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ギルド副長 セシル
地下第5階層
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ダンジョン「ダルゴニア」地下第5階層。当時の第5階層は、冒険者の間で「ダルゴニアの楽園」と呼ばれていた。
海上に、5つの島々が浮かぶエリアだ。
第4階層から自動魔術制御の円盤で降りてくると、世界一面に海が広がる。エリアには5つの島が海に浮かんでいる。その島の一つには下層に繋がる階段があるのだけれども、第4階層から降りて来た先の島とは泳げば一週間以上かかるのではないかという程に離れていた。果てには結界が張られているようで、島のない東の方角へ船で出航したのに、西から全く同じ島へとたどり着くことは当時情報として出回っていた。
危険な魔物は一切確認されておらず、植物も多く自生しており、魚などの海の生物も生息していた。そのため、エリア全体がセーフティゾーンなのではないかと言われていた。しかしながら、冒険者の第5階層での行方不明は後が絶たなかった。
ダンジョン内にも関わらず海という特殊なエリアであるがために、戦闘に特化している冒険者たちにとっては鬼門とも言えるエリアでもあった。
そう、油断が生まれるのだ。
行方不明者のほとんどが海難事故によるものだった。戦闘に優れた冒険者も、自然災害には無防備な者が多いからである。突如発生する嵐に巻き込まれる者、泳げずに溺れる者、海中に居続けることで低体温症になって死ぬ者など、死因は様々だった。
そうした状況があり一時期、第5階層内で商売をする者が増えはじめた。
まず、船を売る商売が第5階層内で始まった。商売人たちも含めた巨大パーティが形成され、地上で造船したものを、数人の魔術師が協力して転移魔術で地下第5階層に輸送し、地下第5階層に常駐している商人たちが冒険者たちに売るというものだった。
ここから派生した様々な商売が出てくることになる。輸送船業、天候予報、契約航海士、船レンタルといった商売が次々と生まれた。さらに、多くの人が地下第5階層に常駐するようになると、市場ができ、飲食店も立ち並び、別荘などもできるようになっていった。
ものの数ヶ月で島々に町や村ができていった。
これは、ギルドに黙って行われた。ただ、ギルドの方も勝手に町を作られたところで、口も手も出すことができなかった。当時のギルドは、ダンジョン内の取引には不干渉を貫くことしかできなかったからだ。
しかし、村や町が発展し出すと同時ぐらいで、地下第5階層内で闇取引をする輩が出てくるようになった。しかも、一人だけではなく複数発生するようになった。
麻薬取引、人身売買、盗品の販売、 無許可の売春などいたるところで堂々と営業するような事態になっていたのだ。
そのような状況下で、流石にギルドが取り締まらざるを得ないということで、私や現ギルド長など数名がギルドから調査に派遣されたのだった。
各々、一部の冒険者と手を組んで、各調査に当たることになった。私とギルド長の担当は、人身売買の調査だった。
海上に、5つの島々が浮かぶエリアだ。
第4階層から自動魔術制御の円盤で降りてくると、世界一面に海が広がる。エリアには5つの島が海に浮かんでいる。その島の一つには下層に繋がる階段があるのだけれども、第4階層から降りて来た先の島とは泳げば一週間以上かかるのではないかという程に離れていた。果てには結界が張られているようで、島のない東の方角へ船で出航したのに、西から全く同じ島へとたどり着くことは当時情報として出回っていた。
危険な魔物は一切確認されておらず、植物も多く自生しており、魚などの海の生物も生息していた。そのため、エリア全体がセーフティゾーンなのではないかと言われていた。しかしながら、冒険者の第5階層での行方不明は後が絶たなかった。
ダンジョン内にも関わらず海という特殊なエリアであるがために、戦闘に特化している冒険者たちにとっては鬼門とも言えるエリアでもあった。
そう、油断が生まれるのだ。
行方不明者のほとんどが海難事故によるものだった。戦闘に優れた冒険者も、自然災害には無防備な者が多いからである。突如発生する嵐に巻き込まれる者、泳げずに溺れる者、海中に居続けることで低体温症になって死ぬ者など、死因は様々だった。
そうした状況があり一時期、第5階層内で商売をする者が増えはじめた。
まず、船を売る商売が第5階層内で始まった。商売人たちも含めた巨大パーティが形成され、地上で造船したものを、数人の魔術師が協力して転移魔術で地下第5階層に輸送し、地下第5階層に常駐している商人たちが冒険者たちに売るというものだった。
ここから派生した様々な商売が出てくることになる。輸送船業、天候予報、契約航海士、船レンタルといった商売が次々と生まれた。さらに、多くの人が地下第5階層に常駐するようになると、市場ができ、飲食店も立ち並び、別荘などもできるようになっていった。
ものの数ヶ月で島々に町や村ができていった。
これは、ギルドに黙って行われた。ただ、ギルドの方も勝手に町を作られたところで、口も手も出すことができなかった。当時のギルドは、ダンジョン内の取引には不干渉を貫くことしかできなかったからだ。
しかし、村や町が発展し出すと同時ぐらいで、地下第5階層内で闇取引をする輩が出てくるようになった。しかも、一人だけではなく複数発生するようになった。
麻薬取引、人身売買、盗品の販売、 無許可の売春などいたるところで堂々と営業するような事態になっていたのだ。
そのような状況下で、流石にギルドが取り締まらざるを得ないということで、私や現ギルド長など数名がギルドから調査に派遣されたのだった。
各々、一部の冒険者と手を組んで、各調査に当たることになった。私とギルド長の担当は、人身売買の調査だった。
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