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記憶の断片
王妃の自爆と断罪
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【夢見の術のフローチャート】
学園在学中にマーゴットは婚約者をシルヴィスに決めた
マーゴット、バルカスの学園卒業式後
王宮内、儀式の間にてバルカス王子が魚切り包丁で守護者カーナを殺害する
バルカス王子の拘束、牢へ収監
守護者カーナ、辛うじて一命を取り留めるが目を覚まさず
神人ジューアと魔女メルセデスの協力による“夢見の術”でカーナを救う行動スタート
↓
カーナが斬られる一時間半前の世界
夢への旅人はマーゴット、シルヴィス、ダイアン国王
↓
現実への帰還
◇◇◇
「で、どうだった?」
「陛下が近衛兵たちを連れて儀式の間に駆けつけたけど、包丁を持ったバルカスの力が強くてカーナを傷つけるのを止められなかったわ」
魔女メルセデスの確認に、マーゴットが報告した。
「でも負傷は減らせたと思います。何とか包丁を取り上げて拘束できたので」
「そう。カーナを見てごらん」
シルヴィスの補足に、神人ジューアがカーナの棺を指した。青ざめていたカーナの顔色が明らかに良くなっている。
「やり方はわかりましたね? 後は術者のあたしと、夢の世界に入って動くあなたたちの魔力が持つ限り、続けることになります」
そうして一同は夢見の術を繰り返した。
少しずつ少しずつ、カーナの状態が改善してきて、女性形から男性形に戻った頃。
息子バルカスがいつまで経っても収監されている牢屋から解放されず、また事態の説明もしてもらえなかった王妃がパニックを起こして暴れ始めた。
バルカス王子の母親メイ王妃は社交を許可されていないが、一定数の信奉者がいて派閥を持っている。
王妃派閥の者たちが好き勝手なことを吹聴し始めるよりはマシかと、マーゴットたちは仕方なく事情を話すことにした。
バルカス王子が守護者カーナを傷つけ、殺害しようとしたことをだ。
「カーナって前に聞いた下等な虫や動物みたいな男女? 女男? そんなののせいでバルカスが牢に入れられたっていうの!?」
この王妃の言葉に、ついにマーゴットの忍耐力が切れた。
「……近衛兵らよ。その女を捉えよ」
自分でも驚くほど低い声が出た。
「マーゴット!?」
「次期女王の権限で、現王妃メイの王妃の称号と王族の身分を剥奪する。加えて度重なる守護者への侮辱発言は許し難い。牢へ放り込め!」
即座に近衛兵たちが動く。だがマーゴットの命令に困惑して動揺する王妃、いや元王妃の周囲に黒いモヤがあって近づけないようだ。
「本人に自覚がないだけに、たちが悪いな……」
シルヴィスが携帯していた弓を持ち、元王妃に向けて弦を弾いた。
ビイイィン、と低い鳴弦の音に、元王妃の周りのモヤが消失する。弓祓いという浄化の一種だ。
「今のうちに牢へ。四方を邪気祓いの結界用魔導具で囲むことを忘れないようにね」
「「「はっ、畏まりました!」」」
そうして意味のわからないことを叫びながらも元王妃は近衛兵たちに連れて行かれ、息子のバルカス王子と同じように収監されることになった。
「さて、ダイアン国王陛下。あなたにはすべての状況がわかっているはずだ」
元王妃をマーゴットに断罪されて、国王が項垂れている。
「魔憑きの女を娶って王家に入れた。バルカス王子がカーナ様を害する凶行に及んだのは魔の影響だった。違いますか?」
「……いいや。その通りだ」
「この責任はどう取られるおつもりで?」
「早急に退位しマーゴットに王位を譲る。メイのあれは、私が共にいれば影響を抑えやすい。私たちをまとめて幽閉でも何でもしてくれたら良い」
それから早急にマーゴットの即位に動くことになる。
本来ならダイアン国王の元で王太女として研鑽を積むはずだったがそうも言ってられない。
まだ国王は四十代前。現役でまだまだやれる年だったが、この状況で彼を王のままにはしておけなかった。
