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第二章 異世界ど田舎村を救え!

俺、ユキりんの秘密を盗み見る(ごめんして!)

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「ユキりん。退屈なら動画でも見てる?」
「あ、はい」

 ばあちゃんたちとの連絡用にスマホは必ず持ち歩くようにしている。
 日本の動画を見ても異世界人のユキりんには言葉がわからないんだが、動画アプリの作品画面をタップすれば見るだけなら困らないからな。
 それにこの異世界にテレビや動画など動くコンテンツはまだ発明されてない。出演者たちが何を言ってるか意味不明でも、見てるだけで楽しいんだそうだ。

 適当なアニメを見つけて集中し始めたユキりんを、俺は不躾にならないよう盗み見た。
 うむ。真剣な顔してても麗しの美少年だべ。べっぴんしゃんだべ……(*´ω`*)

 ……じゃなくて!
 さっきステータス確認して、俺はスキル欄にかつて王様から伝授された『人物鑑定スキル(初級)』を見つけたのだ。
 そういえばこんなんあったわ。ちゃんとチート能力貰ってたのに忘れてた。ごめんして王様。

 部屋に清浄魔法クリーンをかけながら、こっそりユキりんを人物鑑定スキルで観てみた。


名前 ユキリーン・オコメダ(ユキリーン・リースト)

所属(出自)
御米田家第三子(養子、次男)
アケロニア王国リースト男爵家第六子(四男)


「ユウキさん? どうかしました?」

 次に称号や保有スキルを観ようとしたところで俺の視線に気づいたユキりんが振り返ってきた。くう。この子は勘が鋭いな。

「……いや、アプリの使い方は大丈夫か? 音はもっと大きくしても大丈夫だぞ」
「大丈夫です。そっち手伝いましょうか?」
「平気、平気。昼まで頑張ってみるから」

清浄魔法クリーン!』

 ううむ。このステータス表示機能なかなか高性能だべ。御米田家の第三子ってちゃんとピナレラちゃんの次に引き取られた子って認識してるじゃん。すげえな。

 ユキりん、男爵家のご令息か。男爵って確か貴族制度の一番下だっけ。この村を含む一帯のブランチウッド男爵と位は同じ。
 第六子……てことは大家族だ。上にお兄ちゃんたちがおるのだな。……マジでお姉ちゃんおりそうじゃないか?

 これ本人に直接聞いたら、勝手に鑑定したって怒られそう。
 仕方ない、やはり男爵のモーリスさんに聞きに行くのが一番か。あの人も人物鑑定持ちだし俺より詳しくユキりんを鑑定してそうだ。



 ひたすら清浄魔法クリーンをかけまくって、事務所の数年分のホコリを取り払ったところでちょうど正午だった。

「ん、給湯設備はまだまだ使えそうだ。ユキりん、適当にその辺の机の上片付けてくれるか」
「あ、はい。席二つ分ですね」

 ついでに濡れタオルも渡して机を拭いてもらう。さすがに数年使われてなかったデスクマットは上の透明ビニールも黄色く変色している。
 間に挟まった伝票なども色褪せてしまってる。これらの処分も考えないとなあ。

 もなか酒造の水道も、ど田舎村の水源と問題なく接続されたようだ。しばらく水道を流しっぱなしにして水道管の中で滞留してた古い水が流れきると、ばあちゃんちと同じように美味い湧水の味になった。
 給湯室には廃業前、社員たちが使っていた湯飲みや急須もそのまま残っていた。丁寧に使われてたようでヒビや欠け、べたつきもなかったから軽く水洗いしてそのまま使わせてもらうことにする。

 備品のヤカンは錆だらけになってたから磨くまでは使えない。
 携帯用ケトルは男爵に貰った異世界産のもの。水を注ぐとセットされた魔石が数十秒で沸騰させてくれる。
 今日はばあちゃんが持たせてくれたおにぎりと漬け物、緑茶でランチだ。

「飯食ったら夕方までまた掃除の続きだ」
「じゃあ午後からは僕もお手伝いします」
「んだな。頼んますユキりん先生」
「……いただきます」

 照れるユキりんが家から持ってきた包に手をかける。大判のハンカチを開くと中には笹の葉でピシッと包まれたおにぎりが。
 俺もユキりんも三個ずつ、三角形の握り飯をカットした海苔一枚で挟んだタイプだ。漬け物は青菜と大根の醤油漬け。

 中身は何かな。食べるまでのお楽しみだっぺ。





NEXT→おにぎりの中身は……🍙
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