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第一章:キハラ トキアキ
第一話
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その昔、人の姿で獣の特徴を持った神がいた。
彼の神は自分を産んだ父と母を知らずに育った。彼は自分が他と違うことを知らなかった。しかし他の神々は彼を相容れない存在であると認識した。
彼は、いつもひとり。
悠久の時を幾度も超えた後。孤独に飢えた神は、自分が神であることを思い出した。
いっそこの身を引き裂いてやれば、人であるはずの自分と、獣である自分は互いに傷を癒やし、愛し合える事に思い至った。
彼は痛みに耐えながら、右腕をナイフで裂いた。流れ出る赤い血が砂浜に一滴、ぽたりと落ちてあっという間に吸い込まれていった。
次いで裂いた左腕の血は、側を過ぎた小鳥の羽を濡らし果のない彼方まで飛んでいった。
だが遠く彼方へ離れていようとも。
元より一つの魂は互いを探し求める。
いずれ巡り合うその時までに追った傷を癒やし、愛を語り合う。
孤独な時と飢餓、同時に祝福である。
彼の神は自分を産んだ父と母を知らずに育った。彼は自分が他と違うことを知らなかった。しかし他の神々は彼を相容れない存在であると認識した。
彼は、いつもひとり。
悠久の時を幾度も超えた後。孤独に飢えた神は、自分が神であることを思い出した。
いっそこの身を引き裂いてやれば、人であるはずの自分と、獣である自分は互いに傷を癒やし、愛し合える事に思い至った。
彼は痛みに耐えながら、右腕をナイフで裂いた。流れ出る赤い血が砂浜に一滴、ぽたりと落ちてあっという間に吸い込まれていった。
次いで裂いた左腕の血は、側を過ぎた小鳥の羽を濡らし果のない彼方まで飛んでいった。
だが遠く彼方へ離れていようとも。
元より一つの魂は互いを探し求める。
いずれ巡り合うその時までに追った傷を癒やし、愛を語り合う。
孤独な時と飢餓、同時に祝福である。
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