14 / 129
再びのループ~真実の愛を破壊する
バルカス王子の横領と悪辣3
しおりを挟む
騎士団長の三男と諜報部の伯爵家令嬢、それに有力な同盟国のグレイシア王女。
三人から報告を受けた壮年の学園長は倒れそうになっている。
「な、何と……確かにバルカス王子の素行不良は報告に上がってたが、そこまで愚かだったとは」
今の学園長は王家の遠縁で、カレイド王国の血筋順位は200番台。
もちろん、世間では王太子と呼ばれているバルカスがただの王子であることや、王太女がマーゴットであることは知っている。
「学園長殿。このままマーゴットを登校させていては身の危険に晒される。しばらく、自宅学習させてはどうか」
「グレイシア王女殿下……そうですな、それが良いでしょう。もちろん許可を出します」
グレイシア王女の口添えで、マーゴットは学園の最終学年の就学期間中の不登校許可を得た。
「バルカス王子に権力はないが、取り巻きたちの性質が悪い。自宅に悪漢が押し寄せて来ないとも限りません……俺はこの後、すぐ騎士団長の父の元へ向かいます。マーゴット嬢の自宅を騎士団が警備するよう計らいますので」
そう言って騎士団長の三男は早退していった。
さて残されたマーゴットたちはといえば。
もう教室に戻って授業を受ける気分ではなくなってしまったので、グレイシア王女と伯爵令嬢の三人で食堂のカフェスペースでお茶を飲んで気晴らしすることにした。
「マーゴット。お前は両親も亡くなられているし、現状が良くない。しばらく私の国に避難しないか」
グレイシア王女は、円環大陸の北西部で魔法魔術大国と呼ばれるアケロニア王国の出身だ。
カレイド王国は北部にあるから、馬車で数日もあれば到着できる。
「それはいざというときにお願いしたいわ」
「……マーゴット。遠慮なんて要らないんだぞ? 私とお前の仲じゃないか」
仲、即ちどちらも自国の次期女王という共通した立場仲間ということ。
マーゴットは困ったように笑った。
「とんだクズ男だって、思うでしょ? でも好きなの。見捨てられない。笑ってもいいわよ?」
それはとても自虐的な微笑みだった。
「マーゴット。お前が自分でわかっているなら、私はもう何も言わない。だが一人で抱え込むな。何かあればすぐ連絡を寄越してほしい」
それからマーゴットは学園に登校することがなくなり、親友のグレイシア王女も間もなく後ろ髪を引かれる気分で留学期間を終え、帰国していった。
三人から報告を受けた壮年の学園長は倒れそうになっている。
「な、何と……確かにバルカス王子の素行不良は報告に上がってたが、そこまで愚かだったとは」
今の学園長は王家の遠縁で、カレイド王国の血筋順位は200番台。
もちろん、世間では王太子と呼ばれているバルカスがただの王子であることや、王太女がマーゴットであることは知っている。
「学園長殿。このままマーゴットを登校させていては身の危険に晒される。しばらく、自宅学習させてはどうか」
「グレイシア王女殿下……そうですな、それが良いでしょう。もちろん許可を出します」
グレイシア王女の口添えで、マーゴットは学園の最終学年の就学期間中の不登校許可を得た。
「バルカス王子に権力はないが、取り巻きたちの性質が悪い。自宅に悪漢が押し寄せて来ないとも限りません……俺はこの後、すぐ騎士団長の父の元へ向かいます。マーゴット嬢の自宅を騎士団が警備するよう計らいますので」
そう言って騎士団長の三男は早退していった。
さて残されたマーゴットたちはといえば。
もう教室に戻って授業を受ける気分ではなくなってしまったので、グレイシア王女と伯爵令嬢の三人で食堂のカフェスペースでお茶を飲んで気晴らしすることにした。
「マーゴット。お前は両親も亡くなられているし、現状が良くない。しばらく私の国に避難しないか」
グレイシア王女は、円環大陸の北西部で魔法魔術大国と呼ばれるアケロニア王国の出身だ。
カレイド王国は北部にあるから、馬車で数日もあれば到着できる。
「それはいざというときにお願いしたいわ」
「……マーゴット。遠慮なんて要らないんだぞ? 私とお前の仲じゃないか」
仲、即ちどちらも自国の次期女王という共通した立場仲間ということ。
マーゴットは困ったように笑った。
「とんだクズ男だって、思うでしょ? でも好きなの。見捨てられない。笑ってもいいわよ?」
それはとても自虐的な微笑みだった。
「マーゴット。お前が自分でわかっているなら、私はもう何も言わない。だが一人で抱え込むな。何かあればすぐ連絡を寄越してほしい」
それからマーゴットは学園に登校することがなくなり、親友のグレイシア王女も間もなく後ろ髪を引かれる気分で留学期間を終え、帰国していった。
17
お気に入りに追加
1,651
あなたにおすすめの小説
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。

あなたを忘れる魔法があれば
美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。
ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。
私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――?
これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような??
R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します

私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のジャンヌは、4年もの間ずっと婚約者で侯爵令息のシャーロンに冷遇されてきた。
オレンジ色の髪に吊り上がった真っ赤な瞳のせいで、一見怖そうに見えるジャンヌに対し、この国で3本の指に入るほどの美青年、シャーロン。美しいシャーロンを、令嬢たちが放っておく訳もなく、常に令嬢に囲まれて楽しそうに過ごしているシャーロンを、ただ見つめる事しか出来ないジャンヌ。
それでも4年前、助けてもらった恩を感じていたジャンヌは、シャーロンを想い続けていたのだが…
ある日いつもの様に辛辣な言葉が並ぶ手紙が届いたのだが、その中にはシャーロンが令嬢たちと口づけをしたり抱き合っている写真が入っていたのだ。それもどの写真も、別の令嬢だ。
自分の事を嫌っている事は気が付いていた。他の令嬢たちと仲が良いのも知っていた。でも、まさかこんな不貞を働いているだなんて、気持ち悪い。
正気を取り戻したジャンヌは、この写真を証拠にシャーロンと婚約破棄をする事を決意。婚約破棄出来た暁には、大好きだった騎士団に戻ろう、そう決めたのだった。
そして両親からも婚約破棄に同意してもらい、シャーロンの家へと向かったのだが…
※カクヨム、なろうでも投稿しています。
よろしくお願いします。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる