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第二章 異世界ど田舎村を救え!
おまけ 俺、ついにアイテムボックスをゲット……のはず……
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ウパルパ様の虹色キラキラを帯びた魔力が消えたことを確認し、俺はそっと寝台に眠る勇者君に近づいた。
これが従兄弟の来世か。見た感じ二十代前半、なかなか凛々しい顔つきの美青年だが。
「カズアキそっくりかあ。幸せそうな顔してるな。美味いもん食ってる夢でも見てるんだろ?」
邪悪なラスボスの攻撃を受けて倒れたというが、本人を見る限り悲愴感はまったくない。微笑んでいるようにすら見える。
御米田家と同じ、色の濃い黒髪だ。目も真っ黒だろうが眠っている今はわからない。
勇者君の全身はうっすらと白く光っている。
何年も寝たきりのわりに、やつれた様子もない。
人物鑑定スキルで見てみると、生命維持の魔法がかかっていて仮死状態になっていた。
だが警告アラート的な表示が点滅している。
――あと数ヶ月で魔法が切れて衰弱し始めるぞとカウントダウンが始まっていた。
「また来ていたのか。オコメダ・ユウキ」
「うおっ、王様!?」
王様はいつも夢で会うときと同じ黒い軍服姿だ。
両腕に緑の濃い、葉っぱの大きな観葉植物の鉢植えを抱えている。この勇者君の部屋に飾るため持ち込んだようだ。
……ってそうだ、俺は王様に言いたいことがあったんだべ!
「王様! 何なんですかあの大剣のチート魔石! あんなピンクのウーパールーパーが出てくるなんて聞いてないですよ!」
「なに? ピンクのウーパールーパーだと?」
王様が驚いている。
「さっきも来てましたよ。もう帰られましたけど」
「そうか。相変わらず油断のならぬことだ。……彼のお方は偉大なる神人にして歌聖――――殿と申される。私の即位のとき祝福を賜ったが……そうか、お前のためにご降臨くださったのか。………………後で礼をしておかねば何を言われるかわからんな……」
何やら王様がぶつぶつ言っている。ウパルパ様とはそれなりに親しいようだ。
そんで歌聖って。確か王様から貰ったチート大剣に記された、祝福や加護の贈り手の名前に書いてあったが……
そうか……俺好みの綺麗めで可愛い子だと信じてたが……可愛いのは声だけだったなあ。残念だべ。俺、付き合うなら人間が良いので。両生類はちょっと。
「あと俺にもアイテムボックスください」
「だからお前な、少しは遠慮というものを……。……いや、そうだな。持っておいて損はないか」
溜め息をついて王様は持っていた鉢植えを寝台のサイドボードに置いた。
ついでに眠る勇者君の髪を軽く撫でてかすかに微笑んだ後、自分の胸回りに光の円環を出した。真紅の魔力をまとわせた光の帯だ。
指先で円環に触れた後、同じ指で王様は俺の胸の中央をトンと軽く突いた。
「!?」
「む。お前は腰回りに出たか。魔力の色は同じだが……しかも本能タイプか……」
俺に現れた光の円環は腰回りだった。ウエストよりちょっと下あたり。下丹田の位置だ。
「この輪っかって何なんです?」
「環という比較的新しい魔法でな。アイテムボックス機能だけでなく様々な術のコントロールパネルになっている」
めちゃくちゃチートじゃないか。そういうの先に欲しかったのだが!?
「まあ待て。使い方にコツがあるのだ。リラックスして頭を空にせねば発動しない。お前がよく祈っているように良縁ばかり考えていると」
――嫁。俺好みの綺麗めな嫁っ子ほしい! 巨乳ならなお良し!