学園在学中にマーゴットは婚約者をシルヴィスに決めた
マーゴット、バルカスの学園卒業式後
王宮内、儀式の間にてバルカス王子が魚切り包丁で守護者カーナを殺害する
バルカス王子の拘束、牢へ収監
守護者カーナ、辛うじて一命を取り留めるが目を覚まさず
神人ジューアと魔女メルセデスの協力による“夢見の術”でカーナを救う行動スタート
↓
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夢への旅人はマーゴット、シルヴィス、ダイアン国王
↓
現実への帰還
◇◇◇
「で、どうだった?」
「陛下が近衛兵たちを連れて儀式の間に駆けつけたけど、包丁を持ったバルカスの力が強くてカーナを傷つけるのを止められなかったわ」
魔女メルセデスの確認に、マーゴットが報告した。
「でも負傷は減らせたと思います。何とか包丁を取り上げて拘束できたので」
「そう。カーナを見てごらん」
シルヴィスの補足に、神人ジューアがカーナの棺を指した。青ざめていたカーナの顔色が明らかに良くなっている。
「やり方はわかりましたね? 後は術者のあたしと、夢の世界に入って動くあなたたちの魔力が持つ限り、続けることになります」
そうして一同は夢見の術を繰り返した。
少しずつ少しずつ、カーナの状態が改善してきて、女性形から男性形に戻った頃。
息子バルカスがいつまで経っても収監されている牢屋から解放されず、また事態の説明もしてもらえなかった王妃がパニックを起こして暴れ始めた。
バルカス王子の母親メイ王妃は社交を許可されていないが、一定数の信奉者がいて派閥を持っている。
王妃派閥の者たちが好き勝手なことを吹聴し始めるよりはマシかと、マーゴットたちは仕方なく事情を話すことにした。
バルカス王子が守護者カーナを傷つけ、殺害しようとしたことをだ。
「カーナって前に聞いた下等な虫や動物みたいな男女? 女男? そんなののせいでバルカスが牢に入れられたっていうの!?」
この王妃の言葉に、ついにマーゴットの忍耐力が切れた。
「……近衛兵らよ。その女を捉えよ」
自分でも驚くほど低い声が出た。
「マーゴット!?」
「次期女王の権限で、現王妃メイの王妃の称号と王族の身分を剥奪する。加えて度重なる守護者への侮辱発言は許し難い。牢へ放り込め!」
即座に近衛兵たちが動く。だがマーゴットの命令に困惑して動揺する王妃、いや元王妃の周囲に黒いモヤがあって近づけないようだ。
「本人に自覚がないだけに、たちが悪いな……」
シルヴィスが携帯していた弓を持ち、元王妃に向けて弦を弾いた。
ビイイィン、と低い鳴弦の音に、元王妃の周りのモヤが消失する。弓祓いという浄化の一種だ。
「今のうちに牢へ。四方を邪気祓いの結界用魔導具で囲むことを忘れないようにね」
「「「はっ、畏まりました!」」」
そうして意味のわからないことを叫びながらも元王妃は近衛兵たちに連れて行かれ、息子のバルカス王子と同じように収監されることになった。
「さて、ダイアン国王陛下。あなたにはすべての状況がわかっているはずだ」
元王妃をマーゴットに断罪されて、国王が項垂れている。
「魔憑きの女を娶って王家に入れた。バルカス王子がカーナ様を害する凶行に及んだのは魔の影響だった。違いますか?」
「……いいや。その通りだ」
「この責任はどう取られるおつもりで?」
「早急に退位しマーゴットに王位を譲る。メイのあれは、私が共にいれば影響を抑えやすい。私たちをまとめて幽閉でも何でもしてくれたら良い」
それから早急にマーゴットの即位に動くことになる。
本来ならダイアン国王の元で王太女として研鑽を積むはずだったがそうも言ってられない。
まだ国王は四十代前。現役でまだまだやれる年だったが、この状況で彼を王のままにはしておけなかった。
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