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第二章 異世界ど田舎村を救え!
俺、今日はお酒は飲みません ※おいちい回
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「おにいちゃ! しゅごい! おいちいがたくしゃん!」
ピナレラちゃんが大はしゃぎだ。うむうむ、もっと食え食え。
蕎麦は既にばあちゃんちにあった備蓄の乾麺で体験済みだったが、天ぷらや温玉のせは今日が初体験だ。好評のようで何よりだべ。
大根おろしや小口ネギ、味変用のくるみつゆは別添えだ。おろしは辛いし試したい人向け。
俺は大根おろし、温玉、川海老と野菜のかき揚げを一口大にまとめて蕎麦と一緒にずずずっと……うっま! この取り合わせにばあちゃんのめんつゆうま!
蕎麦打ち職人のいる蕎麦屋で、蕎麦と天ぷら別々の天ざるもいいんだが全部まとめて丼で食うのもいいよなあ。洗い物少なくて済むのもよき。
ユキりんはもうずっと無言で蕎麦をすすっている。蕎麦とつゆの味に驚き、天ぷらとおろし、温玉の味わいの妙にまた驚いて、さらにネギやクルミつゆを足した味変にアメジストのお目々がキラッキラ。もう二杯目お代わりしてるべ。
自分から配膳まで手伝いに行っている。あれは放置でもよかっぺ。
「ユキちゃん、酒は?」
「この後まだ剣の訓練したいし、風呂も行くんで今日はやめときます」
村長が最中の酒瓶片手に聞いてきた。まだ隠し持ってたのか……俺が酒造りに着手したから、もういいだろって出してきたんだな。まだ成功どころか麹も仕込んでねえってのに。
そういえば異世界に転移してから、日本にいたときほど酒を飲んでいない。
前は会社の同僚や後輩たちと仕事上がりにファミレスや居酒屋もよく行ったし、元カノが行きたがった洒落た店でワインもよく飲んだもんだが。
だって酔っ払っちまうとピナレラちゃんが「おにいちゃ、おしゃけくしゃい!」て近寄ってくれねえんだもん……ユキ兄ちゃんは悲しいです。
ど田舎村は薬草栽培とポーション生産、薬草以外の農業、畜産で成り立つ。
酒は産業としてはやってないが、麦を育ててるしフレーバーになるハーブが採れるから村民たちが飲む分の麦酒生産はやっている。
あとは野山で野生のベリーが豊富に採れるので自家製ワインをそれぞれの家庭で作っているそうだ。市販できるほどの量はないが村民たちの間で物々交換は許されている。
俺たちもなか村民が村ごと転移してきて、最初の一ヶ月間は村の梅の木の収穫期だった。
ど田舎村の人たちに手伝ってもらい、半分は赤紫蘇と一緒に塩漬けして梅干しへ。
残り半分のうち、さらに半分は氷砂糖と漬けて梅シロップに。
残りは氷砂糖、焼酎と漬けて梅酒だ。
梅酒用のホワイトリカーの備蓄があまり残ってなくて、村長や勉さんが自宅に持ってたホワイトラムや泡盛を使ったがまったく足りなかった。
足りない分は男爵がブランデーを樽で取り寄せてくれたのでありがたく使わせてもらった。飲み頃が楽しみだっぺ。
ばあちゃんも甘い梅酒は好きで食前酒に飲むから。残った梅もペーストにしてジャムになるし、寒天で固めても美味い。よく煮てアルコール分を飛ばせばピナレラちゃんやユキりんでも食えるぞう。
俺も蕎麦二杯目に突入だ。
一杯目は十割蕎麦、二杯目は村長がドヤ顔してた薬草練り込みの緑色の蕎麦。
……うーむ。蕎麦が光ってるなあ……
この世界に転移して、領内の湧き水やそれを使った飲み物や料理が光ってるのはもう見慣れた。
けど湧き水で育った薬草を使っただけあって光り方がより強めだ。
ずずっと一口。うん、草の野趣溢れる風味。というかこの味どこかで……
「お茶の味がするなあ。ユキちゃん」
「ばあちゃん」
天ぷら揚げや皆への配膳を手伝ってたばあちゃんが、自分の分の丼を持って隣に来た。
そうだ、これ緑茶の風味だ!
今度は蕎麦だけ慎重に味わった。うん緑茶だこれ。ちょっとほろ苦いのがめんつゆや天ぷらとすごく合う。……くう、酒ちょっとだけ……いや我慢する……
と思ったらばあちゃんのグラスの横にショットグラスがある。中には限りなく透明でちょっとだけ黄色みを帯びた液体が。
「最中、ばあちゃんも一杯だけ貰ってきたんだあ」
「えええ……俺も一杯……いや我慢する……」
早く異世界産の日本酒『異界最中』を造らなきゃなあ。
NEXT→御米田は男爵にユキリーンの話を聞いた……
ピナレラちゃんが大はしゃぎだ。うむうむ、もっと食え食え。
蕎麦は既にばあちゃんちにあった備蓄の乾麺で体験済みだったが、天ぷらや温玉のせは今日が初体験だ。好評のようで何よりだべ。
大根おろしや小口ネギ、味変用のくるみつゆは別添えだ。おろしは辛いし試したい人向け。
俺は大根おろし、温玉、川海老と野菜のかき揚げを一口大にまとめて蕎麦と一緒にずずずっと……うっま! この取り合わせにばあちゃんのめんつゆうま!
蕎麦打ち職人のいる蕎麦屋で、蕎麦と天ぷら別々の天ざるもいいんだが全部まとめて丼で食うのもいいよなあ。洗い物少なくて済むのもよき。
ユキりんはもうずっと無言で蕎麦をすすっている。蕎麦とつゆの味に驚き、天ぷらとおろし、温玉の味わいの妙にまた驚いて、さらにネギやクルミつゆを足した味変にアメジストのお目々がキラッキラ。もう二杯目お代わりしてるべ。
自分から配膳まで手伝いに行っている。あれは放置でもよかっぺ。
「ユキちゃん、酒は?」
「この後まだ剣の訓練したいし、風呂も行くんで今日はやめときます」
村長が最中の酒瓶片手に聞いてきた。まだ隠し持ってたのか……俺が酒造りに着手したから、もういいだろって出してきたんだな。まだ成功どころか麹も仕込んでねえってのに。
そういえば異世界に転移してから、日本にいたときほど酒を飲んでいない。
前は会社の同僚や後輩たちと仕事上がりにファミレスや居酒屋もよく行ったし、元カノが行きたがった洒落た店でワインもよく飲んだもんだが。
だって酔っ払っちまうとピナレラちゃんが「おにいちゃ、おしゃけくしゃい!」て近寄ってくれねえんだもん……ユキ兄ちゃんは悲しいです。
ど田舎村は薬草栽培とポーション生産、薬草以外の農業、畜産で成り立つ。
酒は産業としてはやってないが、麦を育ててるしフレーバーになるハーブが採れるから村民たちが飲む分の麦酒生産はやっている。
あとは野山で野生のベリーが豊富に採れるので自家製ワインをそれぞれの家庭で作っているそうだ。市販できるほどの量はないが村民たちの間で物々交換は許されている。
俺たちもなか村民が村ごと転移してきて、最初の一ヶ月間は村の梅の木の収穫期だった。
ど田舎村の人たちに手伝ってもらい、半分は赤紫蘇と一緒に塩漬けして梅干しへ。
残り半分のうち、さらに半分は氷砂糖と漬けて梅シロップに。
残りは氷砂糖、焼酎と漬けて梅酒だ。
梅酒用のホワイトリカーの備蓄があまり残ってなくて、村長や勉さんが自宅に持ってたホワイトラムや泡盛を使ったがまったく足りなかった。
足りない分は男爵がブランデーを樽で取り寄せてくれたのでありがたく使わせてもらった。飲み頃が楽しみだっぺ。
ばあちゃんも甘い梅酒は好きで食前酒に飲むから。残った梅もペーストにしてジャムになるし、寒天で固めても美味い。よく煮てアルコール分を飛ばせばピナレラちゃんやユキりんでも食えるぞう。
俺も蕎麦二杯目に突入だ。
一杯目は十割蕎麦、二杯目は村長がドヤ顔してた薬草練り込みの緑色の蕎麦。
……うーむ。蕎麦が光ってるなあ……
この世界に転移して、領内の湧き水やそれを使った飲み物や料理が光ってるのはもう見慣れた。
けど湧き水で育った薬草を使っただけあって光り方がより強めだ。
ずずっと一口。うん、草の野趣溢れる風味。というかこの味どこかで……
「お茶の味がするなあ。ユキちゃん」
「ばあちゃん」
天ぷら揚げや皆への配膳を手伝ってたばあちゃんが、自分の分の丼を持って隣に来た。
そうだ、これ緑茶の風味だ!
今度は蕎麦だけ慎重に味わった。うん緑茶だこれ。ちょっとほろ苦いのがめんつゆや天ぷらとすごく合う。……くう、酒ちょっとだけ……いや我慢する……
と思ったらばあちゃんのグラスの横にショットグラスがある。中には限りなく透明でちょっとだけ黄色みを帯びた液体が。
「最中、ばあちゃんも一杯だけ貰ってきたんだあ」
「えええ……俺も一杯……いや我慢する……」
早く異世界産の日本酒『異界最中』を造らなきゃなあ。
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