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ギルド副長 セシル
誓い
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「一つは、ラーメンのレシピが国家級のトップシークレットだってこと。そんな機密事項を地上に持っていくわけにはいかないんだ。オープンカウンターで調理なんてしていたら、色々な意味で同職者たちがなだれ込んできてしまうんじゃないかと私らは思ってる。その点、ダンジョンであれば、客はほとんど冒険者に限られるわけ。料理人とか一般人がダンジョンに潜るには、冒険者を雇って行くしかないけど、一般人を護衛しながら第7階層まで進むにはレベルとか人数を考えるとコストがかかりすぎて現実的じゃないのよ」
確かにラーメンは、誰も真似できない逸品だ。レシピや料理人がトップシークレットとして秘匿対象となっても致し方ないのかもしれない。それほど、唯一無二だし、凄いとしか言えない。そんなレシピを盗もうとする者は多いだろう。
ましてや、オープンカウンターという形で営業すれば盗撮・盗聴・思考読取などどんな手段を使ってでもレシピを盗もうとしてくる連中も出てくるはずだ。
閉鎖空間である地下ダンジョンの方が、そうした連中には対処しやすく、そもそも一流の冒険者を雇わない限りは第7階層にたどり着きもしない訳だから一般の料理人が手を出すことは不可能と言って良い位に現実味がなくなってくる。
ただ一般人が地下第7階層に来ることは不可能ではない。ワープ魔術を使えば、一度行ったことのある場所に転移することはできる。しかし、行き先を指定するには一度は踏破しなければならないため、第7階層まで到達する為に発生する費用や時間を考えるとハイリスク・ローリターンすぎるわけだ。命の危険を冒してまでやるべきことではないと普通の人なら判断するだろう。
「理由二つ目は、ラーメンが地上の市場に大きな影響を与えかねないことです。胡椒をテーブルに置いている時点で、常識の範疇は越えていることはお分かりだと思いますが、値段設定も明らかに地上で想定される市場価値からしたら破格の値段で提供しています。かといって、値段を引き上げれば、貴族しか食べることのできない料理となってしまうのです。地上では周辺の店のことを考えると、どうしても料金を高く設定するか、メニューを合わせる必要が出てきます。その点、地下第7階層で店を開くことで希少性も出てきますし、他店や社会に与える影響などもほとんど考えなくていいので、楽なんです。ニャティリさんやイリスちゃん、それにわたしがいれば、何か不測の事態が起きたとしてもある程度は対処できますしね」
噂が噂を呼び、地下第7階層という立地にも関わらず、連日冒険者の行列ができていると聞いている。ダンジョンに来ることができるというだけでも、王国民の一握りしかいない。ましてや、その地下第7階層まで到達した冒険者の数は況んやをやだ。行列ができるほどの人数ということは、冒険者の間では知らない人がいないくらいに広まっているのかもしれない。
確かに、これが地上で営業をしてしまった時には、この店を巡っての利権争いや、最悪戦争が起こっても不思議ではない。ただの行列ではなくなり、独占しようとする者が次々と出てくるだろう。
そういう意味では、地下第7階層で飲食店をやるのは、理にかなってはいる。
「それで、3つ目なんだけど……」
『それは、我から説明する』
急に脳裏に女性の声が響いてきた。
思わず私は悲鳴をあげていた。
『驚かせてしまったな。我は聖龍である。ダルゴニアのダンジョンマスターをやっておる。以後、世話になるだろう』
頭が真っ白になる。
まずもって、聖龍というのは私が知る限りは伝説上の生き物だ。そんな聖龍を名乗る声が、ラーメン屋の話をしている時に突如現れたら誰だって驚くと思う。冗談も程々にしてくれと思うが、どうやら様子がおかしい。イリスもマリアも聖龍の声は聞こえているようで「聖龍さん、聞いてたんですね」ってマリアが普通に聖龍に話しかけていた。
『一族の掟で、人間族の代表者としか接触が認められていないからな。我の存在は人間族でもお主を含めて10人ほどしか知らないぞ。お主がギルド支所長となったことでやっと話すことができる』
聖龍の存在は、私以外の王国民だと、ギルド長、国王、騎士団長、ニャティリ、マリア、イリスの6人しか知らないらしい。まさにトップシークレットの存在だ。
『このラーメン屋があるエリアは、セーフティゾーンの設定をしておる。第5階層のようにこの場所でモンスターが出てきたりは、ダンジョンマスターである我に誓ってありえないと断言する。そして、入り口のドアには、悪意を持った者を弾く仕掛けをしている。強力な魔術の使用も、我が認めた者しかできない仕組みにしておる。ギルドの支所を置くことで地上との連携も取りやすくなる。そして、最悪我がすぐに駆けつける。間違いなくダンジョン内で一番安全な場所になるだろう』
その後詳しい仕組みなども思考共有で教えてもらったが、その綿密過ぎる内容は聖龍が本物のダンジョンマスターであることが疑いようのない事実だと私に納得させるには十分なものだった。
「聖龍のあなたがいて、どうして第5階層での悲劇みたいなことが起きるのよ。今回みたいにどうしてセイフティゾーンを作ったりしなかったのよ」
しかしながら、第7階層のラーメン屋の営業に聖龍が関与してくるのであれば、どうして第5階層のクラーケン事件には無関与だったのかと思ってしまう。
『あれは、人間族の自業自得だ。元々、第5階層にセイフティゾーンなど設定されておらん。モンスターが基本は深海に住んでおるために地上に出てこないだけなのだ。しかし、別階層のモンスターが第5階層で放たれて暴れ出したことで、クラーケンが覚醒した。クラーケン自体は、我ですら少々手こずるようなステータスのモンスターであるが故、非常事態でない限りは地上に現出したりはしないよう設定されておる』
つまりは、第5階層の事件は人間が勝手に起こした人災で、聖龍は関係ないし、第5階層での商売と、第7階層で商売をすることは根本的に全く異なっているから同一視するのは愚考だと言いたいのだろう。
『だが、全てが全て理屈で片付くものではないことは我も理解しておる。お主が懸念しているのは、むしろ慢心が生む油断だろう。人間族が誰も予測できなかった第5階層の惨劇のような事象が、ダンジョンマスターの我が管轄するからといって第7階層では絶対に起こらないとは言い切れないのも事実だ』
そうだ。その通りだ。
机上の空論とは良く言ったもので、物事には絶対などありえない。未来は未知であるが故に、未来たり得るのだ。いくら決まりきったことでも、その時が来るまでは何が起こるか分からない。もしかしたら1秒後には私は死んでいるかもしれない。万が一の可能性を考えればあり得る話だ。
『確かに我も予想だにしないような手法で人間族が攻めてくることがあるかもしれない。しかし、その時は我も最善手を考え、お主らに協力すると誓おう。現に、お主は我にとってはラーメン屋に反対する敵対者であるが、それは同時にダンジョンで商売をすることがどういうことかを誰よりも考えている貴重な人材でもある。確かに、ラーメン屋をダンジョン内でやることは簡単だが、そこから派生して起こりうる事象まで我も予測ができない。だからこそ、我らにはお主のような存在が必要なのだ。ギルドダルゴニア支所長として、我らに協力してはくれぬだろうか』
「わたしからもお願いします。ニャティリさんやイリスちゃん、聖龍さん、タイショーさん、ヒカリさん、それとわたしの夢を乗せて営業してるので、わたしはここでラーメン屋を続けることを諦めたくはないんです」
「私たち、ラーメン屋を続けたいんだ」
「ダルゴニアでラーメン屋をやること許してくれませんか、セシルお姉様」
ここまで言われてしまえば、私も折れるしかなくなってしまう。大切な娘たちの夢を、私だって応援したいのだ。
「あなたたちに何かがあったら、私は聖龍やニャティリを許さない。だけど、ギルドダルゴニア支所長として、私はここに来る冒険者や聖龍軒のことを全力で守るし、何も起こらせないように全力を尽くすと誓うわ」
何かが起こった際に、一番許せないのは、聖龍やニャティリではなく、私自身なのだと分かっている。しかし私だって、そのトラウマを背負ってでも、イリスやマリアたちと新しい未来を切り拓いて行くほうが断然楽しいだろうと思ってしまった。ワクワクしてしまった。
「その代わり、定期的にこの塩ラーメンを私にも作ってくれるかしら」
「「はい!!」」
ふたりの快活な声が店内に響き渡った。
かつて絶望の淵にあった私が塩スープに救われたように、ラーメンが人々の希望となることを信じて、私も一つ新たな扉を開いて前へと進んでいこうと思う。
確かにラーメンは、誰も真似できない逸品だ。レシピや料理人がトップシークレットとして秘匿対象となっても致し方ないのかもしれない。それほど、唯一無二だし、凄いとしか言えない。そんなレシピを盗もうとする者は多いだろう。
ましてや、オープンカウンターという形で営業すれば盗撮・盗聴・思考読取などどんな手段を使ってでもレシピを盗もうとしてくる連中も出てくるはずだ。
閉鎖空間である地下ダンジョンの方が、そうした連中には対処しやすく、そもそも一流の冒険者を雇わない限りは第7階層にたどり着きもしない訳だから一般の料理人が手を出すことは不可能と言って良い位に現実味がなくなってくる。
ただ一般人が地下第7階層に来ることは不可能ではない。ワープ魔術を使えば、一度行ったことのある場所に転移することはできる。しかし、行き先を指定するには一度は踏破しなければならないため、第7階層まで到達する為に発生する費用や時間を考えるとハイリスク・ローリターンすぎるわけだ。命の危険を冒してまでやるべきことではないと普通の人なら判断するだろう。
「理由二つ目は、ラーメンが地上の市場に大きな影響を与えかねないことです。胡椒をテーブルに置いている時点で、常識の範疇は越えていることはお分かりだと思いますが、値段設定も明らかに地上で想定される市場価値からしたら破格の値段で提供しています。かといって、値段を引き上げれば、貴族しか食べることのできない料理となってしまうのです。地上では周辺の店のことを考えると、どうしても料金を高く設定するか、メニューを合わせる必要が出てきます。その点、地下第7階層で店を開くことで希少性も出てきますし、他店や社会に与える影響などもほとんど考えなくていいので、楽なんです。ニャティリさんやイリスちゃん、それにわたしがいれば、何か不測の事態が起きたとしてもある程度は対処できますしね」
噂が噂を呼び、地下第7階層という立地にも関わらず、連日冒険者の行列ができていると聞いている。ダンジョンに来ることができるというだけでも、王国民の一握りしかいない。ましてや、その地下第7階層まで到達した冒険者の数は況んやをやだ。行列ができるほどの人数ということは、冒険者の間では知らない人がいないくらいに広まっているのかもしれない。
確かに、これが地上で営業をしてしまった時には、この店を巡っての利権争いや、最悪戦争が起こっても不思議ではない。ただの行列ではなくなり、独占しようとする者が次々と出てくるだろう。
そういう意味では、地下第7階層で飲食店をやるのは、理にかなってはいる。
「それで、3つ目なんだけど……」
『それは、我から説明する』
急に脳裏に女性の声が響いてきた。
思わず私は悲鳴をあげていた。
『驚かせてしまったな。我は聖龍である。ダルゴニアのダンジョンマスターをやっておる。以後、世話になるだろう』
頭が真っ白になる。
まずもって、聖龍というのは私が知る限りは伝説上の生き物だ。そんな聖龍を名乗る声が、ラーメン屋の話をしている時に突如現れたら誰だって驚くと思う。冗談も程々にしてくれと思うが、どうやら様子がおかしい。イリスもマリアも聖龍の声は聞こえているようで「聖龍さん、聞いてたんですね」ってマリアが普通に聖龍に話しかけていた。
『一族の掟で、人間族の代表者としか接触が認められていないからな。我の存在は人間族でもお主を含めて10人ほどしか知らないぞ。お主がギルド支所長となったことでやっと話すことができる』
聖龍の存在は、私以外の王国民だと、ギルド長、国王、騎士団長、ニャティリ、マリア、イリスの6人しか知らないらしい。まさにトップシークレットの存在だ。
