散華の紅雪

香竹薬孝

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第4章 1

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 幾つかの台風とともに冷たい秋が訪れ、里を囲む山々が紅葉に染まる季節となった。

 しかし、集落の大部分はごっそりと削ぎ取られたように黒い地肌を晒し、本来その空虚を黄金色に染めているはずの田園は枯れ果て、最後の頼みの綱としていた蕎麦はすべて台風に薙ぎ倒された。

やがて里は晩秋を迎え、どんよりと淀んだ空の下に冷たい山卸が家々の戸口を固く閉ざすようになると、この村を半年もの間雪山の中に暗く閉じ込める凍てついた冬の到来を否が応にも予感させた。
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