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そうだ、留学しよう~アケロニア王国編

お尻ぺんぺんの刑

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 リースト伯爵家の次男、麗しのルシウス少年は魔人族というハイヒューマンの生き残りだ。

 魔人族というのは、悪者という意味ではなくて、単純に『魔力の多い人型の種族』という意味である。
 ただし、魔人族の長は魔王と呼ばれていて、古くはグレイシア王女の現アケロニア王族の祖先と戦ったこともあるそうで。

 そんなルシウスは出自の魔人族が古い時代に滅ぶ寸前、一族の秘術で封印されて、ずっとリースト伯爵家の倉庫の中で眠っていたそうだ。
 だが約8年前にその封印が解けてからはメガエリス伯爵の次男になり、ふつうの子供として育ってきている。



「と聞かされましても!? どう見ても普通じゃないですよね、ルシウス君って!??」
「聖剣持ちで生まれたらしく、聖なる魔力の持ち主なのですよ……ステータスには『魔法剣士(聖剣)』とありまして」

「ん? なら剣聖かい?」
「いいえ。ただ聖剣を持っているだけの魔法剣士です」
「???」

 と言われてもカーナが首を傾げている。

 ともあれ、ルシウス少年はパパのメガエリス伯爵に捕獲されてお説教だ。

「このおばか、ルシウス! 公女様の宝物に何たる……!」

 お尻ぺんぺんの刑だ! とメガエリス伯爵に取っ捕まって逃げられない。

「やあー! ちがう! ちがうもんー!」
「やーじゃないわ!」

 お仕置きは父親に任せて、マーゴットたちは“じゅわっ”と音を立てていた魚切り包丁に駆け寄った。
 ルシウスが自前の聖剣を振り下ろした後、作業台ごと濃密なネオンブルーの魔力に包み込まれてしまっている。

「じ、じゅわって! じゅわってすごい音がしてたわ、どうしよう……こ、国宝なのに、まさか私の代で失うことになるなんて……っ」

 もうマーゴットも涙を抑えきれない。

「ちがうー! ちがうってばー!」
「い、いいのよ、ルシウス君。私が自分でちゃんと包丁を見てなかったのが悪いのだわ」
「ちがうの! 包丁! 包丁をみて!」
「って言われてもなあ」

 グレイシア王女が作業台を丸ごと包み込んでいるネオンブルーの魔力の塊に触れてみるが、バチィッと強い反発を食らってしまった。
 マーゴットやカイルが触っても同じだった。

 ならばとハイヒューマンのカーナが自分の虹色を帯びた真珠色の魔力で手を包み込んで、ネオンブルーの中に腕を突っ込むと。
 ようやく、ルシウスの魔力の塊が晴れてきた。

「可愛い悪戯ばかりと見逃してきたこの父の責任よ……心を鬼にしてお尻ぺんぺん十発!」
「やーだー!」

 ルシウス少年の悲痛な叫びが響き渡った。






( . .)ヾ(・ω・`) ペンペン

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