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第一章「最強ランカーのリアル彼氏はスパダリ覚醒する」二条泰然編
怜司の要求
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怜司は泰然を押さえ込んだまま、ゆっくりと微笑んだ。
「僕の要求は一つだけ」
「………………」
「わかってるだろ? ゲーム恋人たちを切ってくれ。今すぐ。ここで」
その言葉に、一瞬、泰然の思考が止まった。
(今すぐ?)
ベッドの上にいる今ここで? と思っていたら、怜司がすっと泰然の上から退いた。
ベッドの下に落とされていた泰然の服を探り、ジャケットからすんなりスマホを見つけ出している。
「ほら。簡単だろう? ね、早く」
裸のままの泰然にそっとスマホを渡してきた。そのまま後ろから抱きしめて泰然の指を操り、スマホの指紋認証を解除させる。
ホーム画面のLOIアプリをタップさせ、ログインまでさせてきた。
(俺は怜司だけでいい。怜司しかいない。それは……もうわかってる)
だが、それでも泰然は怜司の要求に素直に従えない何かがあった。
(怜司から離れられなくなる。それが……怖い)
ステータス画面まで進めさせられた。
バディの項目をタップ。ピンクのハートで装飾された〝恋人契約〟が表示されたところで、泰然の指を操る怜司の手が離れた。ここから先は泰然自身が行えということだろう。
けれど、そこで泰然の指は止まってしまった。
泰然が沈黙したのを見て、怜司がわざとらしく溜息をついた。
「何でそんなに悩むかな。君には僕だけでいいだろう?」
「……怜司」
泰然は顔を上げて怜司を見た。怜司は面白そうに笑っている。
泰然が、ごちゃごちゃした気持ちで頭が一杯になってることなどお見通し、の顔だ。
(この野郎)
なんでこんなに余裕なんだ。
睨むと、怜司はそのまま泰然の黒髪をくしゃっと撫でてきた。
そのまま首筋にちゅ、と小さくキスされた。
ビクッと泰然が震えるのを愛おしそうに見つめる怜司の緑の目だけは、やはり笑っていない。
「君、僕なしじゃ生きていけないだろう?」
怜司の言葉が、泰然の胸に突き刺さった。
「そんな、わけ」
ない、と言いきるのも、その通りだ、と認めるのもどちらも苦しかった。
だから泰然はそのまま口を閉ざすことを選んだ。
「ふうん?」
怜司は泰然の沈黙を楽しむように、また髪を撫でた。
それから、ゆっくりと指を滑らせ、先ほど口づけた泰然の首筋に触れる。
優しく、ゆっくりと。むずがる子供を宥めるような動きだ。
「まあ、君が逃げようとしても、絶対逃さないけど」
その囁きが耳に注がれた瞬間、泰然は完全に言葉を失った。
(うれしい。もっと言って。怜司)
怜司の指先が、ゆっくりと肌をなぞってくる。
触れるか触れないかの曖昧な距離で、じわじわと動く。
泰然の反応を確かめるように、時間をかけて。いつものように。
「……っ、おまえ……」
「ん?」
掠れた声を聞きながら、怜司は楽しそうに微笑んでいる。
「ね、僕はちゃんと君を追ってLOIに行ったよ。ランク1位の強いプレイヤーにもなった。ご褒美は?」
耳元で囁かれた瞬間、背筋が震えた。
――歓喜にだ。
だがすぐに唇を噛んで堪えた。
怜司はそんな抵抗すら楽しむように、更に意地悪く指を滑らせてくる。
「僕もね、最初は思ってたよ。『リアルとゲームは別物』って。でも有名なハリウッド俳優に……デスメリーなんてあんな不気味な男までゲーム恋人って、やりすぎだろ?」
ほら、と手から落ちかけていたスマホをしっかり握り直させられた。
「ね? ここで、僕の目の前であの男たちを切って。君の愛を証明して」
言いながら、怜司の手が喉元をなぞってくる。
「いや、それは、ほんとに……」
勘弁してくれ、と言おうとしたら脇腹を手のひらで撫でられた。泰然の弱いところだ。思わずスマホをシーツの上に落としてしまった。
(こ、こいつ、話し合いなんかする気ないだろ!?)
