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第六話 再会
しおりを挟む「あらあら、桃李。どうしたのお座りなさいな。」
ハッと顔をあげると、祖父と二人だった筈の部屋に祖母がお盆を持って入ってきた。
お盆の上には、桃がひとつ載っていた。
果物ナイフと、取り皿とフォークの形をした楊枝たち。
「桃李、桃食べる?」
祖母が優しく問いかける。
桃李は腰を降ろした。
祖母が言うなら、座る。
「いる。桃好きだ。」
「桃はね桃李。うちの神社に所縁があるんだよ。」
「ふーん。」
祖母がまた優しく話始めた。
それは、いつか幼い頃に祖父が聞かせてくれた
"昔話"と同じだった。
「むかしむかし。」
ひとや獣や魚や植物をとても愛した神様がいました。
御名前は天帝様と言います。
天帝は暫く、地上で人々の暮らしを眺め、
見ていてくれました。
人間をお創りになり、慈しみお育てくださっていた神々と全ての命の長であり、父であり母でありました。
天帝はある時、天上へ戻らなければなりませんでした。
それで、代わりに私たちを護るモノたちをおいていかれました。
東西南北あらゆる地と、
あらゆる生き物を守る、四匹の龍でした。
「それ知ってる。」
「あら、話したかしら?」
「ばーちゃんじゃなくて、じーちゃんが話してくれた。俺がまだ小っさい時に。超スゲー桃のお姫様が出てくる話だ。」
ズズと、お茶をすする祖父。
「覚えておったか。賢いのぉ。」
一応褒められた桃李だが、ふんと顔を背け祖母に訊ねた。
「お姫様が桃になって、龍たちに力をあげるって話だろ。
…もしかして、その桃がうちの神社に植えてあるとか?スゲーじゃん!」
「植えてはあるが、あれではない。」
祖父が口を挟んできた。
「じゃあうちの神社が桃のお姫様話、発祥の地とか!」
「そうね。それに近いわねぇ。」
今度は祖母だ。
「違うよ、桃李がそのお姫様だよ」
ーーーん、誰だ。
「え、あ?」
今の声、誰だ。
誰だと言うか、聞き覚えがある。
最近、さっき、どっかすぐそこで。
「あら、仁嶺様。」
「すまないね嫗、我慢が効かなくて出てきてしまった。」
「は、? はぁあああーーー?!」
襖を開けて現れたそいつは、
昨日のキスが上手い男だった。
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