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ダンジョンマスター 聖龍
回想 動き出した夢
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ダルゴニアの門は、異世界の料理屋と繋がっていた。
ニャティリを通して見えた風景。そして、ニャティリが料理屋で口にしたラーメンという食べ物。全てが新鮮で、見たことのないものばかりだった。
視覚だけの共有ではあったが、終始圧巻されてしまった。
この時点で我は異世界を見るという夢が叶って、すでに満足していた。三千年もこの日を待ち続けたのだ。あと、数百年はこの余韻に浸っていられると正直なところ思っていた。
ニャティリはラーメンを食べ終えると、驚きの行動に出た。なんと、ラーメンを食べたその店に弟子入りしてしまったのだ。その夜、我は慌ててニャティリに念話で呼びかけたのだが、ニャティリの意志は固かった。そして、ファルスカ王国にラーメンのレシピと技術を持ち帰って再現したいというのだ。
異世界の門を開いた冒険者に夢を語られてしまっては、聖龍である我が、ニャティリに協力しないわけにはいかない。異世界の門を開いた冒険者の願いを叶える協力をしなければならないという、一族の掟を破る訳にはいかないのだ。
我は、ファルスカ王国の城下町ではなく、地下ダンジョンダルゴニア内でラーメン店を開業するように勧めた。その理由も説明すると、ニャティリは我に全幅の信頼をおいて、経営面は任せると言ってくれたのだ。
ダルゴニア内であれば、我が関与することができるのが何より大きな理由だった。有事の際も、ダンジョンマスターである我が関与すれば大抵のことは片付く。親しい者たちであれば意識共有ですぐに念話が可能であるし、異変を感じ取ればダンジョン内であればいつでも駆けつけることが可能である。ダンジョンを一切離れられないのは些か弱いところではあるが、外に出ない限りは最強なのである。
もう一つの理由としては、我の打算にまみれているが、ダルゴニア内で調理してくれれば、我もラーメンを口にすることができるからである。我はどうしてもラーメンを食べたいと思っていた。感情と言える感情を初めて体感したのはニャティリとの出会いの瞬間からである。それからというもの、我はことあるごとに喜怒哀楽が表現できるようになってきておる。まだぎこちないときもあるが、間違いなく我は一喜一憂ができるようになったのである。聖龍族はその殆どが感情を持たぬ冷徹な仕事人として使命を全うするだけの存在である。我も例に漏れず心のない聖龍だと思ってきたが、いつの間にやら明確な自我が目覚めてしまっていたようだ。
ニャティリを通して見えた風景。そして、ニャティリが料理屋で口にしたラーメンという食べ物。全てが新鮮で、見たことのないものばかりだった。
視覚だけの共有ではあったが、終始圧巻されてしまった。
この時点で我は異世界を見るという夢が叶って、すでに満足していた。三千年もこの日を待ち続けたのだ。あと、数百年はこの余韻に浸っていられると正直なところ思っていた。
ニャティリはラーメンを食べ終えると、驚きの行動に出た。なんと、ラーメンを食べたその店に弟子入りしてしまったのだ。その夜、我は慌ててニャティリに念話で呼びかけたのだが、ニャティリの意志は固かった。そして、ファルスカ王国にラーメンのレシピと技術を持ち帰って再現したいというのだ。
異世界の門を開いた冒険者に夢を語られてしまっては、聖龍である我が、ニャティリに協力しないわけにはいかない。異世界の門を開いた冒険者の願いを叶える協力をしなければならないという、一族の掟を破る訳にはいかないのだ。
我は、ファルスカ王国の城下町ではなく、地下ダンジョンダルゴニア内でラーメン店を開業するように勧めた。その理由も説明すると、ニャティリは我に全幅の信頼をおいて、経営面は任せると言ってくれたのだ。
ダルゴニア内であれば、我が関与することができるのが何より大きな理由だった。有事の際も、ダンジョンマスターである我が関与すれば大抵のことは片付く。親しい者たちであれば意識共有ですぐに念話が可能であるし、異変を感じ取ればダンジョン内であればいつでも駆けつけることが可能である。ダンジョンを一切離れられないのは些か弱いところではあるが、外に出ない限りは最強なのである。
もう一つの理由としては、我の打算にまみれているが、ダルゴニア内で調理してくれれば、我もラーメンを口にすることができるからである。我はどうしてもラーメンを食べたいと思っていた。感情と言える感情を初めて体感したのはニャティリとの出会いの瞬間からである。それからというもの、我はことあるごとに喜怒哀楽が表現できるようになってきておる。まだぎこちないときもあるが、間違いなく我は一喜一憂ができるようになったのである。聖龍族はその殆どが感情を持たぬ冷徹な仕事人として使命を全うするだけの存在である。我も例に漏れず心のない聖龍だと思ってきたが、いつの間にやら明確な自我が目覚めてしまっていたようだ。
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