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守護者と立ち向かう新ループ

巨額の造園費用問題、解決2

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「そもそもわたくし、その霊園? 霊廟? とやらの規模もデザインも、何も意見を求められておりませんわ。実の両親の埋葬場所のことですのよ? ありえません」

 過去のループの記憶がなければ、マーゴットは霊園の造園工事が進められていることも知らなかったのだ。
 そんな場所に、両親の遺骸を葬る気はなかった。

「さて、代表者殿。こちらの主張はお伝えした。異論があるなら裁判で決着をつけるとしよう。……だが、王家にあらためて請求し直したいと言うなら、宰相子息の私が渡りを付けてやってもいいのだが、どうする?」

 宰相令息で現役法務官のテオドアが結論を迫ると、しばらく赤くなったり青くなったりを繰り返していた業者は、やがて分が悪いと悟り諦めたように項垂れて、

「よろしくお願いします」

 とだけ言って帰っていった。




「本当に裁判になってしまうのでしょうか?」
「いえ、造園費用が不払いになると彼の建設会社は潰れてしまうので。程々のところで私が父の宰相に話をつけて、王家と交渉できるよう持っていくつもりです」
「そうですか……良かったです」

 マーゴットとしても業者を困らせたい訳ではなかった。

「後のことは法務省で対応します」
「お疲れ様でした、ホルトラン侯爵令息様。私だけで業者様と交渉できる自信がなかったのでとても助かりましたわ」

 こういうとき、頼りになるのが雑草会のネットワークだ。
 千人も会員がいれば、伝手を辿れば必要な知識や人脈がある。

「あの業者、王妃様と懇意にしてるだけあって、雑草会とは縁もゆかりもないのですよ。我々も事態の把握が遅れてしまったのはそのせいです。マーゴット様にはご迷惑をおかけしてしまいました」
「あなたが謝る必要はありません。強気な対応ができて、むしろ感謝しておりますわ」

 まだ未成年のマーゴットだけでは交渉も難しかっただろう。
 早々に自力の解決を諦めて、神殿と雑草会に助けを求めたのは良い手だった。



 後日、さすがにこの話は、テオドア法務官を通じて業者側から王家に訴えがなされ、ことの発端である王妃自身の耳にも入ることになった。

「マーゴット、ごめんなさい! まさかこんな大事になるだなんて私は思わなかったのよ!」

 王妃に呼び出され、涙混じりにハグされて謝罪された。
 息子のバルカス王子と同じ、金髪と青目のメイ王妃は華奢で、世の中の男の理想を凝縮したようなとても美しい女性だ。
 今年成人する息子がいるとは思えないほど若々しく輝いている。

「謝罪は受け入れます。王妃様」

 王宮で人目を気にせず何度も何度も頭を下げられた。
 謝罪があるなら、マーゴットはそれで後は問題ない。

 その後、テオドア法務官を交えて王家と話し合いをした。

 霊園の造園費用は王家が出すことになった。
 そうなれば、国王が弟夫妻の墓を作ったことになるので、マーゴットも文句は言わなかった。



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