と思った瞬間に腰回りの光の環が消えた。
「あー!? 消えた!?」
「そうなるわけだ。少し瞑想でもやって心をおちつけるといい」
「そんなに難易度高いんですかこの輪っか!?」
無理だべ。元勤め先のマインドフルネス研修でも秒で俺寝てたもん。
「お前の従兄弟に習えばよい。既に使いこなしていただろう? ああ、容量は無制限ではないぞ。己の持つ魔力量に応じたサイズが……」
王様の低い美声が少しずつ遠ざかっていく。
もう夢の時間は終わりのようだ。
「待て! お待ちください、オコメダ氏!」
「?」
慌てて部屋に飛び込んできた男がいた。
王様と同い年くらいで、王様ほどじゃないが背が高い。
濃いグレーの軍服を着た、金髪と青目の美男子だ。
顔を見て俺はアッと声をあげた。
「お前、……八十神!?」
そこで完全に俺の意識は落ちた。
夢と現実がごちゃ混ぜで、その日は起きても夢を整理できなかったと俺は日記に書くことになる。
NEXT→三章へ
これが従兄弟の来世か。見た感じ二十代前半、なかなか凛々しい顔つきの美青年だが。
「カズアキそっくりかあ。幸せそうな顔してるな。美味いもん食ってる夢でも見てるんだろ?」
邪悪なラスボスの攻撃を受けて倒れたというが、本人を見る限り悲愴感はまったくない。微笑んでいるようにすら見える。
御米田家と同じ、色の濃い黒髪だ。目も真っ黒だろうが眠っている今はわからない。
勇者君の全身はうっすらと白く光っている。
何年も寝たきりのわりに、やつれた様子もない。
人物鑑定スキルで見てみると、生命維持の魔法がかかっていて仮死状態になっていた。
だが警告アラート的な表示が点滅している。
――あと数ヶ月で魔法が切れて衰弱し始めるぞとカウントダウンが始まっていた。
「また来ていたのか。オコメダ・ユウキ」
「うおっ、王様!?」
王様はいつも夢で会うときと同じ黒い軍服姿だ。
両腕に緑の濃い、葉っぱの大きな観葉植物の鉢植えを抱えている。この勇者君の部屋に飾るため持ち込んだようだ。
……ってそうだ、俺は王様に言いたいことがあったんだべ!
「王様! 何なんですかあの大剣のチート魔石! あんなピンクのウーパールーパーが出てくるなんて聞いてないですよ!」
「なに? ピンクのウーパールーパーだと?」
王様が驚いている。
「さっきも来てましたよ。もう帰られましたけど」
「そうか。相変わらず油断のならぬことだ。……彼のお方は偉大なる神人にして歌聖――――殿と申される。私の即位のとき祝福を賜ったが……そうか、お前のためにご降臨くださったのか。………………後で礼をしておかねば何を言われるかわからんな……」
何やら王様がぶつぶつ言っている。ウパルパ様とはそれなりに親しいようだ。
そんで歌聖って。確か王様から貰ったチート大剣に記された、祝福や加護の贈り手の名前に書いてあったが……
そうか……俺好みの綺麗めで可愛い子だと信じてたが……可愛いのは声だけだったなあ。残念だべ。俺、付き合うなら人間が良いので。両生類はちょっと。
「あと俺にもアイテムボックスください」
「だからお前な、少しは遠慮というものを……。……いや、そうだな。持っておいて損はないか」
溜め息をついて王様は持っていた鉢植えを寝台のサイドボードに置いた。
ついでに眠る勇者君の髪を軽く撫でてかすかに微笑んだ後、自分の胸回りに光の円環を出した。真紅の魔力をまとわせた光の帯だ。
指先で円環に触れた後、同じ指で王様は俺の胸の中央をトンと軽く突いた。
「!?」
「む。お前は腰回りに出たか。魔力の色は同じだが……しかも本能タイプか……」
俺に現れた光の円環は腰回りだった。ウエストよりちょっと下あたり。下丹田の位置だ。
「この輪っかって何なんです?」
「環という比較的新しい魔法でな。アイテムボックス機能だけでなく様々な術のコントロールパネルになっている」
めちゃくちゃチートじゃないか。そういうの先に欲しかったのだが!?
「まあ待て。使い方にコツがあるのだ。リラックスして頭を空にせねば発動しない。お前がよく祈っているように良縁ばかり考えていると」
――嫁。俺好みの綺麗めな嫁っ子ほしい! 巨乳ならなお良し!
と思った瞬間に腰回りの光の環が消えた。
「あー!? 消えた!?」
「そうなるわけだ。少し瞑想でもやって心をおちつけるといい」
「そんなに難易度高いんですかこの輪っか!?」
無理だべ。元勤め先のマインドフルネス研修でも秒で俺寝てたもん。
「お前の従兄弟に習えばよい。既に使いこなしていただろう? ああ、容量は無制限ではないぞ。己の持つ魔力量に応じたサイズが……」
王様の低い美声が少しずつ遠ざかっていく。
もう夢の時間は終わりのようだ。
「待て! お待ちください、オコメダ氏!」
「?」
慌てて部屋に飛び込んできた男がいた。
王様と同い年くらいで、王様ほどじゃないが背が高い。
濃いグレーの軍服を着た、金髪と青目の美男子だ。
顔を見て俺はアッと声をあげた。
「お前、……八十神!?」
そこで完全に俺の意識は落ちた。
夢と現実がごちゃ混ぜで、その日は起きても夢を整理できなかったと俺は日記に書くことになる。
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