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17 距離
しおりを挟む距離を取りなさいと友は言う
それなのに私はあっという間に線を飛び越えてしまう。
一生懸命で不器用で幾つになっても周囲の人間は皆、優しい人達だと思ってるバカな私。
こうして泣く度に心優しい友が
だから言ったじゃ無いかって肩をぶつけてくる。
人間は気に入った人間にしか優しくしない生き物だし、そもそも"気に入った"の定義があんたとは違うんだよと慰めてくれる。
それでも、優しい部分を見てしまったら。
だって、他人に優しくするのって凄いことだよ。
そう言って鼻をかむ。
あんたはすぐにそうやって誰かを気に入っては泣くんじゃないか。
優し過ぎるんだよ。
人間はもっと自分勝手だ。
あんたはそうじゃないだろうけど、
摘んだ薔薇を笑って渡すのは仕事でも、棘を取るかどうかは贈り手の自由なんだよ。
あんたはきちんと棘を全部隅々まで取り払ってしまうんだろうけどね。
じゃあ私の友はなんで私に優しいの。
「あんたがくれる薔薇が好きだからだよ。」
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