意地悪な恋人は、最初から泰然を陥落させるつもりでホテルの予約を取っているのだ。
「僕はこれでも、君をとても大事にしてる」
囁きながら、怜司は泰然の肌を軽くなぞる。言葉の意味を刻み込むような、じれったい動きだ。
「それは、……知ってる」
「だよね。でも」
怜司の声は楽しげだった。だが後ろから自分を抱き締める腕は、手は、容赦がない。
「限度はあるって、教えてあげる」
怜司の大きな手が泰然の下腹部に伸びた。鼠蹊部の際どいところを指先がなぞる。
息を呑む間もなく、怜司の指が更に意地悪に動き、泰然の息は浅くなる。
「あ、……あっ」
反対側の手は泰然の喉元、そして胸元へと滑らせていく。弱い胸の突起はあえて触れない。期待感だけを煽っていく。
泰然の身体がもっと強い刺激を求めて身を捩るが、あえて応えない。
「おまえ、やだ……意地悪、するな」
「意地悪なのは君のほうだ。この、――浮気者」
「!?」
泰然の身体が驚きに跳ねる。まさか直球で言われるとは思わなかった。
見るからに動揺しているのがわかる。
怜司は少しだけ残酷な気分に高揚しながら、泰然の顎を指先で掴んで後ろを振り向かせた。
「もっとよく考えて」
「なに、を?」
泰然の視線が揺れる。
「僕のことを、どうしたいのか」
そう言うと、泰然の指が一瞬シーツをぎゅっと握った。赤い目もぎゅっと瞑られる。
「……っ」
焦燥が滲む仕草だ。
だが、怜司はそれをすぐには救わない。
「ゲームも僕も両方、なんて許さない。選ぶならどちらかだ」
「……っ」
泰然の喉が、ごくりと鳴った。赤い瞳も揺れている。
怜司の問いに、泰然はまだ答えを出せない。付き合いが長いだけあって、泰然の動揺は自分のことのようにわかる。
そう、いま怜司は睦み合っているように見せかけて、泰然と別れるか別れないか瀬戸際の話をしているのだ。
「……僕を選ぶんだよね?」
静かに問いかけると、泰然は唇を噛んだ。
「……だから。それは、簡単に決められないって……」
「泰然」
怜司は泰然の髪を指に絡め、ゆっくり囁いた。
「僕には君しかいないよ?」
泰然の指がシーツをぎゅっと握る。
「そんなの。俺だって」
怜司はふっと微笑み、泰然の喉元を指先でくすぐった。
「……っ」
「君さ。悩むのもいいけど、……僕から逃げられるとか、まだ思ってる?」
泰然の呼吸が一瞬止まった。
「僕の要求は一つだけ」
「………………」
「わかってるだろ? ゲーム恋人たちを切ってくれ。今すぐ。ここで」
その言葉に、一瞬、泰然の思考が止まった。
(今すぐ?)
ベッドの上にいる今ここで? と思っていたら、怜司がすっと泰然の上から退いた。
ベッドの下に落とされていた泰然の服を探り、ジャケットからすんなりスマホを見つけ出している。
「ほら。簡単だろう? ね、早く」
裸のままの泰然にそっとスマホを渡してきた。そのまま後ろから抱きしめて泰然の指を操り、スマホの指紋認証を解除させる。
ホーム画面のLOIアプリをタップさせ、ログインまでさせてきた。
(俺は怜司だけでいい。怜司しかいない。それは……もうわかってる)
だが、それでも泰然は怜司の要求に素直に従えない何かがあった。
(怜司から離れられなくなる。それが……怖い)
ステータス画面まで進めさせられた。
バディの項目をタップ。ピンクのハートで装飾された〝恋人契約〟が表示されたところで、泰然の指を操る怜司の手が離れた。ここから先は泰然自身が行えということだろう。
けれど、そこで泰然の指は止まってしまった。
泰然が沈黙したのを見て、怜司がわざとらしく溜息をついた。
「何でそんなに悩むかな。君には僕だけでいいだろう?」
「……怜司」
泰然は顔を上げて怜司を見た。怜司は面白そうに笑っている。
泰然が、ごちゃごちゃした気持ちで頭が一杯になってることなどお見通し、の顔だ。
(この野郎)
なんでこんなに余裕なんだ。
睨むと、怜司はそのまま泰然の黒髪をくしゃっと撫でてきた。
そのまま首筋にちゅ、と小さくキスされた。
ビクッと泰然が震えるのを愛おしそうに見つめる怜司の緑の目だけは、やはり笑っていない。
「君、僕なしじゃ生きていけないだろう?」
怜司の言葉が、泰然の胸に突き刺さった。
「そんな、わけ」