『このラーメン屋があるエリアは、セーフティゾーンの設定をしておる。第5階層のようにこの場所でモンスターが出てきたりは、ダンジョンマスターである我に誓ってありえないと断言する。そして、入り口のドアには、悪意を持った者を弾く仕掛けをしている。強力な魔術の使用も、我が認めた者しかできない仕組みにしておる。ギルドの支所を置くことで地上との連携も取りやすくなる。そして、最悪我がすぐに駆けつける。間違いなくダンジョン内で一番安全な場所になるだろう』
その後詳しい仕組みなども思考共有で教えてもらったが、その綿密過ぎる内容は聖龍が本物のダンジョンマスターであることが疑いようのない事実だと私に納得させるには十分なものだった。
「聖龍のあなたがいて、どうして第5階層での悲劇みたいなことが起きるのよ。今回みたいにどうしてセイフティゾーンを作ったりしなかったのよ」
しかしながら、第7階層のラーメン屋の営業に聖龍が関与してくるのであれば、どうして第5階層のクラーケン事件には無関与だったのかと思ってしまう。
『あれは、人間族の自業自得だ。元々、第5階層にセイフティゾーンなど設定されておらん。モンスターが基本は深海に住んでおるために地上に出てこないだけなのだ。しかし、別階層のモンスターが第5階層で放たれて暴れ出したことで、クラーケンが覚醒した。クラーケン自体は、我ですら少々手こずるようなステータスのモンスターであるが故、非常事態でない限りは地上に現出したりはしないよう設定されておる』
つまりは、第5階層の事件は人間が勝手に起こした人災で、聖龍は関係ないし、第5階層での商売と、第7階層で商売をすることは根本的に全く異なっているから同一視するのは愚考だと言いたいのだろう。
『だが、全てが全て理屈で片付くものではないことは我も理解しておる。お主が懸念しているのは、むしろ慢心が生む油断だろう。人間族が誰も予測できなかった第5階層の惨劇のような事象が、ダンジョンマスターの我が管轄するからといって第7階層では絶対に起こらないとは言い切れないのも事実だ』
そうだ。その通りだ。
机上の空論とは良く言ったもので、物事には絶対などありえない。未来は未知であるが故に、未来たり得るのだ。いくら決まりきったことでも、その時が来るまでは何が起こるか分からない。もしかしたら1秒後には私は死んでいるかもしれない。万が一の可能性を考えればあり得る話だ。
『確かに我も予想だにしないような手法で人間族が攻めてくることがあるかもしれない。しかし、その時は我も最善手を考え、お主らに協力すると誓おう。現に、お主は我にとってはラーメン屋に反対する敵対者であるが、それは同時にダンジョンで商売をすることがどういうことかを誰よりも考えている貴重な人材でもある。確かに、ラーメン屋をダンジョン内でやることは簡単だが、そこから派生して起こりうる事象まで我も予測ができない。だからこそ、我らにはお主のような存在が必要なのだ。ギルドダルゴニア支所長として、我らに協力してはくれぬだろうか』
「わたしからもお願いします。ニャティリさんやイリスちゃん、聖龍さん、タイショーさん、ヒカリさん、それとわたしの夢を乗せて営業してるので、わたしはここでラーメン屋を続けることを諦めたくはないんです」
「私たち、ラーメン屋を続けたいんだ」
「ダルゴニアでラーメン屋をやること許してくれませんか、セシルお姉様」
ここまで言われてしまえば、私も折れるしかなくなってしまう。大切な娘たちの夢を、私だって応援したいのだ。
「あなたたちに何かがあったら、私は聖龍やニャティリを許さない。だけど、ギルドダルゴニア支所長として、私はここに来る冒険者や聖龍軒のことを全力で守るし、何も起こらせないように全力を尽くすと誓うわ」
何かが起こった際に、一番許せないのは、聖龍やニャティリではなく、私自身なのだと分かっている。しかし私だって、そのトラウマを背負ってでも、イリスやマリアたちと新しい未来を切り拓いて行くほうが断然楽しいだろうと思ってしまった。ワクワクしてしまった。
「その代わり、定期的にこの塩ラーメンを私にも作ってくれるかしら」
「「はい!!」」
ふたりの快活な声が店内に響き渡った。
かつて絶望の淵にあった私が塩スープに救われたように、ラーメンが人々の希望となることを信じて、私も一つ新たな扉を開いて前へと進んでいこうと思う。
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