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ユーグレン究極の選択
ユーグレン国王の子供
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「な、なぜエンジェルクラブの支援対象は女性限定なのだ?」
「男は男というだけで優遇されているからだろう。王政国家は特にな」
「……我が国は男尊女卑思想は緩いほうなのですが」
「そう言えるのはお前が男だからだろうよ」
仮定の未来を訪れて、ユーグレンと神人ジューアは姿を隠す隠遁のローブをまとって、未来のアケロニア王国を見て回った。
王太子のユーグレンなら王家の記録庫にも入室できるし、魔導具師でもある神人ジューアがいれば入室を管理する魔力照合の魔導具を誤魔化すことも難しくない。
そこで見た『ユーグレン国王の治世』の資料を年度別に確認して、一番目立ったのが件のエンジェルクラブだったのだ。
この時代の〝ユーグレン国王〟がこの時間は玉座の間にいることを確認して、二人はユーグレンの私室に向かった。
私室は王太子時代の部屋から国王の居室に変更しているはずだ。案の定、王宮内の一番守りの堅い奥にある。
お目当ては〝ユーグレン国王〟の日記だったが……
「ひぃ。『クラブの本部建物を寄贈せよとの母上からの圧に負けた。せっかくピアディ殿のお陰で増えた個人資産が目減りしてしまった……かなしい。』だと? わ、私は未来でも母上に頭が上がらないのか!」
「強い母を持つと苦労するものよな。まあ頑張るがよい」
似たような感じで、日記にはエンジェルクラブの代表や幹部の女性たちに散々に振り回される国王の愚痴が連ねられていた。
詳細に書かれているものだから、読んでいるだけで胃が痛くなってくるような代物だった。
「む?」
ページを捲る手が止まった。
『娘はやはりあちらの気質だ。健康面に不安は残るが大人になれば後は大丈夫と聞いて安心した』
『息子は私に似てしまった。せめてカズンやヴァシレウス様に似たなら、あの女傑たち相手でも上手くやれただろうに……』
(そうか。未来の私には子供がいるのか)
伴侶の女性に関する記述を探したが、手に取った日記にはなかった。ユーグレンは筆まめだ。王妃のことはまた別の手記にまとめているのかもしれない。
「男は男というだけで優遇されているからだろう。王政国家は特にな」
「……我が国は男尊女卑思想は緩いほうなのですが」
「そう言えるのはお前が男だからだろうよ」
仮定の未来を訪れて、ユーグレンと神人ジューアは姿を隠す隠遁のローブをまとって、未来のアケロニア王国を見て回った。
王太子のユーグレンなら王家の記録庫にも入室できるし、魔導具師でもある神人ジューアがいれば入室を管理する魔力照合の魔導具を誤魔化すことも難しくない。
そこで見た『ユーグレン国王の治世』の資料を年度別に確認して、一番目立ったのが件のエンジェルクラブだったのだ。
この時代の〝ユーグレン国王〟がこの時間は玉座の間にいることを確認して、二人はユーグレンの私室に向かった。
私室は王太子時代の部屋から国王の居室に変更しているはずだ。案の定、王宮内の一番守りの堅い奥にある。
お目当ては〝ユーグレン国王〟の日記だったが……
「ひぃ。『クラブの本部建物を寄贈せよとの母上からの圧に負けた。せっかくピアディ殿のお陰で増えた個人資産が目減りしてしまった……かなしい。』だと? わ、私は未来でも母上に頭が上がらないのか!」
「強い母を持つと苦労するものよな。まあ頑張るがよい」
似たような感じで、日記にはエンジェルクラブの代表や幹部の女性たちに散々に振り回される国王の愚痴が連ねられていた。
詳細に書かれているものだから、読んでいるだけで胃が痛くなってくるような代物だった。
「む?」
ページを捲る手が止まった。
『娘はやはりあちらの気質だ。健康面に不安は残るが大人になれば後は大丈夫と聞いて安心した』
『息子は私に似てしまった。せめてカズンやヴァシレウス様に似たなら、あの女傑たち相手でも上手くやれただろうに……』
(そうか。未来の私には子供がいるのか)
伴侶の女性に関する記述を探したが、手に取った日記にはなかった。ユーグレンは筆まめだ。王妃のことはまた別の手記にまとめているのかもしれない。
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