ない、と言いきるのも、その通りだ、と認めるのもどちらも苦しかった。
だから泰然はそのまま口を閉ざすことを選んだ。
「ふうん?」
怜司は泰然の沈黙を楽しむように、また髪を撫でた。
それから、ゆっくりと指を滑らせ、先ほど口づけた泰然の首筋に触れる。
優しく、ゆっくりと。むずがる子供を宥めるような動きだ。
「まあ、君が逃げようとしても、絶対逃さないけど」
その囁きが耳に注がれた瞬間、泰然は完全に言葉を失った。
(うれしい。もっと言って。怜司)
怜司の指先が、ゆっくりと肌をなぞってくる。
触れるか触れないかの曖昧な距離で、じわじわと動く。
泰然の反応を確かめるように、時間をかけて。いつものように。
「……っ、おまえ……」
「ん?」
掠れた声を聞きながら、怜司は楽しそうに微笑んでいる。
「ね、僕はちゃんと君を追ってLOIに行ったよ。ランク1位の強いプレイヤーにもなった。ご褒美は?」
耳元で囁かれた瞬間、背筋が震えた。
――歓喜にだ。
だがすぐに唇を噛んで堪えた。
怜司はそんな抵抗すら楽しむように、更に意地悪く指を滑らせてくる。
「僕もね、最初は思ってたよ。『リアルとゲームは別物』って。でも有名なハリウッド俳優に……デスメリーなんてあんな不気味な男までゲーム恋人って、やりすぎだろ?」
ほら、と手から落ちかけていたスマホをしっかり握り直させられた。
「ね? ここで、僕の目の前であの男たちを切って。君の愛を証明して」
言いながら、怜司の手が喉元をなぞってくる。
「いや、それは、ほんとに……」
勘弁してくれ、と言おうとしたら脇腹を手のひらで撫でられた。泰然の弱いところだ。思わずスマホをシーツの上に落としてしまった。
(こ、こいつ、話し合いなんかする気ないだろ!?)
意地悪な恋人は、最初から泰然を陥落させるつもりでホテルの予約を取っているのだ。
「僕はこれでも、君をとても大事にしてる」
囁きながら、怜司は泰然の肌を軽くなぞる。言葉の意味を刻み込むような、じれったい動きだ。
「それは、……知ってる」
「だよね。でも」
怜司の声は楽しげだった。だが後ろから自分を抱き締める腕は、手は、容赦がない。
「限度はあるって、教えてあげる」
怜司の大きな手が泰然の下腹部に伸びた。鼠蹊部の際どいところを指先がなぞる。
息を呑む間もなく、怜司の指が更に意地悪に動き、泰然の息は浅くなる。
「あ、……あっ」
反対側の手は泰然の喉元、そして胸元へと滑らせていく。弱い胸の突起はあえて触れない。期待感だけを煽っていく。
泰然の身体がもっと強い刺激を求めて身を捩るが、あえて応えない。
「おまえ、やだ……意地悪、するな」
「意地悪なのは君のほうだ。この、――浮気者」
「!?」
泰然の身体が驚きに跳ねる。まさか直球で言われるとは思わなかった。
見るからに動揺しているのがわかる。
怜司は少しだけ残酷な気分に高揚しながら、泰然の顎を指先で掴んで後ろを振り向かせた。
「もっとよく考えて」
「なに、を?」
泰然の視線が揺れる。
「僕のことを、どうしたいのか」
そう言うと、泰然の指が一瞬シーツをぎゅっと握った。赤い目もぎゅっと瞑られる。
「……っ」
焦燥が滲む仕草だ。
だが、怜司はそれをすぐには救わない。
「ゲームも僕も両方、なんて許さない。選ぶならどちらかだ」
「……っ」
泰然の喉が、ごくりと鳴った。赤い瞳も揺れている。
怜司の問いに、泰然はまだ答えを出せない。付き合いが長いだけあって、泰然の動揺は自分のことのようにわかる。
そう、いま怜司は睦み合っているように見せかけて、泰然と別れるか別れないか瀬戸際の話をしているのだ。
「……僕を選ぶんだよね?」
静かに問いかけると、泰然は唇を噛んだ。
「……だから。それは、簡単に決められないって……」
「泰然」
怜司は泰然の髪を指に絡め、ゆっくり囁いた。
「僕には君しかいないよ?」
泰然の指がシーツをぎゅっと握る。
「そんなの。俺だって」
怜司はふっと微笑み、泰然の喉元を指先でくすぐった。
「……っ」
「君さ。悩むのもいいけど、……僕から逃げられるとか、まだ思ってる?」
泰然の呼吸が一瞬止まった。
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