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守護者と立ち向かう新ループ

守護者カーナ2

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 カーナは古い時代のハイヒューマンが男女に分かれる前の、過渡期の存在だ。

 父方の血を利用して龍に変じた後に人の形に戻ると男性形になる。
 母方の血を利用して一角獣に変じた後、戻ると女性形になる。
 そしてしばらく経つとまた基本の男性に戻るわけだ。

 もっと古い時代には、男女に分かれることのない完璧な存在もいたそうだが、マーゴットはまだ会ったことがなかった。



 バルカスは女性形のたおやかな美少女カーナに一目惚れ。

 マーゴットは男性形の優美な美青年カーナに憧れた。

 二人揃って告白した幼い頃、カーナは困ったように笑って「伴侶と子供を裏切れない。ごめんね」と謝ってきたものだった。
 その伴侶も子供ももういないのだが、何度二人が告白しても返事は変わらなかった。

 子供の頃にマーゴットとバルカスが仲良しだったのは、同じカーナを大好き同士だったのが大きい。

 そして今回、久し振りに女性形のカーナに会って、マーゴットには気づいたことがある。

(バルカスが寵愛したポルテという子、女の子のカーナに似てるわ)

 容貌はカーナのほうが美しかったが、華奢で大人しそうな印象がそっくりだった。

(バルカスはポルテのことを“真実の愛”とか言ってたそうだけれど。何のことはない、カーナに似た子を選んだだけじゃない)

 結局、バルカスは幼い頃の淡い恋の続きを、ポルテという平民の少女に投影して楽しんだだけではなかったのか。



 そのカーナは、マーゴットがループする人生の中で最初に神殿を通じて相談して以降はずっと、マーゴット以外でループの記憶を保持している唯一の存在だった。

 さすがは人類の上位種ハイヒューマンというべきか、時を遡る現象の知覚と認識を保持している。

「カーナから両目に祝福を貰ったら、次のループからは展開が大きく変わったの。でも結局、バルカスに殺されてしまったわ」

 最初に繰り返していたループでは、マーゴットは学園の卒業式でバルカスに婚約破棄され、両目を抉られて殺される。

 カーナに祝福を賜った後の人生では、女王に即位してバルカスと結婚するところまで漕ぎ着けた。
 だが、マーゴット自身の不用意な発言のせいで、首を絞められて殺されてしまった。

「必ず最後にバルカスが君を殺すのか。そんな考えなしの行動を起こす子じゃなかったはずだけど、何があの子を変えたんだろう?」

 カーナが首を傾げている。それはマーゴットにも不思議なことだった。

「君たちに最後に会ったのは、10歳頃までだったね。その後、バルカスに異変があったんだろう」

 と言われても、マーゴットもループを繰り返した人生の中でバルカスの異変の原因を探り続けてきたけれど、結局よくわからないままだった。


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