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記憶の断片
守護者の死
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その後、儀式の間にやってきた国王の護衛騎士たちに拘束されたバルカス王子の言葉は信じられないものだった。
「王配候補から外れてムシャクシャしていた」
「覗いた儀式の間に久し振りに見るカーナがいたから。しかも女の形で」
「マーゴットに捨てられた俺を慰めろって迫ったけど拒否されて、カッとなって刺した」
実は直情的な気質は、中興の祖の女勇者の血筋に比較的、現れやすいと言われている。
バルカス王子は血筋順位こそ欄外だが、確かに王家の祖先たちの血を受け継いでいたわけだ。
だが、拘束された後、バルカス王子の供述を聞いて、マーゴットもシルヴィスも、そして実の父親の国王も「これはもう駄目だ」と思った。
カレイド王国の建国からの守護者の神人カーナを害した王子など、もう誰も必要としない。
どれだけ息子を溺愛する王妃が庇ったとしても、もう無理だろう。
ところが、その場でダイアン国王が英断を下しバルカス王子の即座の処刑を決めたにも関わらず。
聖剣で無惨に何度も刺され切りつけられても、まだ辛うじて生きていたカーナ本人が断罪に反対した。
「……バルカスが聖剣の包丁を持ったとき、彼の中に古い時代に亡くした息子を感じた。どうか命だけは助けてやってほしい」
「カーナ……あなたを襲って、思い通りにならないからって刺すような男よ? どうして庇うの?」
いくら何でも無理だと却下したマーゴットに、カーナは小さく微笑んで血まみれの腕を上げて手招きした。
「?」
耳を貸すよう促されて、口元に耳を寄せる。
そこに囁かれた言葉にマーゴットはネオングリーンの瞳を見開いた。
「マーゴット。後は頼むよ」
それだけ言って琥珀の目を閉じた守護者カーナは、不死の神人のはずなのに死んでしまったのだ。
刺された武器が聖剣なのが悪かった。
ハイヒューマンとはいえ獣人だったカーナは聖剣の魚切り包丁にとって魔物判定だった。そういうことなのだろう。
「王配候補から外れてムシャクシャしていた」
「覗いた儀式の間に久し振りに見るカーナがいたから。しかも女の形で」
「マーゴットに捨てられた俺を慰めろって迫ったけど拒否されて、カッとなって刺した」
実は直情的な気質は、中興の祖の女勇者の血筋に比較的、現れやすいと言われている。
バルカス王子は血筋順位こそ欄外だが、確かに王家の祖先たちの血を受け継いでいたわけだ。
だが、拘束された後、バルカス王子の供述を聞いて、マーゴットもシルヴィスも、そして実の父親の国王も「これはもう駄目だ」と思った。
カレイド王国の建国からの守護者の神人カーナを害した王子など、もう誰も必要としない。
どれだけ息子を溺愛する王妃が庇ったとしても、もう無理だろう。
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「?」
耳を貸すよう促されて、口元に耳を寄せる。
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「マーゴット。後は頼むよ」
それだけ言って琥珀の目を閉じた守護者カーナは、不死の神人のはずなのに死んでしまったのだ。
刺された武器が聖剣なのが悪かった。
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