くぅうん...っ、!は、ぁはぁ。」

息が止まりそうな程の熱が俺のナカを埋めると、
ぐぅ、と角度を付けて押し上げていく。
凄く気持ちが良い所なんだ。
きっと、わざとそこを押してるんだ。

けど、押されたままだと辛い。
出来るなら突いてほしい。

もっと突いて、気持ちよくしてくれ。

俺の男は大統領だけど、今だけはただの男。
俺がどれだけ我儘を言っても叶えてくれる。

ーーー好きだよ、エル。

心からそう思う。

明日からはまた、職場でケンカするんだろうな。
でも愛してるから。
今だけは、自分から口をはくっと開けてキスを強請る。

これで、明日も頑張れるんだから。
良いよな?
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