4 / 54
英雄ニャティリ
ラーメンは至宝である
しおりを挟む
わたし、ニャティリは日本という異世界で1ヶ月という月日を過ごし、あまりの技術力や科学力の差に圧倒されてしまっていた。
この日本では、魔術は一切使われていないのだ。にも関わらず、人々の生活水準はわたしたちの世界とは天と地ほどの差が生じている。
それが最も顕著に現れているのが料理だ。
日本の料理は、味のバリエーションが無限と思えるほどに多岐に渡る。
わたしは、ラーメンという料理と出会い、猛烈に感動してしまった。このラーメンという料理は、日本の料理の恐ろしさを知るに最も相応しい料理だろう。
ラーメンという一つの料理にも関わらず、醤油・塩・味噌・豚骨・魚介などと挙げればきりがないほどの味がある。さらには、麺の太さや形状も、細麺・太麺・ちぢれ麺などと様々なタイプがある。そして、トッピングもラーメンに合わせてそれこそ無限に存在する。
さらには、つけ麺・まぜめん・油そばなどとラーメン自体の種類すら複数あるのだ。それは、わたしたちにとって異次元の料理なのだ。
日本という異世界に来て、まず驚かされたのは、味の複雑さだった。
ラーメンのスープを飲んで、その味の複雑さに呆気に取られるしかなかった。一体、何の味だか全く分からず未知の味なのに、衝撃が駆け巡るほどに美味しいと感じてしまうのだ。
調味料の数や、出汁をとる技術、食材への知識の差が生んだものと今なら分かるのだが、素材を水に突っ込んで塩で味付けしてただ煮ただけっていうスープしか飲んでこなかったわたしにとっては、脳が味の情報処理に追いつけずフリーズするほどの代物だった。そもそも、街では貴重な水をふんだんに使った料理なんて滅多にお目にかかれないのだ。
しかも、初めてラーメンを食べてもう一度ラーメンを食べたいと大将にお願いして出てきたラーメンの味が、まるで違う味にも関わらずとんでもなく美味しかったのである。わたしはラーメンという料理に魅せられてしまった。
ラーメンという料理だけが凄い訳ではない。ここにあるもの全てがわたしにとっては至宝級である。
言語や、電気、科学技術などはすぐに理解はしたのだが、機械や料理や建築技術などは技術レベルが高すぎて、魔術の真相までを理解しているわたしですら到底追い付けそうもない。
日本という国では、何の変哲もない料理屋だと大将は言っていたが、わたしたちの世界で出店すればたちまち世界一の料理屋となってしまうだろう。
それに、この狭い店内と二階の住居空間にすら、魔術では理解できない機械やら何やらがそこらじゅうに平気で置いてあるのだ。
大将とその娘は、魔術の方が何倍も凄いと言うが、わたしからしてみれば、魔術や神秘を上回るほどに発達した日本の文明の方がよっぽど恐ろしい。
とにかく、ここで修行していれば、日本の技術を我が世界に持ち帰れるかもしれない。
むしろ、持ち帰らなければならないのだ。
さて、その前に、このラーメンの存在をわたしの世界にも知らしめる必要がある。そのためには、インフルエンサーたちに訪れてもらい、ラーメンの凄さを世に広めてもらう必要があるのだ。
そのための布石は打った。
あとは、その時が来るのを待つだけだ。
この日本では、魔術は一切使われていないのだ。にも関わらず、人々の生活水準はわたしたちの世界とは天と地ほどの差が生じている。
それが最も顕著に現れているのが料理だ。
日本の料理は、味のバリエーションが無限と思えるほどに多岐に渡る。
わたしは、ラーメンという料理と出会い、猛烈に感動してしまった。このラーメンという料理は、日本の料理の恐ろしさを知るに最も相応しい料理だろう。
ラーメンという一つの料理にも関わらず、醤油・塩・味噌・豚骨・魚介などと挙げればきりがないほどの味がある。さらには、麺の太さや形状も、細麺・太麺・ちぢれ麺などと様々なタイプがある。そして、トッピングもラーメンに合わせてそれこそ無限に存在する。
さらには、つけ麺・まぜめん・油そばなどとラーメン自体の種類すら複数あるのだ。それは、わたしたちにとって異次元の料理なのだ。
日本という異世界に来て、まず驚かされたのは、味の複雑さだった。
ラーメンのスープを飲んで、その味の複雑さに呆気に取られるしかなかった。一体、何の味だか全く分からず未知の味なのに、衝撃が駆け巡るほどに美味しいと感じてしまうのだ。
調味料の数や、出汁をとる技術、食材への知識の差が生んだものと今なら分かるのだが、素材を水に突っ込んで塩で味付けしてただ煮ただけっていうスープしか飲んでこなかったわたしにとっては、脳が味の情報処理に追いつけずフリーズするほどの代物だった。そもそも、街では貴重な水をふんだんに使った料理なんて滅多にお目にかかれないのだ。
しかも、初めてラーメンを食べてもう一度ラーメンを食べたいと大将にお願いして出てきたラーメンの味が、まるで違う味にも関わらずとんでもなく美味しかったのである。わたしはラーメンという料理に魅せられてしまった。
ラーメンという料理だけが凄い訳ではない。ここにあるもの全てがわたしにとっては至宝級である。
言語や、電気、科学技術などはすぐに理解はしたのだが、機械や料理や建築技術などは技術レベルが高すぎて、魔術の真相までを理解しているわたしですら到底追い付けそうもない。
日本という国では、何の変哲もない料理屋だと大将は言っていたが、わたしたちの世界で出店すればたちまち世界一の料理屋となってしまうだろう。
それに、この狭い店内と二階の住居空間にすら、魔術では理解できない機械やら何やらがそこらじゅうに平気で置いてあるのだ。
大将とその娘は、魔術の方が何倍も凄いと言うが、わたしからしてみれば、魔術や神秘を上回るほどに発達した日本の文明の方がよっぽど恐ろしい。
とにかく、ここで修行していれば、日本の技術を我が世界に持ち帰れるかもしれない。
むしろ、持ち帰らなければならないのだ。
さて、その前に、このラーメンの存在をわたしの世界にも知らしめる必要がある。そのためには、インフルエンサーたちに訪れてもらい、ラーメンの凄さを世に広めてもらう必要があるのだ。
そのための布石は打った。
あとは、その時が来るのを待つだけだ。
12
お気に入りに追加
151
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します
あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。
異世界パルメディアは、大魔法文明時代。
だが、その時代は崩壊寸前だった。
なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。
マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。
追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。
ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。
世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。
無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。
化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。
そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。
当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。
ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
やっと買ったマイホームの半分だけ異世界に転移してしまった
ぽてゆき
ファンタジー
涼坂直樹は可愛い妻と2人の子供のため、頑張って働いた結果ついにマイホームを手に入れた。
しかし、まさかその半分が異世界に転移してしまうとは……。
リビングの窓を開けて外に飛び出せば、そこはもう魔法やダンジョンが存在するファンタジーな異世界。
現代のごくありふれた4人(+猫1匹)家族と、異世界の住人との交流を描いたハートフルアドベンチャー物語!

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで220万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる